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オフィス移転や賃料交渉を考えている方へ向けたマーケット情報2023の予測

こんにちは、皆さんいかがお過ごしでしょうか?いまだにnoteもTwitterもいまいちなのですが、肌で感じるオフィスの相場というものの第4段ですね。

という事で今回もコンセプトは「オフィスビル賃貸を普段扱っていない方がその場しのぎでも相場観を伝えられる情報」という、不動産屋さん向けの記事になっています。

例えば普段賃貸レジをやっている方やオフィスビルの売買をやっているがマーケットの最新の賃料帯を知りたいといった方向けです。

逆を言いますと、オフィスの仲介やってる人やアセット周り、オーナーリーシング担当者にとっては物足りないかもしれないので、その辺をよく加味しながら読んでいただけると助かります。これであなたも明日からオフィス相場に詳しい専門家(風)に早変わりです。

※この記事を対象にしている方は上記の様な方向けです。3年目です

一応
お試し版として1年前のアーカイブ情報を残しておきますよかったらおためし版としてご購入してもらえればイメージ湧くと思います。


ますはじめに

今回Twitterでアンケート取ったら、ワタシの個人的な感想と予測なんて価値無しくらい、無料ならOkみたいな結果がございましたので今回は完全に無料でいってみようと思います。

みんな読んでね

良いですかもういちど言います、全部無料

無料=タダだよ

こんな予測は好きじゃなかったらやらないんですよ。

つまりこの年の瀬におっさんが去年のビルの相場がどうだった、来年はこうなるみたいな話をグダグダと書いてよくわからない自己承認欲求を満たしている。そう思っていただいて異論ございません。

そう、ワタクシが好きにやっているだけの相場読み情報です。

投げ銭まってます!

投げ銭まってます!

オフィスの相場について2022年ってどうだった?

さて気を取り直していってみましょう

オフィスの2022年の相場情報がどうだったかといえばオーナー目線や管理目線と仲介目線とは大きく離れたマーケットだったと思います。

まず最初に以下を見てください。

これは三菱UFJ信託銀行株式会社の不動産マーケットレポートの引用なのですが、拡張と縮小と増減無不明データを集めて掲載しております。

不動産マーケットリサーチレポートVol.216「東京オフィス市場の転換期は近いか」

実際は、MUFGのレポートは移転情報自体は日経不動産マーケットの移転データをもとに集計しているそうです。

上記の中でわかりやすいのはコロナ前の移転のニーズ(2018-2019年)というのは圧倒的に拡張移転の割合が多かったのです。

デベロッパー側も2015年くらいに拡張移転の意向を汲み取っており、そのあたりのニーズを予測して不動産開発していた節があります。その結果は開発完了後の2023年ー2024年くらいに出てくるわけですが・・・口をそろえて言うのはコロナが無ければ開発したビルは埋まっていた・・そういうお話です。本当かどうかは定かではないとして。

そして2020年に世界を襲った感染症の影響で、オフィスを取り巻く環境は大きく変わってくるのですが、すでにそこから約3年です。

ここにいくつかの感染症後のマーケットを語るべき要素があります。

①2020年以降拡張移転は確かに減ったが、2022年は拡張移転が増えた
②2022年は移転件数件数が増えた
③2022年の総拡張ニーズは2017-18年並みである
④増減無不明とは何か?

上記の4つに分けられます。

①拡張移転が増えた件

ここから説明してゆくと、コロナ対応のためのオフィス返却やそれに伴う話は今も続けられています。ただしすでに3年目です。
各社対応基準は設けられ新しい様式において移転をしたり床を減らしています。すでに各社方針はでており、オフィスに限らない新しい働き方をはじめています。

中では一部床を返したりフレキシブルオフィス(weworkやらリモートワーク向けのオフィス)に移転した企業が複数出ております。その中でオフィス集約やオフィス拡大の意向が出始めていることも事実です。

