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部活の思い出 ―仲間の分を背負うということ―

こんばんは、心太です。

今日はなにを書こうかなあ、とぼんやり考えつつ、他の方の記事を眺めておりましたら、こんなお題を見つけました。

【部活の思い出】

決めた。
今日はこれにしよう。

心太の部活

ぼくは、生粋のバスケットマンだった。
学校にも勉強をしに行くという意識はほぼなく、部活と友人との遊びのために行く意識の方がずっと強かった。

小学校から数えて、10年ほど続けたことだから、思い出は本当にたっっくさんある。

でも一番の思い出は、引退試合だ。
引退試合、ということは、そう、敗け試合ということになる。

ぼくは小学校の頃から、相手が格上のときに元気になるプレイヤーだった。
少年漫画に出てくる戦闘狂キャラ的な気質で、強敵に向かっていくのが大好きだった。
逆に、勝てる試合のときにはミスを連発し、かなり序盤で反則退場をしかける、そんな集中力にムラのあるプレイヤーだったので、監督は非常に使いづらかったのではないだろうか。

引退試合の相手は格上も格上だった。
身長2m近い外国人を2人要し、高卒後にプロになるプレイヤーもいるような学校で、その年のインターハイの全国ベスト8に入ったチーム。
対するぼくの学校は、地方の公立進学校。
舞台は、県大会のベスト8をかけた試合。

なかなか絶望的な戦力さ。
そして、ワクワクする心太。
結論から言うと、ぼくの部活人生のベストマッチだった。

でも、この日の絶好調には明確な理由がある。

一番印象深い出来事

そのときの試合は、高校部活の最後の大会の一幕。
この試合に敗けることは、競技としてのバスケットと別れを告げることとほとんど同義だった。

試合前のいつものミーティングで、当時のキャプテンが言った言葉が、ぼくの調子を爆上げしたのだと思う。

「出てるやつは出れないやつの分までやろう」

本当に当たり前なんだけど、このときのぼくにはこの言葉がびびびっと響いた
本当に、本当に不思議な感覚だったことを今でもありありと覚えている。

高校部活最後の試合だという意識
競技人生が終わりを告げるという予感
そして、この仲間達と少しでも長く同じチームでいたいという想い

いろいろな要素が影響していたと思う。
でも、確かにぼくの頭の中にキャプテンの言葉が残っていた。
「でれないやつの分まで――」

試合前の体験

バスケットの試合の前には、各チームがコートの半分を使ってウォーミングアップをする時間がある。
いつもと同じようにメニューをこなしながら、その日の体の調子と体を動かす力加減を調節する。

いつもと違ったのは、チームメイトの顔が良く見えたこと。
一人一人の表情や、性格、プレースタイル、三年間の思い出
特に、自分と同じポジションで、小学校から同じチームで戦い、不運にも大会の3日前にケガをしてしまったチームメイトのこと

そうしてると、ふつふつと自分のこころの中で、いつもとは違う感覚が湧き上がってくる。
今だったら言葉を当てることができる。
あれは恐らく、“使命感”、というやつだったんだろう。
なんだか、いつもよりもずっと力が湧いてくる気がした。

試合中と勝敗とそのときの心太

試合中も、「これは〇〇が得意だったプレイだ」、「△△が出ていたら、こうやって点をとっていただろう」、試合に出ていない仲間に思いを馳せながら走った。
文章にすると、うすら寒い感じもする。
でも、あのときは確かに、チームメイトの存在が胸の内に在った

試合結果は、20点差でボロ敗けだった。
漫画だったら主人公が覚醒して、大番狂わせの場面なのだが、そこは現実、そうドラマチックにできてはいなかった。
というか、相手チームには相手チームのドラマがあった、というだけなんだろう。

みんな泣いていた。
ぼくは泣けなかった。
バスケは自分のチームからは一度に5人しかコートに出られない。
ベンチに入れる人数は15人だ。
半数以上が試合に出れずに、競技としてバスケをする機会を終えたことになる。
自分は幸運だと思った。
チャンスを、機会を与えられた。
最後に、終わりのときに自分自身であがくことを許された

だから、みんなの肩を叩いて回った。
悔しさと悲しさに暮れるより、一緒に戦っていたことを伝えたかったのかもしれない。
それがいいかどうかも分からないし、意味があったかどうかも分からないけれど、そうしたかった。

そんな、特にオチもない、ぼくの思い出話。
ぼくは恐らく、最後の試合にして、ようやっと仲間を代表することの意味や、自分のためだけじゃなく、他人のことを背負うことで発揮される力を知った。
もっと早くに気付いていればとも思った。
だけど、最後の大会のあのタイミングに、キャプテンのあの言葉あったからこそ、ここまで深く、強くこころに残っているんだろうな、とも感じる。

最後に…

とまあ、完全身の上話の記事でした。
ここまで飽きずに読んでいただき誠にありがたいことです。

さて、この思い出を書こうと思ったもう一つのきっかけは、キャプテンが結婚するという報告を受けたからです。
正確には、だいぶ前に報せは受けていたんだけど、式への出欠を返し忘れていて(送ったつもりで行く気満々だった)、催促の連絡がきたからですが(笑)
ごめんよキャップ

なんとなーく、感慨深くなって、思い出したこともあったので、勢いそのままに記しておくことにしました。

お付き合いありがとうございました。

では、また。


心太

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