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オフィス移転や賃料交渉を考えている方へ向けたマーケット情報2022から2023に向けて

こんにちは、皆さんいかがお過ごしでしょうか?いまだにnoteもTwitterもいまいちなのですが、肌で感じるオフィスの相場というものの第3段ですね。

note創作大賞もいま一歩進めず、やさぐれております。
やはり癒やしは不動産・・・自分の得意とするオフィスにもう一度立ち戻りオフィスの良さや素晴らしさを説いていくnote作りを、、、閑話休題

という事で今回もコンセプトは「オフィスビル賃貸を普段扱っていない方がその場しのぎでも相場観を伝えられる情報」という、不動産屋さん向けの記事になっています。

例えば普段賃貸レジをやっている方やオフィスビルの売買をやっているがマーケットの最新の賃料帯を知りたいといった方向けです。

逆を言いますと、オフィスの仲介やってる人やアセット周り、オーナーリーシング担当者にとっては物足りないかもしれないので、その辺をよく加味しながら読んでいただけると助かります。これであなたも明日からオフィス相場に詳しい専門家(風)に早変わりです。

※この記事を対象にしている方は上記の様な方向けです。

一応
お試し版として1年前のアーカイブ情報を残しておきますよかったらおためし版としてご購入してもらえればイメージ湧くと思います。

オフィスの相場について2020~2021年ってどうだった?

コロナウイルスの影響が始まって、はや3年。マーケットは2極化していました。

一時期始まったオフィス不要議論やリモートワーク推奨であったりは引き続き進行しているのですが、最近は出社している(しなくてはいけない)企業様が増えていると思います。

この辺の理由からオフィスマーケットはすでに退去から入居のフェーズに入り、活発化しているのてなおかつオフィス仲介業者様もさぞかし儲かっているという話をちらほら聞きます。

なぜそんな事になったかと言えば、昨年ごろ大規模な組織体企業は大きく動きだしをして面積を減らし、新しい働き方を模索しようとしました。

リモートワークの推進、地方移住、働く場所の自由化、就業規則の緩和、サテライトオフィスの確保

これによって人々は必ず本社オフィスへの出社をしない環境、まさに理想郷が手に入ったと言えます。

しかし、すでに動きが早い中小企業はリモートワーク系の限界を感じていてオフィスに戻ってきているというのがこの1年位のトレンドです。

2022年以降の相場情は新築ビルが鍵を握る

2020年の4月からリモートワークに余儀なくされ、その後空室や解約、居抜で貸したいテナントが増えました。解約も増えています。

これでオフィスはいらない、不要だという声もいくつか聞きますが、同時にオフィスの移転や拡大移転もまだ止まっていないのが現状です。

中小は出社傾向に動き出して拡張やビル内での増床が盛んに動き始めました。大手企業はあと数年はサテライトオフィスと運用して採用や育成で問題が出ないか試行錯誤すると思います。

さて,オフィスを移転するとなれば賃料に大きく影響するのが平均賃料と空室率です。基本的に空室率が高ければ賃料が下がり交渉しやすいし選ぶオフィスの選択肢が増えます。

ここに2022年後期から多くの新築オフィス供給が始まるのです。

ちなみにですが現在は

<<新築オフィスが苦戦しておりビルの賃料が上げにくいのが今>>

です。

理由の一つは新築ビルのフロアプレートが大きく中小企業の体力では借りられない。(1フロア1000坪とか)
もう一つ、新築ビルの賃料は相場に比べれば高くなりこれも中小企業は手が出せない。

つまりは大手老舗や超メガベンチャーが新築ビルに移転してもらい、既存オフィスの新陳代謝を良くしてくれないと、なかなかそれ以外の企業が身動き取りにくい市況とも言えるのです。

2022年以降で重要視されるのが再開発や新築オフィスビルの竣工です。2022年内である程度目処がついている開発計画として以下があります

桜丘開発

そして虎ノ門麻布台プロジェクト

東京ミッドタウン八重洲などがあります。

この手の再開発は埋めなくてはならないフロアプレートも大きい為に中々埋まりません。つまり新築ビルが活況であれば、相場は上がってくるのですが現在はどのデベロッパーも苦戦気味です。

八重洲のミッドに至っては東洋経済からこんな記事出されてしまい、かなり痛手です。事実な部分実態も多いけど真実はこういうことじゃ無いと思うんですけどね

そういった弱気になる背景から値上げの風潮にまだ踏み切れないオーナーも多いのが実態だと思います。

例えば虎ノ門ヒルズの再開発に先駆けたT-LITEなども大変良いビルなのですが中々テナントが決まらない。2022年は新築オフィス業界としてはかなり大変な状況なのです

ちなみにミッドタウン八重洲が4割、虎ノ門麻布台も5割程度、桜丘も3割から5割程度、T-LITEは1割-2割の成約状況という話を聞いておりまして大規模開発の物件が決まらないというのは2022年1月くらいからあまり話が進んでいないというちょっと厳しいなというのが感想です。

新築ビルが決まるとどうなるの?

