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【読書記録】ビブリア古書堂の事件手帖

今回は三上延さんの、"ビブリア古書堂の事件手帖" です。

読む前に

高校生の頃から存在は認識していて、ドラマ化もされていた作品だったけど、読んだことはなかった。結構シリーズとして続いていて、手を出すに出せなかったというのもある。でも読んでみたら、それぞれの巻だけでも楽しめる感じでしたね。ぼちぼち続きも読もうかなと思ってます。

初めて読んで

私は一般的にミステリと呼ばれるジャンルの本が得意ではない。
なぜって、あまり自分でも分からないのだけど、恐らく伏線なんかをきちんと拾えていないのだと思う。
それから、ミステリ小説は登場人物がどうも説明的に書かれている気がして、それぞれの人のことを把握できず、読んでいるうちに誰がどれだか分からなくなるのだ。そんな状態では他の本を読んいても困るのではないかと思われるかもしれないが、ミステリ以外の本であれば途中で混乱しても少し前に戻ってふわっと思い出すだけでだいたいなんとなく大丈夫になる。ミステリだとそうはいかない、時にはその人の身体的特徴や服装、職業や家族構成など、細かな情報が物語の大筋に大きく影響してくる。
加えて、私には空間把握能力が大きく欠如しているようで、建物の構造が影響するトリックなんかもさっぱり理解できない。恐らく、自分で模型を作成しない限り分からない。だから、ことミステリ小説に関しては、詳細をよく理解しないまま勢いで読んでいる節がある。

で、だ。この物語は、比較的身近な人間関係だけで形成されている世界で物語が進んでいくから、あまり混乱せずに済んだ。政治とか経済とか、この世を大きく囲っているルールとか、よく分からない運命みたいなものも意識せずに読めたのも大きい。つまり難しいミステリは苦手な私でも、するりと読める。どちらかと言うと、むしろ高校生とかの頃に読んでたらもっとしっかりハマってたかもなぁって感じ。

古本屋というもの

私自身は、いわゆる古本屋、みたいなところで本を買ったことがない。古本、絶版とか初版とか、そういう価値を抜きにしても、物としての本へのこだわりみたいなもの、執着みたいなものが、ない。から、そういうものの価値、正直全く分かっていない。何かの折に何かの本を調べて「あ、この本もう売ってないんだ」ということを、過去に思った記憶はある。だからそういう本が存在するのは知っているけれど、そこにあまり意味を感じていなかった。そうか、つまり、もう売っていない、売られていない、ということは、この世の中に今出回っている分ですべてなんだ。という、至極当たり前のことを、今更ながら理解した。それは別にこの本に込められたメッセージではないけれど、古本屋を舞台に、という物語について考えてみてそういうことに思い当たったので。
版が違っても売られている物語は売られているけど、本当に、もう、物理的に、新しく生み出されることがない本もあるんだ、ということに。

本は売切れたらまた作られて、また売られている。そんな風に感じていた。そんなことないんだ。よく考えたら。よく考えなくてもめちゃくちゃ当たり前じゃないか。それに気がついていなかったことにびっくりした。書く人がいて、書かれた文章があって、でもそれで終わりじゃなくて、ちゃんと物理的に本としてそれを世に送り出すという部分が存在する。世の需要やらなんやら、色んな都合で、作られなくなっていく本なんてたくさんあるんだよなあ。
そんな私なので、初版だから、サインがあるから、とか、そういう価値の有無にはさらに思い及ばずという感じ。

本が好きとは

出てくる本たち、どれも読んだことがない。これで読書好きなんて言えないよなぁやっぱ。と、いうのが正直な気持ち。歴史があまり得意ではないので、少しでも舞台が遡るとどうしても社会情勢やその頃の当たり前が想像出来ないのだ。ちなみに、だから今、日本史と世界史を再度勉強中だったりする (すごいどうでもいい情報だけど今17世紀ぐらい)。

先にも書いたように、私には物として本を所有することに対する執着がない。紙の本がなくなったら困る、というのは世界から猫が消えたならの感想の中に書いた。「物としての本」、すなわち物理としてそこに存在する本、というものは私にとってすごく重要。ただ、私持ち合わせていない執着は、「所有する」ということに対してのそれである。本は私にとってあくまで「読むもの」であって、それ以上でもそれ以下でもない。
一応、特別お気に入りで絶対何回も読むだろうという本は所有している。けれど、それだってそのものが欲しいというより、読み返したくなるたびに図書館で借りるのは面倒だから、だったりする。

そういえば、昔は読みかけの本を開いたまま伏せて置いてしまって、よく親や先生に注意された。今は、そういうことを気にする人もいる、と分かったのでやらない。そして気にするのは、本が傷んでしまうからである、ということも分かったので。

とまあ、こんな感じなので (どんな感じかこの説明で伝わっているとは思えないが)、私は自分のような人間が本好きを語ってもよいものか、いつも後ろめたさを感じる。むしろ私みたいなのは、本を愛し慈しんでいる人たちに嫌な顔をさせてしまうタイプの人間かもしれないから。

私の本好きをできるだけ正確に言うならば、
世にあるたくさんの娯楽の中でなら、本を読むことが一番好き
だと思う。

世の中の、本当の (?) 本好きの皆さん、失礼をお許しください。
世の中の、私と同じクライテリアに属する皆さん、好きに本読みましょ。
世の中の、この投稿を読んでくださった皆さん、心より感謝申し上げます。

というわけで今回はこれでおしまいです。
ありがとうございました。


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