ワタシ記載している移転速報の移転ニーズは大抵が規模の拡大ニーズです。つまりオフィスに回帰して、より拡大しているような企業も出始めているのが2022年の1トピックスです。

②移転件数が増えた点

これはシンプルに拡張も縮小であっても単純にオフィス移転の意思決定が2022年は多かったという点です。なんらかの企業がオフィスを再構築しているという事でして、ここで冒頭で説明したようなデベロッパーと仲介の温度差の話になります。

デベロッパーや管理側はテナントの引き留めや新築ビルの空室をいかに埋めるかに苦戦しているのが2022年です。デベロッパーは引き留めと開発を並行して行っています。たとえ開発が大成功したとしても既存のビルから退去されると元も子もありません。引き留めしながら新しいビルの入居者を探す(できることなら自社以外から引き抜きたい)というかなり高度な技を毎回駆使しています。今回はさすがに解約や撤退が多くデベロッパー多数の頭を悩ませたという訳です。

しかしこのような中、2022年は拡張するにせよ縮小するにせよ移転が増えているというのが実態です。さて、そこで儲かるのは誰でしょう?そうです。


仲介会社です


2022年はオフィス仲介会社は各社最高益に近い形で着地してると思います。

もちろん移転には色々な理由がありますが、仲介会社のほとんどは2022年に自社オフィスの拡張移転や立地改善をしています。つまり地代家賃の増加や移転に必要な敷金を豊富に払えるほどの収益性が高かったと言えます。(実際はそんなに簡単な話ではありませんが)

仲介会社は、かなり業績良かったところが多かったと聞きますので拡張縮小に関わらず移転件数が多く結果として収益がよろしかったのではと思います。

また、オフィス仲介会社とは切っても切れない広告料や業務委託フィーも今年は多かったと聞きます。

仲介会社はテナントが移転してくれる事で、フィーが発生しそれらが彼らの収益になるわけですから移転件数が多いという事は収益向上しやすいという事です。

③④過去と同様の移転件数と移転理由不明の件

つまりはコロナのような緊急事態が起きてしまうと動きはいったん止まりますが、各社なにかしらの判断をしてオフィスの必要性を感じているということがわかりました。そのほか移転理由は何でしょうか。

一つ大きいのは自社ビルの老朽化や固定資産である自社ビルを売却する動きです。自社ビルは最高のステータスで地代家賃もかかりませんが固定資産税や修繕にかかる費用があります。それでも自社の資産としての価値はあり、借入において有利ではありました。

しかし今回のような緊急事態が起きた際には自社ビルでできることは少なく出社制限があっても対応することができず、だれも使っていない、使い勝手の悪いオフィスに高い修繕と税金を払うとなります。

そして現在不動産は売り手市場です。ここらで自社ビルを売却して賃貸オフィスに移るというのも手段として多かった年です。

また、次にでてくるのが立地の改善や面積をほぼ同じくしてブランド力を向上させたいという企業戦略が増えたことも理由としてあります。

オフィスの広さや収容力だけではなく社員の働き方などを大きく着目されたのが2022年です。

ZoomやTeamsで商談ができる今、オフィスを構える事や集まることの大きな理由は本社ビルの所在がどこであるか?社員を集めるときに必要なオフィスとしてのスペックは何か?このような議論が多くなされていると思います。

非常に多いグレードアップ需要

グレードアップは以前からニーズとしてありましたが、やはり今回のようにオフィスが不要か否かという議論を重ねていくと単純なオフィスの在り方以上に選択肢として上がってきます。そして立地の改善。

コロナ以前は本社の立地は悪くて良く安い地代家賃で運営していた企業も今回のように出社そのものの意義を問われる現在、オフィスの立地や社員が集まるための施策というのは大きな課題となる訳です。

若干場当たり的ですが、面積を縮小して企業の本社立地を変えるだけで新卒採用や中途採用の成約数が変わる場合もあるのです(これはすべてに当てはまらないとは思います)

