2020年に読んで面白かった本を紹介する

前に以下のツイートをした。


2020年に読んだ本の中で自分が面白いと思った10冊である。安達としまむらに関してはシリーズでまだ読んでない巻もあるが、ラノベの中では一番面白かったので選んだ。

今回はこれを再利用してより具体的な形で感想を書いていきたいと思う。10冊紹介するのは大変なので何冊が厳選して感想を書く。


・『三四郎』、『それから』



いきなりまとめての紹介となるが、要は夏目漱石の前期3部作の2作品である。もう一つの門が入っていないのはまだ読んでないからであり読み途中となっている。

夏目漱石の作品は高校の頃に教科書に載っている『こころ』の一部を読んだだけなので、1作品を通して読むのは初めてだった。

感想としては漱石はとてもおおらかな感じがするというか、様々な考え方に対して「それもアリなんじゃない?」みたいな空気感が作品全体に漂っている気がする。

特に『それから』の世界観は今でいうニート的な人が何人か登場していて、なんかそのあたりの呑気な世界観が非常におおらか。まぁそれによる弊害も描くというのもあるけど。

漱石の作品もそうだけど明治~昭和初期くらいの作品(それ以降はあまり読んでないので知らない)は価値観が多様な感じがする。今の時代の作品だとある程度は常識的な考えを持った人を主人公に据えないと人気出なかったり叩かれたりすると思うけど、このくらいの時期の作品は考えが非常に豊か。

もちろんそれに現代人である自分が同意するかどうかはまた別なのだけど、現代の価値観と違う価値観を与えられる感じがして、自分の考えを相対化できるようになる気がする。結構こういった視点を養うと生きやすくなるんじゃないだろうか。個人的にはそう感じる。


・ブラックスワン(ナシーム・ニコラス・タレブ)



映画の方の『ブラックスワン』ではなくタレブの方の『ブラックスワン』である(映画の方も好きだけど)。

去年一番面白かった本はこの本といっても過言じゃないと思う。それくらい衝撃を受けたし、一番影響を受けている。

書いてて思ったけどこの本の良さを伝えるには結構な文字数がいるので、それだけで1記事書けそうな気がする。なので具体的な感想は後日に回したいと思う。


・居酒屋(ゾラ)



自然主義文学なるものは何かということを体感したかったので読んだ。

専門家ではないので間違っているかもしれないが、聞きかじりの知識で説明すると、自然主義文学というものは19世紀の末頃に流行った文学のジャンルらしい。

19世紀前半頃のフランスではロマン主義文学といわれている作品群が人気だったらしい。自分はロマン主義といわれている作品もあまり読んだことないがロマン主義というくらいなのでロマン的で大仰な作品なのだろう。具体例を出すとレミゼラブルがロマン主義の作品らしい。

それに対するカウンターとして現れたのが自然主義と呼ばれる文学ジャンル。ロマン主義とは違い現実的な要素をふんだんに盛り込んだ感じの作品のことを自然主義文学というのではないかと自分は推察している(この辺りは実際の作品を何冊か読んでみないとわからん)。そしてゾラはその自然主義を第一人者らしい。

勝手な解釈で言うと、ロマン主義的な「流石にこの展開はご都合主義すぎるでしょ~!」というような感情が高じて徹底的にリアルに描いてやろうと出来上がったのが自然主義文学なのではないかと思っている。

その気持ちはわからなくはない。自分も『君の膵臓をたべたい』とか見てると「流石にそんなアプローチしてくる女の子おらんやろ~!」と思わずツッコミを入れてしまうし、ロマン主義への否定的な視線はそれと似たようなものなのではないだろうか?(違ったらすみません…)

そして、実際にゾラの『居酒屋』を読んでみるとめちゃめちゃリアル。ただちょっと悲惨すぎる気もするくらい陰鬱な感じを受ける。最初に男に捨てられ洗濯場で生々しい喧嘩したりと色々壮絶な話。

ただ悪いことばかり起きるわけではなくて再婚したり、自分の仕事がうまくいって少しだけ成り上がったりする。その少しだけな感じがまたリアル。そしてそこから堕ちていく様もまたリアル。そのリアル感が面白いというのはわからんでもない。

ただリアル方面や陰鬱さによりすぎな感じは否めない。リアルさも大切だと思うけどやはりロマンとリアルのバランスが作品には重要なのではないかと思う。ロマンばかりだと「流石にないだろ~!」とちょっと引いてしまうし、リアルで陰鬱すぎてもあまり面白くなかったりする。まぁ作品というのは多様なものなのでどちらもあっていいとは思うけど。


・まとめ

正直、4冊紹介するだけでこんなに文字数が行くとは思わなかった。今日はいつもと違い時間がなかったので短く済ませようと思っていたがいつも以上に長くなってしまうというのは想定外。やはり列挙で書いていくと自然と文字数書いてしまうものなのだなぁと思う。

ブラックスワンについてはそのうちちゃんとレビューというかどこが良かったのか感想を書きたい。他人に読んでもらうためというよりは自分の中にあるブラックスワンの内容をもう一度整理したいという気持ちがある。文字化すると気付かなかった部分に論理の抜けなどがあったりするので文章化するのは大切だと思う。

『詩学』とか『失敗の科学』も単体で書けそうな気がする。この2冊も非常に良い本だったのでオススメ。オカーシャ『科学哲学』は面白かったけどまだ咀嚼できてない部分があるので読み直したいところ。

レビューを書いたら本が読みたくなってきた。最近本を読む時間が取れてないのでこれを機に生活を見直してもっと読書がしたいなぁと思う。

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