新築のオフィスビルが取りあえず埋まってくると2次空室が発生します。

簡単にいえば2,000坪のオフィスへの移転が決まれば今いるオフィスに拡大ならば1000坪くらいの空きが出てきますし、規模の縮小であれば3,000坪くらいの空きが出てくるという話になります。

しかもこれらはすでに確定している空き情報になるので、各デベロッパーや仲介会社はそれを見越して空室率の予想や賃料の試算していくこととなるかと思います。

A社が移転するぞ!どこどこの新築ビルだ!つまりはうちのビルから2年後に退去がほぼ確実だ!

みたいな流れです。

今は新築ビルへの移転が決まっていないので、むしろ既存のビルは小康状態といえる状況かなと思っています。

そのため既存ビルの取り合いが激化しつつ、やっぱり全体的には停滞感が否めない2022年。そして大量供給のある2023年があるので停滞しつつやや下降気味なのが2022年春から夏に掛けた空気感。

以下各エリアの今の相場や状況をまとめてみました。比較的Bグレード以上のオフィスだと想定してもらうと良いです。

▼賃料相場、西新宿の大型オフィス編

オフィスビル募集の指標になるのが西新宿です。実はリーマンショック後の西新宿は非常に人気がなかったのです。

ベンチャーも集まりづらく、西新宿もある程度事業として完成した会社がオフィスを構えるという印象も強く、リーマン後は本当に苦戦しました。

コロナウィルスの影響も空室状況や西新宿の相場としては、リーマンと同水準くらいまで今下がってしまいました。

特に新宿センタービルなんかは私募ファンド物件だったのでとにかく価格は下げられない・・・たしか2011年当時で25,000円程の条件でやっており、高いから決まらないと言っていました。

この物件が2019年末の目線では3万円後半からあわよくば4万円に載せたいといっているような状況でした。

しかしながら見誤ったのか2021年末で3.5万円前後で決めると息巻いてました。現実かなり厳しい1年間でした。結局2021年にこの強気な価格が払拭できず入居も決まらず空室率が上がってしまいました。

さて、新宿のビル群でいえば、その他にも新宿野村ビル・新宿エルタワー・新宿NSビル・新宿三井ビルがあります。

しかしコロナの影響で見直しは大きく図られており現在はそこまで強気な価格をキープするのは難しい模様。ただし各社予算の組み方や利回りの見直しもあるので、2020年から2021年まではそこまで大幅に賃料を下げられない事情もありました。

新宿を代表するビルといえば「新宿エルタワー」は駅から近くとても人気がありわかりやすい単価設定です。人気があるのですが、基本的には審査が厳しい。生保系なので単価よりも与信でとるオーナーですね。ちなみにリーマンや震災後は26,000円ぐらいでしたが、現在は3万円台前半(30,000~33,000円)を推移している状況です。

人材や銀行系など来客しやすいテナントが入居してますね。スクール運営にもメリットが見出せる良いビルです。あと比較すると新宿三井ビルが良心的な値段設定です。三井不動産の物件は全般的に良心的な価格設定が人気の秘訣です。ちなみにリーマン後も2万円台中盤、今でも3万円台中盤という価格設定なので西新宿界隈だと高い稼働率を誇っています。

西新宿全体の価格を考えるにあたって、大型のタワービルであればとにかく今は27,000円以上です。それが今の相場です。

もちろん駅から遠ざかって都庁から更に先に行けば価格は安くなります。

新宿エリア特に西新宿は建設関係や人材関連、教育といった企業が何かを行う際の重要な拠点となるエリアです。

西新宿の景気というのはそのまま東京のオフィス景気にも繋がるのです。西新宿に空きがない状況であれば、西新宿と丸の内のこの2拠点を確認すればほぼ相場観がわかるといっても過言ではないでしょう。

西新宿-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.5万円~2.85万円
西新宿‐新規テナントの妥当な交渉ライン:2.7万円~3.1万円 <NEW>