2023年のオフィスはどうなってくるの

まず年末に以下のような記事報道がありました。

ニッセイ基礎研究所と三幸エステートによる今後のオフィスの市況読みです。
個人的には2022年から2023年の夏までは一旦の踊り場市況から底打ち感が出て賃料の持ち直しやオフィス回帰の流れがくると思います。ニッセイ基礎研究所が考える「楽観視」は少々言いすぎな気がします。

ただし、この底打ちとはどこを指すかと考えれば少し理解しやすくなります。これはコロナ以降のオフィス不要論や大幅な床の返却や撤退が落ち着いたことによる底打ち感だと説明されると納得しやすいと思います。

オフィスの需要回復は起きてくることは容易に想像できますし、2022年においても大きく復活した年でした。さてこの流れが2023年も続くかとするとワタシ個人はNOだと思っています

その理由が下記の3つあたりが代表的な理由と思います。

①新築オフィスを誰が埋めるのか?
②オフィスの供給に対しての需要バランスはどうか
③2極化、いや3極化するオフィス

このような3つの理由からオフィス移転はそれほど進まずというのが考えられます。

①の新築オフィスについて

新築オフィス、知っての通り成約状況があまりよくありません。
その一つとして影響が大きいのが金利上昇と欧米の外資系企業の勢いの鈍化です。

基本的には大型オフィスビルのトップフロアや大規模バンク区画といわれる10フロア等を一気に借り切る意思決定を行うのは大手外資系企業と決まっています。

いわゆる金融・メーカー・IT・コンサルティング・不動産

この手の外資系企業は人材採用や日本での事業戦略よりも先に最新スペックのビルをフロア単位や複数フロアをまとめて借り切ってしまいます。そのような動きが今回はかなり遅いのでこれが不安要因の一つとなっています。

逆に日系企業は2020年にも記事が多数出ましたが、オフィスを集約か減床の判断をしています。これもいつかは拡張動き出すと思いますが、一旦縮小した床を取り戻すには時間がかかりますので日系企業がいきなりオフィスを大拡張するストーリーは考えにくいです。

だいたい日系企業は3年周期で、組織の見直しが起きているので2021年頃に縮小した床を順繰りに戻していくとしても2024-2025年くらいまで掛かってしまうかなと感じています。

さて、年末はさらに外資系のニュースが明るくありません。AmazonもMetaもTwitterも社員の削減ニュース、金融系も社員削減です。

このような時に新築のオフィスを借りてくれる先が見つけにくいというのが本音でしょう。新築オフィスで複数上がっていた銘柄も10月、11月くらいからかなり鈍化(無期延期の意味でのペンディングという判断をしている)

外資の力を今利用してオフィスを埋めることは難しい・・・

すると、八重洲ミッドタウンならば三井不動産の戦略はやはり日系企業で固めてからいくつかの外資誘致でしょう

逆に麻布台ヒルズや虎ノ門ステーションを運営している森ビルにとってはメインクライアントは外資系企業頼みです。このような特異ブランドを作っているビルやオーナー筋はなかなかリーシングがキツイと読んでいます。

②オフィス供給とバランス

2020年と2021年は奇跡的にAグレード新築オフィスの供給が少なったんです。それでもこの空室率(良い感じに回復しそうですが、それでもちょっと高めかなという状況)です。

さて、ここからが本番です。2023年からその後5年間に新規竣工のデータが以下データです。
ここからは供給ラッシュが始まります。2023年と2025年の新規供給エグみが強くないですか?

https://www.colliers.com/

上記データは最近外資系仲介会社さんからの引き抜き合戦をしているコリア―ズさんが示すデータになりますが、2021年と2022年は10万坪の供給はなかったのです。

平均すれば5年間で調整ですが・・・・コロナを予測していたのかと思うほど新規竣工が少ないという奇跡的な2年間でした。さて、2023年からは緩むことなく竣工ラッシュです。

