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【本日発売!】コロナ禍で政治に絶望した方々に捧ぐ〈前向きなGoTo旅行〉のご提案

角川書店(KADOKAWA)より第8作目となる新しい著書を上梓しました
  
タイトルは、『地方選 無風王国の「変人」を追う』(全288ページ)です。

装幀は、デザイナーの岡孝治さん。編集は、小川和久さん。写真は、「ふるさと納税」の豪華返礼品で有名になった佐賀県三養基郡上峰町で、私が撮った春の風景です。

ドドーン!

地方選_表1

9か月前に発売した前作『無敗の男 中村喜四郎全告白』を書き終える前後から着目してきたのは、国でもなく、県でもなく、市でもなく、郡部、つまり町と村の政(まつりごと)でした。

北海道から九州まで、7つの町と村を旅し、その土地で繰り広げられた村長選や町長選の表と裏を活写することを通じて、日本政治の奥の奥、そこに映る「にんげん」の本性にまで肉薄しようと試みました。

一人でリュックサックを背負って訪ねた先は、こちら。

一、青森県下北郡大間町/人口4676人
二、北海道河西郡中札内村/同3851人
三、大分県東国東郡姫島村/同1749人
四、愛媛県北宇和郡松野町/同3822人
五、和歌山県東牟婁郡北山村/同434人
六、北海道幌泉郡えりも町/同4547人
七、佐賀県三養基郡上峰町/同9623人
番外編 群馬県吾妻郡草津町/同6255人

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ちょっとカタい表現をいたしますと、「選挙の民俗学」、「首長の文化人類学」といったテイストですが、普段の政界取材よりも肩の力を抜き、その土地の味覚や名所を楽しみながら書いてみた〈異色の旅日記〉という感じの仕上がりになっております。

例えば、青森県下北郡大間町。

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からの・・・、

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マグロ丼!

各章のタイトルもこんな風に。

第1章 えふりこぎ
第2章 コンビニ店員の逆襲(※プレジデントOLにて特別公開中!)
第3章 風にとまどう神代の小島(※同上。一部公開中!)
第4章 ドンの5日間戦争
第5章 国道ファースト主義
第6章 仏頂面と波乗り男
第7章 嘘つきと呼ばれて

誰にも注目されないどころか、行われたことすら知られていないマイナーな地方選の現場を自由に見て歩いていたら、たくさんのチャレンジャーに出会いました。ムラ社会の空気を読まずに名乗りを上げ、変わらない、変わろうとしない過疎の集落に、捨て身になって風穴を開けようとする人たちです。

古今東西、まちのリーダーを選ぶ首長選というものは、圧倒的な現職優位。なかでも人口の少ない町村の場合、現職の再選率は84.2%(※2015年統一地方選)。しかも、約半数の自治体では、無投票で勝負が決まってしまいます。選挙戦が成立した場合でも、7~8割という高い投票率を弾きながら、結果は現状維持――ということが少なくありません。

②町長選挙の開票の様子(撮影場所・青森県大間町)

「落選確実」とも目されながら、あえて出馬したチャレンジャーたちは当然、周囲から「変人」と見なされていました。
  
若いとは限りません。カッコいいとも限りません。ただし、決して非常識人ではありませんでした。「変わり者」の中に「変える人」、「変えたい人」という一面も持ち合わせていました。

立候補に必要な50万円という供託金を払い、独自の戦いを続けたチャレンジャーがムラ社会にもたらした予期せぬ葛藤には、令和の日本人が平成にやり残した昭和の宿題と、断じて見逃してはならない一縷の希望が潜んでいました。

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とはいえ、選挙にはリスクも伴います。

「選挙に負けるとこれまでにない「無理」が候補者本人だけでなく、一家全体にのしかかるものだ。家計だけでなく、心身にも負担を強いられ、体調も、家庭も、人間関係までも壊れるケースは少なくない。それも地方選のリアルである。」(第二章より)

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それでも出馬せずにいられなかった深いワケとはーー。

本書では、各地方独自の歴史やファミリーヒストリーまでたどり、中央の政治にも連なる権力構図をひもときながら、そこに迫りました。

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今回の本をつくる編集作業は、新型コロナ感染拡大を受け、全国的に外出自粛要請が行われる最中に行いました。平成の終わりに綴った旅の記録をなぜ令和になった今、しかも、出版業界を下支えしてきたあらゆるシステムに制約が生じ、思い通りの作業もままならない中、なぜ、あえて一冊の単行本としてよみがえらせ、なぜ、世に問おうと思ったのか。

それは、コロナ禍の政治状況がきっかけでした。感染予防策や経済対策をめぐり、中央政府を司る政治エリートや期待された国会議員たちが右往左往、情けないほど狼狽する様子を連日見ていてあきれた一方、地方自治の最前線に立ち、住民と同じ目線の高さから身の丈に合った対策を〈土地の言葉〉を駆使しながら果敢に打ち出す、首長や地方議員たちの意外とも言える〈まっとうさ〉に目を見張ったからに他なりません。

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本書『地方選』のプロローグにも、こう綴りました。

「(私はコロナ禍を通して、)地方にはこれほど地に足のついた信念や哲学のようなものを持ちながら、有言実行で政治を動かしていく若きリーダーが存在していることを知った。
   
永田町で世襲のプリンスや官僚出身の秀才政治家を追うことに物足りなさを感じていた私は、久方ぶりに政治の面白みを感じることができたのである。
    
 憲政史上最長の政権は、迷走の末に幕を閉じた。
  
 そこで私は、2020年を地方政治再評価の出発点としてみたいと思った。
  
改革幻想に囚われ、国政政党の合従連衡に明け暮れた平成政治とは異なる令和の政治がこれから始まるとするならば、その主人公は地べたの暮らしに疎くなった永田町の住民ではなく、土の香りがする地方の首長の中から生まれるであろう」

令和政治の主人公は辺境から生まれる――。

約8年ぶりに新政権が発足したばかりですが、最近、私の頭の中にはこんな言葉が何度もこだましています。

そこで、旅のご提案でーす。

「GoToトラベルキャンペーン」もあり、国内旅行に脚光が当たる中、せっかくなので辺境の政(まつりごと)を観に、一緒に地方を旅してみませんか?

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『地方選 無風王国の「変人」を追う』は、本日発売です☆

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