▼賃料相場、渋谷の大型オフィス編**

さて、次にスタートアップやベンチャー企業が大好きな街。渋谷です。渋谷の市況も非常に高騰しました。一時期はガチンコで丸の内に勝つぞと東急電鉄(今は東急)の営業たちが発狂していました。案外あがったので東急の目論見も嘘ではなかったという驚きの価格

さて、では指標となりそうなオフィスビルの話をしましょう。ではでは一番注目株の既存物件。渋谷ヒカリエ

ここのオフィスフロアですが新築時は人気があったのですが、実は渋谷の新築の中ではあまり単価が伸びずに40,000円前後の着地になっていました。もちろん表面単価の話でしたが、その後は館内増床や大型移転は若干あったものの2019年に1度募集がでました。その時の単価は4万円台の半ばから5万円という市場からはかなり高いですが、瞬殺で決まったという渋谷ベンチャー効果が出た案件でした。

その後2021年に更に空室が出ましたが長らく長期検討していたテナントが決まって無事にヒカリエは100%の稼働になります。つまり駅上立地はコロナの影響を跳ね除けることが出来るくらい強いということです。

その他の観測地だとすると、コロナ前、渋谷マークシティの4万円中盤~というのも話題でしたが、やはりこの2物件+渋谷のスクランブルスクエアなどの新築が満床になるという話なので、いわゆるSクラスやAクラスビルは活況です。

※結果としてマークシティは3万円台に落ち着いてこちらも満床稼働とのことです。

その他既存の東急関連の物件や周辺物件が軒並み32,000円~34,000円ということを考えるとかなり渋谷の市況超絶高騰です。正しいのかなこの賃料設定?

渋谷-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.7万円~3.0万円
渋谷-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.7万円~3.2万円 <NEW>

さて、もう一つ大きく渋谷のマーケットで動いているのが新大宗ビルの建替えです。渋谷の中でひときわ安くその上ベンチャー評価の高いこのビルが開発及び立ち退きになりますと結構マーケットが賑わうことになります。

新大宗ビルからの移転でかなりのオフィスが今潤っていると聞きます。つまり新大宗からの立ち退き移転で既存の渋谷ビルがそれなりに埋まる棚ぼた状態も相まってます。

同時に今後10年スパンでは渋谷エリアに中規模大規模の供給があるのは注視しなくてはいけないポイントなのですが・・・一旦は景気良い

さて、一駅離れると恵比寿駅です。

恵比寿ガーデンプレイスがありますが、ここはモルガンスタンレーの関係もあって一時期不景気なリーマン後も30,000円は切れないというかなり苦戦をしました。

ガーデンプレイスはリーマンと同じくコロナ後のリーシングは苦戦しています。やはりこのビルは人気もありブランド力も高いのですが周辺の駅上ビルが空室になっている状況だと今ひとつ魅力に欠けるというのが弱みなんですよね。

恵比寿ガーデンプレイスやはり変わらず目線は30,000キープといったところでしょうか。過去にはDMM、その後、クックパッドコロプラ *1といったメガベンチャーを移転により失ってしまったので大口の床を埋めるのは大変だと思います。

渋谷や目黒の周辺が落ち着くまで様子見しないといけないのかなと思います。共有部分などは豪華なビルなので個人的には好きなんですけどね

<<渋谷区エリアは空室率改善の兆しが強い>>

それでも中小やベンチャーが強いのが渋谷区です。いま2022年ではベンチャーが戻ってきており、いっときの渋谷よりは賃料が求めやすくなっていることからかなりの企業がオフィスを増床しています。

なので、今の渋谷区であれば築年数が古くても24,000円以上は十分に取れるという市場です。ただしこれは基準になるフロア数が50坪~70坪以上のオフィスビルに限った話ではありますが・・・・

恵比寿といえばビジネスタワー、ウノサワ東急、恵比寿ファースト、プライムスクエアなどありますが新たに募集が出るとしても3万円以下になる事は今のところ無いでしょうね。という強気な指標です。

*1 クックパッドはWeworkみなとみらいへ移転、コロプラは六本木のミッドタウン・イーストに移転

▼賃料相場、目黒や五反田の大型オフィス編**

目黒は大型ビルが少なくて、2017年に竣工の目黒セントラルスクエア(新築)が観測できる限りの大型供給でした。

2015年から積極的にリーシングが始まったのですが、これほど大きなフロアが取れる新築が無かった為、3万円台前半という強気な設定ではありましたがかなり取り合いになりました。イメージでいえば今の田町の新築(msb-tamachi)と状況は似ています。