果たしてこれらの新築ビルの竣工がある中で、空室率が低下してなおかつ賃料平均が上げられるか?という問いにはNoと言わざるをえません

新築ビルの供給が増えることによって募集賃料はあがるのでエリア的に一部賃料が上昇し、なぜか空室率も上がるという現象は出てくるかもしれませんが・・・・


不動産素人な皆さんは賃料が高くても供給が多ければ色々な企業が新築ビルに行けるチャンスと思われるかもしれませんが、新築のオフィスは50-100坪のような小割区画をあまり作りません。1わゆる1フロア1,000坪や半分の500坪といったリーシングは行っても100~300坪のニーズはあまり初期では取らない傾向にあります。

分割するとそれだけ分割工事の費用も嵩みますし、大型オフィスはなるべくまとめて貸さないとデベロッパーの人的リソースも足りなくなるというのがその大きな理由の一つです。つまり大型新築オフィスは今のままだとピンチというのがデベロッパー側の不安材料です。

③2極化、いや3極化するオフィス

立地で勝てるビルはまず2023年も安泰
好立地のハイブランドビルへのニーズは高く、例えば渋谷のマークシティやクロスタワーといった適度なオフィスビルは空きがありません。それ以外にも渋谷立地の物件は多少悪くても値段が付きます。また大丸有といわれる三菱地所の運営エリアも空室はそれほど大きくないです。好立地の既存ビルは比較的埋まっているという良い例です。

苦戦してくるのは湾岸を始めとした苦しいアクセス
今苦戦しているのが晴海・豊洲・台場・海岸・芝浦・天王洲アイル・そのほか湾岸エリアです。
これは基準階面積500坪以上の比較的大規模ビルが複数あるのですが、その利便性の悪さから消極的にならざるを得ません。

空室が少ない時ならば選択肢ですが、今はオフィスの空きが複数ある中で単純に賃料の話だけではない立地面も多くの企業が考え求めるようになりました。そうなるとりんかい線を利用する駅立地やモノレールしか使えないようなエリアの物件選択肢は大きく下がってしまう訳です。

また駅徒歩15分のような物件も選定から外れてくるはずなのでアクセス面全体が懸念材料になると思われます。

そして、3つめは築年数の古い大型ビルです
築年数が古くても大型ビルというだけで大人気だった時代があります。西新宿の高層ビルや霞が関ビル、そして汐留シティセンターなどの大型ビル。この手のオフィスはひとつのステータスだったのですが現在競合するビルが今後新築オフィスビルとかならず比較されます。

同程度の賃料単価であれば新築ビルに移転をする方がメリットが大きいからです。これは単純に需要と供給の問題なのですが供給量が多い2023年と2024年ではこの築古目のオフィスが苦戦すると想定できます。
それらのオフィスは大量なフリーレントや賃料目線を2段階くらい下げないと誘致できないというハードルがあり、これは投資家目線に立った場合、かなり苦しい選択なのです。

上記のような選択の中でただスペックが良いだけでは無いという3極化・・・みつどもえの状況になってくることが想定されます。

立地が良くスペックが保たれているビルは楽観視できますし、なんなら若干賃料が上げられる希望も見えてきましたが、立地や築年数が古い大型のビルはかなり弾力性のある条件にしないと厳しいなぁというがワタシの単純な感想です。

今後は築浅でグレードが高く、高い賃料が期待できるオフィスがこれまで以上に多く供給され、既存のオフィスビルとの競争力の格差が拡大する可能性が否定できません。

閑話休題

ここまで書いてて思ったのですが好きでやっていると言いながらすでに5000文字を越える文章量を書き始めていました。皆様役に立っていますか?役に立っていそうでしたら嬉しいです。

お年玉ください

さて気を取り直して後半戦いきましょうか

2023年以降の各種相場や方向性は何か

キーになるのは3つほどあると思います。どれも抽象的なのですが2022年である程度成功体験もある戦略なのでデベロッパー側はキーをうまく使いこなして誘致戦略をとると思います。

