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06_嘘と疑心暗鬼に惑わされていた頃の話。

 元夫は凄い嘘つきだった。つるっつるつるっつる嘘をついた。あまりでかい嘘はつかない。小さな嘘を、呼吸するように自然につくのだ。結婚して最初の頃はみんな真に受けていたが、結婚生活も終わりに近づくと、頻繁に嘘バレするようになってきた。元夫の嘘の癖が分かるようになってきたこともあるが、次第に自分で嘘をついて自分でバラすような真似をすることも多くなった。あれはなんでだったんだろう、嘘のつき方が杜撰すぎるのか、それとも心の底ではバラしたかったのか。離婚した後はさらに酷かった。もうわたしに対して取り繕う必要もないので、見え透いた嘘をバンバンつく。嘘の上に嘘を重ねて、その場をしのぎ、時間稼ぎをする。本当に疲れた。

 そんな結婚と離婚の後だったので、彼氏と付き合い始めた最初の頃は、男の人に対してナーバスになっていて、信じる気持ちと騙されまいぞという気持ちの間で、疑心暗鬼が発動したりしていた。

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