当時は目黒??いや渋谷よりだいぶ離れるじゃんという話でしたが、大口のAmazon Japanがまとめて借りてしまった為、竣工を待たずして満室稼働になりました。

それ以外にも徳間書店やUSENグループなど比較的多様性がある良い銘柄がビルを借りたなと思います。

というわけで目黒のA級・S級ビルは「目黒」の立地であっても30,000円とれるという認識です。

2022年あたりだと新目黒東急(スターバックス本社)のビルで募集が出たのですが、当時は渋谷恵比寿も少し空きが出ておりまして2019年ほどの高騰はしなかった模様です。それでも3万円台前半から切るかという金額帯だったようでして(28,000~30,000程度の着地)というそこそこインパクトのある金額で出ていました。

逆に有名成長ベンチャーであったリブセンスがコストの削減目的でWeworkに移転するなどベンチャーにとっても中々影響力のある移転でした。

しかし、空室を埋めようとする東急不動産も強気というか、周辺の動向の把握や価格決定が上手いなと思います。このビルスペックが結構良いので妥当だと思います。

目黒-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.7万円~3.0万円
目黒‐新規テナントの妥当な交渉ライン:2.5万円~2.9万円

ちなみに目黒を代表するアルコタワーに2,000坪単位の募集が出ましたが2021年時点でそこそこ半分くらいは解消されたそうです。

上記のジールス社や恵比寿にあるレオソフィア社が拡張移転で移転します。

アルコタワーはビルのグレードも高いのですがどうしても駅から遠いと評価されていたビルです。

基準階坪数が大きく、分割対応しているのが強みですね。過去に入居していたテナント成長企業なので割と運気もいいとか。

これが埋まってくると目黒は品薄感がでてきますので、目黒区のオフィスの空室状況は解決できているのだなと思っています。

じゃあ、五反田どうかっていうと、今は変わらず結構高いんですよ。五反田メリットが感じづらい価格帯なんですよね。

<<TOCビルの開発決定によって五反田に大量な動き>>

まずは五反田のベンチャー九龍城であるTOC。このビルの建替えが正式にGOしまして現在TOCビルのテナントが大規模に移転を始めています。

TOCビル内で500坪くらい使っているテナントもいらっしゃるので建替え需要で他のビルへの移転というのは最近かなりあるとのこと。

やはり移転先は五反田エリア内もしくは単価のやすいエリアに広域移転といったニーズの2極化があるみたいです。

これらの動きが空室率に大きく影響しており、建替えビルから退去する場合一時的に周辺ビルの空室が解消されやすい傾向にあります。

特にTOCビルは安くて大型ビルでしたので多分立ち退きニーズで10,000坪くらいの動きがあるわけです。

単価帯もやっすい物件だったのでテナント移転先は難航気味と聞いていますが、こういった理由もあってオフィスビルの移転が賑わっているという話もあります。五反田、大崎、目黒あたりがTOCビルからの移転で賑わい始めたと聞きます。

五反田って安くないのって思う人も多いですけど、これでも安いんですよ。五反田。しかしTOCビルからの立ち退きがあるとベンチャー企業が五反田に関わらず分散します。

五反田で育ったメガベンチャーといえばfreeeとDYMがありますがどちらも大崎に移転しました。結局1,000坪越える事業規模になってくると五反田では埋められず大崎や品川(もしくは渋谷)に分散します。

ちょっと五反田相場が厳しくなってきたなというのが感覚です。

同時にゆうぽうとの再開発が始まり数千坪の目処があるなんていう景気のいい話も聞きます。そのあたりを考えるとまだまだ五反田も捨てたもんじゃないなと思います。

ただ、ゆうぽうとの開発は郵政不動産なので既存顧客も複数あります。上記材料だけで五反田イケる!と判断するのは良くないと思っています。

という事で五反田で普通のビルが20,000円とかでしたがちょっと今後の見通しを考えると少し下降してくるだろうなと予測します。

五反田-入居テナントの妥当な交渉ライン:1.5万円~1.7万円
五反田‐新規テナントの妥当な交渉ライン:1.4万円~1.8万円

ここから、さらに一駅の大崎駅という立地がありますが実はここのエリアはそれほど大きな高騰は起きていません。そもそも賃料の基本単価が高いのです。品川からもアクセスがしやすく高層のオフィスビルも多いし開発もそこそこ盛んです。