キー①小規模中規模なオフィス

大規模開発はコロナのようなことが起きた時になかなか復活ができません。大手デベロッパーも小規模中規模を本格的に戦略としてみてきています。当然大型の開発ができるような用地の仕入れが難しい背景などもあると思いますが・・・・

小規模オフィスや中規模オフィスのマーケットといえば野村不動産のPMOを始めとしてかなり多くのデベロッパーが投資しています。この手のビルは中小企業やスタートアップが積極的に移転を行っており回転率は高いものの比較的高い賃料が取れるので大規模ビルほどの収益源にはいまだなっておりませんが、プロジェクトが複数展開できると意外に大きなリターンとなります。

PMOは作りすぎているのでもし最初にビジネスモデルが崩壊するとしたら野村不動産な気もしていますが・・・どうなんでしょう

さて中規模に引き続き小規模オフィスにも注目を浴びています。いわゆる50坪以下のマーケット、特に30坪くらいでしょうか。投資効率は悪く回転率も普通のオフィスよりも短いのであまり手を出したくない分野だとは思いますが、実際はデベロッパーもこの層を早めに抱え込みたいというのが本音だと思います。

スタートアップ向けの小規模といえばフレキシブルなオフィスを代表するWeworkJust coというようなシェアオフィス系もかなり浸透してきているんじゃないでしょうか

キー②既存ビルのリノベーション

既存ビルのリノベーションで価値を上げるというのがキーになると思います。大型ビルの古い物件は勝ち筋がないと言いましたが、それは既存の大口テナントを取るために通常の貸方をしている場合に限るからです。

現在はデベロッパー各社が既存のビルをセットアップしたりリノベーションすることで価値を上げて、その分古いビルでもある程度高い賃料が取れるのではというテストを行っています。西新宿のオフィスあたりでも始まっており基準階が300坪あるようなビルを小割にしてリノベーションを掛ける事で賃料を高めて価値を上げられるのではという取り組みです。

この手の取り組みが各所で行われると良いのですが・・どうでしょう。設備投資のバランスが悪いという意見も一部であるので難しいですが。300坪坪24,000円でも決まらない築年数が古いビルをそのまま放置しているのであればセットアップ化やリノベーションで投資してでも小口で埋めていけば良いのだとワタシ個人は考えます。

キー③一般化できるかオフィスの保証会社

大手デベロッパービルで一番ハードルが高いと言われるのが敷金の12ヶ月です。これでも敷金はその昔の18か月や15か月に比べると緩和してきたと思われるのですが、スタートアップではこの「12か月の預託金が重い」とよく言われていました。

最近では連帯保証の極度額の問題もあり、なかなか連帯保証人をつけてというのも難しい世の中になったてきたので家賃保証が結構浸透してきたなと思われる節があります。

まぁ敷金12ヶ月を払うことが与信担保につながるという旧来の不動産の慣習がワタシ自身は好きなのですが、やはり時代の変わり目なのか賃貸の保証会社利用ができるビルというのが増えてくることによってオフィスの流動性は上げられるのではと思っております。
逆に既存の賃貸保証サービス運営会社は競合とのサービスや補償範囲の改善など企業努力が必要になります。

保証金や敷金を半額から0円にするという保証会社もあるので各社色々と
選択肢が増える事は良いと思ってはいますが、浸透するかはわかりません。

上記のような3つのキーは大事になってくるかなと思います。しかしそうすると難しいのが大型オフィスビルの空室解消です。この辺の大型オフィス空室解消が進まないのが2023年のマーケットかなと思っています。

大抵マーケットは「大型新築→大型既存→中型既存→中型新築→小型他」というような順番に空室解消が進む傾向があるのですが、今回のように大型新築から埋まらないというのは厳しめなマーケットだと思います。

むしろ最近の傾向としては中型のオフィスや小型がどんどん埋まって回転しているのですが、逆に大型が埋まらないというの逆回転現象が起きているのではというのが感覚的なところであります。

