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The Gardens By The Bay と Amazon Spheres

年末年始に初めてシンガポールに行った。

1週間シンガポールに行くと話したら、ほとんどの人が

「やることなくてつまんないよ」

とおすすめ(?)してくれた。ショッピングやテーマパークで遊ぶくらいしかすることがないらしい。

実際に想像していたほど近代的ではなくピカピカにきれいだったわけでもないので、拍子抜けしたというのが、一部正直なところ。

でも、私にとってはめちゃめちゃおもしろかった。できれば、またすぐにでもシンガポールに行きたい。それは、現地でのタクシードライバーの話がみんな面白かったから。その話を書こうと思ったのだけど興味深いことを発見したので、それを先に。

英語の勉強をしていたら、シアトルのAmazon本社の近くにできた"Amazon Spheres"という植物に囲まれたオフィスの記事をみつけた。

見た瞬間に思ったのが「これシンガポールのあの植物園?」。

あの植物園とは、マリーナベイサンズの近くにある「The Gardens By The Bay」のこと。リンク先の記事を見てもらうとわかるけど、空間の作り方とか植物の配置とかがすごく似てる。同じ建築家が設計したのかと思って調べてみたら、残念ながら別の建築チームだった。

実際にこの植物園に行ったときに「すごく気持ちのいい空間だけど、なんか足りない」と思った。ただ単に植物を鑑賞(体験?)するだけではもったいないような気がしたのだけど、それがなぜかはよくわからなかった。ただ、この中にカフェがあるといいのになーと思ったことはたしか。

Amazonのオフィスではその疑問が見事に解決されていて、なるほどなぁと感心した。この建築自体は世界的なトレンドなのかもしれないけど、それを単なる観光スポットとしてではなく、オフィスに取り入れるところに妙に納得。

昔、いや今でもあるのかもしれないけど、オフィスに植物がいっぱいある会社というのはいくつか見たことがある。けれどもそれらはいずれも普通のオフィス空間が植物に満たされているというだけであって、ビル全体が植物園のような空間になっていたわけではない。もちろん日本のオフィス事情も影響してると思う。

ただ、シンガポールの植物園もこのAmazonの新しい社屋も、都会の中にガラス張りの、しかもきちんと温度が管理されたほどよい植物空間があるということが共通点。人、特に働く人たちは生活環境の中に緑を求めつつも、雨や風、暑さ寒さといった自然環境にさらされるのではなく、あくまでも自分たちの快適さに合わせた緑の空間を求めているのだろうなぁ、なんてことを思った。

最近、日本にもWeWorkが進出して、果たしてどんなに素晴らしいオフィス空間を提供してくれるのか楽しみにしているのだけど、このAmazon Spheresのようなシェアオフィスが東京に登場するのは、日本のオフィス事情を考えてもまだまだ先のような気がする。シンガポールの植物園のような空間を丸ごとオフィスにしたことは、Amazonが観光地の発想をオフィス空間に取り入れて新しい価値を作り出したという点で1歩リードした感がある。

アミューズメントパークのような仕事に没頭できない空間でもなく、かといって従来のオフィス環境の延長線上でもなく、自然と触れ合っていたいという人間の欲望を満たしながら植物が持つ力も享受できる。

新しいことに挑戦するアジアのハブ・シンガポールの植物園と、次々と新たなサービスで攻めまくるAmazonの職場づくりの試みが似ていることがとても興味深い。この先、似たようなオフィスが世界で出てくるのか、はたまた別の空間にこの植物園の考え方が取り入れられるのか、今話題になっているAmazonの第2本社がどこにできて、どんな空間を作り出すのか、個人的にとても楽しみにしている。

実際に世界では、緑化というか、擬似自然空間みたいなトレンドがあるのかな? たしかパリで壁一面が緑化されたマンションを見たので、空間緑化の流れは、ある程度知られたものなのかもしれないなぁ。


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