ゲートシティ大崎・シンクパークタワー・大崎ウィズタワーとどれも稼働率がほぼ90~100%です。今はゲートシティがちょっと弱いかなというところ

少し離れた大崎MTビルも価格は若干リーズナブルになるものの一時期満室稼働でした。

大阪駅の周辺であれば最低2.0万円から物件があり、MAXでもいまなら2.9万円が今の価格帯です。

大崎-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.3万円~2.8万円
大崎‐新規テナントの妥当な交渉ライン:2.2万円~2.7万円

大崎の空室率や価格の指標にするならば森トラスト(森開発)の大崎MTビルや御殿山トラストの空き状況と価格帯をおさえておけば市場を反映する鏡となります。あとは大崎ニューシティあたりの古めの高層ビルでしょうね。

大崎ゲートシティ>大崎ニューシティ>大崎MTビル。賃料のある程度の序列です。駅からの距離とほぼイコールですね。

ちょっと遠いですが積水ハウスのガーデンシティ品川御殿山や住友不動産の大崎ツインビル東館といったわりと大床の物件もありますので大崎エリアは少し下げ気味だというのが感想と予測です


▼賃料相場、青山・赤坂の大型オフィス編**

エリア変わって、青山から赤坂にかけては元々センス良く募集単価が高かったので渋谷ほどの大幅な高騰してないんですよね。

あまりオフィス賃料の影響をうけにくい・・といっても店舗系は青天井で賃料あがりますけど。さて青山エリアを観測していきますと青山タワープレイスは2012年時点だと25,000円程度だったのが今現在32,000~33,000円といった賃料目線に上がっています。その他青山や表参道エリアであれば青山パラシオタワーなど有名ですが、実はこの物件はそれほど単価目線が上がっていません。33,000円~35,000円の間を行き来している状態です。しかし残念なのは空きがあまり頻繁に出ない事で有名です。今なら

さて、赤坂にエリアになると値付けが難しいですがYahoo!!が移転したことで有名になった東京ガーデンテラス紀尾井町。

エリア的にちょっと微妙なエリアではあったものの西武プロパティによる気合の入ったプロジェクトでしたがやはり表面単価は3万円台中盤というところでした。均しても3万円以上はキープできる水準でしょう。周辺の大型ビルだと3万円中盤(33,000~35,000円)で稼働中です。Kタワーとかが指標でしょうか。鹿島建設の趣味満載のビルですがそれでも100%稼働。鹿島も嬉しいでしょうね。

しかしコロナの影響でYahooの床は縮小・・・そこへデジタル庁の入居や第一生命の移転など募集面積をうまく工夫して埋め戻しています。

結果としてビルも評価されているので3万円台のなかばをしっかりキープしているという良さげな情報です。

赤坂エリアで相場観といえば赤坂Bizタワーが一番のトップビルなのでここで単価決まってくると思います。ちなみに3万円台の後半(37,000~39,000)という強気な目線です。

明らかに赤坂のエリアでこのグレード感のビルが不足しているので赤坂Bizタワーの価格設定がこのエリアの賃料相場を牽引していると思います。TBSのおひざ元なのでテレビ関係やエンタテインメント関係の企業が周辺にたくさんあります。

少し離れて赤坂パークなんかもありますが、逆に駅からのアクセスやグレードで換算すると少々スペックが落ちます。ちなみに赤坂パークならば3万円には届かないものの3万円に近しい数字がつきます。今募集出したらとりあえず3万っていうかなというライン。さすが大型ビルは立地がちょっと悪いくらいでは値段が下がらない。

ちなみに今だと赤坂ガーデンシティも3万円届いたかな?それとも2万円後半で落ち着いたかという価格。

駅から遠いし坂道の真ん中にあるし高いけど環境が豊かで老舗企業や外国企業にはウケますよね。エントランスも広いし余裕がある。あと上層階の景色は東京の中でも有数ですよ。

赤坂青山-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.0万円~2.7万円
赤坂青山-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.4万円~3.2万円

▼賃料相場六本木-虎ノ門にかけての大型オフィス編

さてと六本木です。長らく空きが外部には出ないという話だった六本木ヒルズ森タワー。今回も全然空きません。そもそもGoogleが渋谷に遷都するから大量に空くだろうという目論見に反して空き床が出ないというちゃぶ台返しもあり六本木ヒルズは満床(内部増床や関連ビルからの移動で片付いてしまう)