大型オフィスの空室が進まずメインのマーケットとはいえない中型小型が動いており、デベロッパーも中型小型への投資をしているそぶりを見るからにちょっとデベロッパーも大規模オフィスへの投資を控える流れになるんじゃないかなと思います。長期化するのかわかりませんけど、一旦は物件は小型化すると読んでいます。

大型オフィスの勝機は

大型オフィスの勝機は国際的な環境への意識向上があります。
ESG(環境、社会、企業統治)SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが社会に浸透してきましたが外資や東証上場企業などはこの取り組みをかなり意識しています。

オフィスは人が集まり働く場であることは大前提ですが、上記の環境に対する取り組みは国内でもかなり注目度がアップという事実があります。とくにESGに対するプレッシャーや圧力が内外からあるので既存の古いビルだと対応できないというのが課題です。

そういった課題感がある企業は環境への配慮がしっかりなされたオフィスビルに移転することでステークスホルダー向けにもアピールがしやすいという背景があります。

また、社員などの関係各位にはWELL認証です。理想的なのはビルにその機能を設けずに各社企業側の努力という側面もありますが、このような企業誘致の施策にとってWELL認証v2取得ができるようなオフィスビルの設計はテナント企業にとっても移転するための理由付けになると思います。

グリーンビルディング認証

ただし、上記の取り組みはあくまでも大企業や大型オフィスに搭載するにはビルの価値も企業側の選択肢として価値が上がりますが、中小ビルを選ぶようなスタートアップや中小企業にはあまり関係がなかったりとまだまだ難しいです。

とくにESGは投資した分賃料に跳ね返ってくるようなものでもなくビルを開発する側としては手間や労力がある反面賃料は一般的な新築オフィスビルと変わらないといった目に見えない点が評価しづらいところといえます。

2023年のエリアごと賃料目線予測


底打ち感のあるオフィスビル市況ですが、今の状況だと少しやはり値段は下がってくると思います。大型ビルは値段を下げるか長期のフリーレントでなんとか誘致するというストーリーしか作りにくいかなと思います。

足元で300坪以下の中小ビルはしっかり動いているのでこのあたりのオフィスビルはちょっと値段が上がる動きも見れそうな気がします。

押さえておきたいオフィスの相場や賃料目線の早見表を入れました(共益費込み坪単価、成約目線、)

西新宿のオフィス相場
西新宿-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.4万円~2.8万円
西新宿‐新規テナントの妥当な交渉ライン:2.4万円~3.0万円 

西新宿はかなりオフィスビルの相場が崩れてしまっております。これの理由は高層ビルが多くどれも竣工が古めになっていることが原因です。ビルスペックがそれほど高くないので大きく利用していたテナントが移転してしまうと現在の賃料と周辺の物件賃料の乖離が激しいのが難点です。

渋谷周辺のオフィス相場
渋谷-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.7万円~3.2万円
渋谷-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.75万円~3.3万円

渋谷は持ち直した感じが高く既存のオフィスビルも若干値上がりしているものも見られます。桜丘計画や渋谷ヒカリエ横の開発などが最終的にどうなるかわかりませんが既存の空室も少なくかなりコロナ前の水準に戻りつつあると思います。

目黒周辺のオフィス相場
目黒-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.5万円~3.0万円
目黒‐新規テナントの妥当な交渉ライン:2.4万円~2.9万円

渋谷の受け皿のひとつであった目黒は若干だぶついている模様です。JRが手掛ける新築オフィスビルの目黒マークなどがまだ空室を抱えているなど課題はあります。それほどオフィスビルが多くないので大規模な値崩れはないと思っています。

五反田周辺のオフィス相場
五反田-入居テナントの妥当な交渉ライン:1.5万円~1.7万円
五反田‐新規テナントの妥当な交渉ライン:1.4万円~1.8万円

ベンチャー企業やスタートアップの受け皿であったこのエリアですがTOCビルの建て替え延期発表されたことによっていろいろと難しいことになったこのエリアです。もともと渋谷や新宿から近かったけども周辺環境の影響で坪単価1.5万円以下の五反田立地ですが、五反田バレーやスタートアップの急拡大の影響で賃料がかなり高めに引っ張られてしまいました。

正直もう少し賃料目線を落として誘致作戦を練るなどしないと既存のオフィスビルは結構厳しそうだなと思います。五反田ゆうぽうとの跡地も全然決まっていないというのもネガティブな情報のひとつであります。

大崎駅周辺のオフィス相場
大崎-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.4万円~2.9万円
大崎‐新規テナントの妥当な交渉ライン:2.3万円~2.8万円

大崎エリアは駅周辺のオフィスがかなり埋め戻しができました。なかでもゲートシティ大崎やアートヴィレッジ大崎といったオフィスビルが大量誘致にも成功しており一旦は落ち着いた模様です。この流れだと一旦は安定路線が組めたと思います。品川駅よりもちょっと安く、それなりにフロアが確保できる大型ビルというのがうまくバランス取れている理由です。

青山~赤坂周辺のオフィス相場
赤坂青山-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.2万円~2.8万円
赤坂青山-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.4万円~3.0万円

渋谷でも表参道でもなく青山赤坂は現在そこそこの苦戦のエリアです。赤坂と青山は交通の便が良いのですが、JR利用者からするとアクセスが悪くと中々難しいエリアであります。環境は良いのですが誘致しづらい。今回は少し目線が下がるんじゃないかなと思うエリアの一つです。決して立地は悪くないのですが2番立地のアクセスなんですよね。

六本木周辺のオフィス相場
六本木-入居テナントの妥当な交渉ライン:3.3万円~3.6万円(ビル次第)
六本木-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.8万円~3.4万円(ビル次第)

六本木は盛況ではないですが過去の稼働率が戻ってきています。少し賃料を上げているビルもあります。六本木ヒルズ森タワーもあまり外部への募集床を出さない動きと聞いておりますのでそれなりに内部拡張需要もあると思われます。

東京ミッドタウンの六本木も苦しいながらも誘致成功してます。
今厳しいのは住友不動産の六本木グランドタワーあたりかなと思っていますが、六本木エリアは横ばいか少し賃料目線下がるものもあるかなという印象値です。

田町浜松町周辺のオフィス相場
田町浜松町-入居テナントの妥当な交渉ライン:1.6万円~2.3万円
田町浜松町-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.0万円~2.65万円

田町は再開発でだいぶ街の雰囲気も変わってきました。とくに現在はmsb tamachiをはじめとして駅周辺の開発や集約で集まってきています。中規模オフィスが周辺に多いのでこれらにもう少し勢いがつけばよいなと思います。横ばいかなと思います。あまり値段を下げていく印象はありません

新橋周辺のオフィス相場
新橋-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.1万円~2.6万円
新橋-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.5万円~3.0万円 

新橋は中規模オフィスも大規模オフィスも少し弱気な印象、虎ノ門から新橋にかけて結構空室ビルが多く中々解消されていない実態があります。電通も近隣で賃貸しているビルのフロアを返したりしているので少しマスコミ系も元気がないというのが理由の一つかもしれません。新橋駅周辺の中規模ビルやハイスペックビルは決まってきているので大型と築古ビルがキーになると思います。このエリアは若干賃料下げるかなと思います。

日本橋京橋周辺のオフィス相場
日本橋京橋-入居テナントの妥当な交渉ライン:3.0万円~3.9万円
日本橋京橋‐新規テナントの妥当な交渉ライン:3.4万円~3.8万円

再開発が怒涛なエリアなので賃料はキープなんならビルによって少し上がる可能性もあるなと思っています。八重洲エリアの再開発で移転してくる企業も複数見られたのでこのエリアのビルはそういった再開発の需要と供給のバランスから時間はかかりますがそれほど苦戦しにくいのかなと思います。賃料も横ばいだと思います。空室がなくなれば少し上昇もみれるかな
ただし定借の期間によっては周辺の開発完了後に移転してしまう可能性もあるのが少々強気に出にくいところです。