六本木ヒルズが空くならなんぼですかね?という話はよく聞くと思いますので大体の相場観でいけば、2014年から2016年にかけて36,000円などでも順当に決まっていった背景を考えると今外部にでるとするならば40,000円以上の値をつけたいところ、42,000~45,000円でも良いと思うのですが、彼らは今後の新築を「虎ノ門」や「麻布台」に抱えているので需要と供給面でもなかなか厳しいかなと思います。
ビル館内のテナントであっても、43,000円くらいかなーやっぱりという感じ。ただし森ビルとしては既存テナント営業先だけだと先細りするので多少安くしても外部テナントを誘致したいだろうと思います。

ちなみに東京ミッドタウンもタワー棟は相変わらずの人気でほぼ満室稼働です。ちなみにその時も区画の大きさによって40,000~43,000円(いっても45,000程度)という状況でしたので、そこまで強気ではないかなという感じです。さすがにミッドタウンを表面3万円台にはしてこないと思っていましたが・・・周辺に競合するビルも多いので仕方がないかなと思いました。

ミッドタウン・イースト(コナミ跡地)でしたが本当に苦戦してのをなんとか少しづつ埋めたのだなと思います。まずはネットフリックス社の拠点開設。これは見事でした。

次にANYCOLORといったスタートアップ・ベンチャーをしっかり取り込みました。(すみふのビルから見事に引く抜くという良い仕事)

そして、コロプラ社の移転ですね。コロプラはフロア面積を小さくしつつ次世代の働き方を推奨というような戦略でした。長らく恵比寿にいたコロプラ社にとっては大きな決断だったと思います。オフィスビルの坪単価がどうしても合わないので、多分三井不動産のオファー条件はえげつないことが予測できます。

ガーデンプレイスの賃料目線が3.0万円に対してミッドタウン・イーストが3万円台後半からであったので表面単価は折り合いません。ビルのスペックは上がるので入居条件などで工夫したと思います。フリーレントや内装など。

対して泉ガーデンや六本木グランドタワーといった住友の大型ビルはすでに空室も少ないので強気価格で攻めています。4万円程度

エイベックスの本社ビルの影響でエイベックスの移転~その後の大量空室がでてもしっかり決めてきました。とはいえ泉ガーデンは新規の空きが出ています。

全体的に空きが増えてきてガンガン引き抜きたい住友。対しての空きが無いが六本木で負けたく無い森ビル。水面下で誘い込みたい三井の三つ巴の戦いが始まってます。

森ビルはmedley社の移転やGREEの移転で住友に綱引き2勝中です。胆力ある


六本木-入居テナントの妥当な交渉ライン:3.3万円~3.6万円(ビル次第)
六本木-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.8万円~3.4万円(ビル次第)

▼賃料相場 田町から浜松町までの大型オフィス編**

田町は2019年とても熱かったエリアです。特にmsbTamachi 田町ステーションタワー。S棟もN棟もちゃっかり完成前にほぼほぼめどが立ち満室稼働になるというハイパーミラクル物件。まさか田町で坪3万円以上の単価で決まる日が来るとは・・・という脱帽エリアです。

そもそも五反田が空室状況厳しかったので、三田や田町にベンチャーが流れているという話が多くありました。このエリアだとマネーフォワード社なんかが注目でしたが、田町だとバンダイナムコの集約移転など、比較的若い層が多い企業の移転も積極的でした。

ちょっと単価が浮いている新築物件がmsbTamachiですが、実際決まってくると周辺エリア募集金額もひっぱられて上がってきています。

msb田町の銘柄も今までになく良い感じです、docomoグループやIndeedやIT関係の銘柄やスタートアップベンチャー界隈からはdelyの移転なんかはマーケットのけん引には持ってこいです。話題性も高いテナント誘致ができました。その他上場企業などの移動もありmsb-tamachiは2棟とも成功したなという雰囲気が漂っています。

ちなみにリーマンショック後の不景気田町の相場は良い感じのビルでも、15,000円~16,000円です。2万円近くとれるビルは稀でした。

三田ツインでも2万中盤(23,000~25,000円)いければ御の字という感じでした。それこそ2012年と言えば三田ベルジュが新築開業して苦戦を強いられつつも20,000円以上は死守という時代でしたので田町はそういう意味でもちょっとリーシングがキツイエリアです。

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主にオフィスに関する不動産知識や趣味で短文小説を書いています。第1作目のツボ売り、それ以外も不動産界隈の話を書いていければ良いなと思っています。 サポート貰えると記事を書いてる励みになります。いいねをしてくれるだけでも読者がいる実感が持ててやる気が出ます