丸の内エリアの周辺オフィス相場
丸の内-入居テナントの妥当な交渉ライン:4.0万円~5.0万円
丸の内‐新規テナントの妥当な交渉ライン:5.5万円~6.0万円

丸の内エリアは稼働率は高いですがその理由の一つとして丸の内の大家さん三菱所が多くのオフィスビルを所有や運営しています。

ある程度賃料コントロールができる事と三菱地所の所有しているオフィスビルが建て替えや取り壊しで移転の受け皿にするといった手法も取れるのが最大の強みです。

今後も有楽町ビルや新有楽町ビルといったオフィスビルが閉館になるのでその入居テナントの受け皿として大丸有エリアでテナント移動をすることで凌ぐことができるのではと思っています。賃料は若干下がってるかなという印象ではあります。

晴海周辺のオフィス相場
晴海-入居テナントの妥当な交渉ライン:1.7万円~2.0万円
晴海‐新規テナントの妥当な交渉ライン:1.4万円~1.9万円

湾岸エリアはどこも大変ですが晴海エリアです。豊洲エリアも近しいものがあるのですが、やはりエリア内に競合ビルが多く値段をある程度下げて覚悟しないといけないビルもでてくるかなという模様です。ただし中央区、頑張れば東京駅にもアクセスできるという地形的メリットが晴海にはあります。ちょっと下げ

台場・青海周辺のオフィス相場
場青海-入居テナントの妥当な交渉ライン:1.4万円~1.7万円
場青海‐新規テナントの妥当な交渉ライン:1.2万円~1.8万円

むしろ昨今になって賃料下落の形が強いのは湾岸の王者たちである台場青海エリアです、もうちょっと広げて天王洲アイルも含まれてきますが交通アクセスの悪さと通勤費用の高さなど色々と難しいです。台場だとフジテレビもあるのでテレビ系のテナントが集まったりもしますがいまは色々厳しい模様。このエリアは大規模なフリーレントや賃料を下げて早めの回収をしたいところです。どうしても都内主要5区のどのビルにもアクセス条件が負けてしまいます。

2023年は暗くないけど不安定

2023年は暗くないけど足元がかなり不安定です。金融リスクや利上げの影響をある程度見込んで外資が再度オフィスへの資金投入してくれば大型のオフィスが一気に空室が決まる可能性もなくはないです。

日系企業が自社オフィスを売却して賃貸オフィスへと動きが加速化する可能性だって十分にあります。

現在はスタートアップ系の企業は3倍から5倍のオフィス拡大をしている企業などもみられることを考えれば前向きな事情は多いとも言えます。しかしコロナの後には世界的なインフレーションや隣国での戦争の長期化という不安要素が大きくあるので、プラス材料とマイナス材料を合わせるとあまり良い感じとは言えないのかなという気持ち悪さが残るのが2023年のオフィスマーケット予想となります。

来年もよろしくお願い申し上げます。頑張った、最終的に加筆したら13,000文字超えた。やり切りました。

記事の下の方にサポートっていうのがありまして、なんと100円からサポートできます。

いわゆる投げ銭!サポート待ってます!

ありがとう

参考資料アーカイブ

かれこれ3年間趣味が高じて色々始めてしまったものです。

↑過去のリーマン超えるか指標です。

↑奮闘しているスタートアップなど中心のオフィス移転の速報。
オフィス物件が好きな人には人気のマガジンです。3年目に突入?移転記事として書いた企業は延べ200社を越えました。応援くださいませ。





主にオフィスに関する不動産知識や趣味で短文小説を書いています。第1作目のツボ売り、それ以外も不動産界隈の話を書いていければ良いなと思っています。 サポート貰えると記事を書いてる励みになります。いいねをしてくれるだけでも読者がいる実感が持ててやる気が出ます