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マッドメンがすき(諸星大二郎ニウムの伝導)

どうもこんにちは! ウナーゴンだよ。

突然だが私は諸星大二郎作品の中では『マッドメン』が最高傑作だと思っており、なおかつ一番好きだ。

この記事は「これから諸星大二郎作品を読もうかな?」という人にもおすすめの内容です。

マッドメンは英語の綴りだと"Mud Men"、つまり泥マン・・・泥の仮面を被った祖先の霊達だ。この作品はめちゃめちゃすごい。読み進めるにしたがって予測もつかない展開になり・・・入り混じる都会とジャングル・・・生と死の世界・・・日本とパプアニューギニアの伝承に隠された恐るべき真実が姿を現す・・・!

リンクを貼った文庫版だと、2巻の冒頭に収録されたエピソードがどう見ても時系列的におかしなことになっているのだが、後半の怒濤の展開には欠かせない重要な話でもあり、その不完全さも魅力の一つだと感じている。

なおこの作品に影響を受けてYMO時代の細野晴臣氏が"The Madmen"という曲を生み出してしまったことでもゆうめいだ。タイトルの綴りはあえて微妙に変えてあるものの、世界観はまさにこの鬱蒼とした黒い森が広がる光景にピッタリの曲となっている。

ところで諸星大二郎先生は掲載紙を変えながら思い出したかのようにゲリラ的に連載をするという神出鬼没めいたところがあり、つい最近まで未完結のまま放置されるかと思われていた作品が、突如続きが描かれて完結するケースもある(『諸怪志異』とか・・・)。その性質上、同じエピソードが何回もまとめ直されて出版されたりしているが、今後も油断ならない。

『諸怪志異』を最終話まで読みたい場合は上記リンクの第一集~第三集を揃えるのが良いかと思われる(この作品は最終話だけが未執筆状態でしばらく放置されており、私が旧版を頑張って揃えた直後くらいに最終話が執筆されて完全版がでた)。


諸星大二郎ニウム(モロホシダイジロニウム)の伝導

手塚治虫以後の時代に出現した、新しい文脈をもった半神的そんざいの一人が彼だ。古事記にもそう書いてある。その作風は極めて独特かつ衝撃的なものであり、ジャンルを問わず多くのクリエイターに影響を与えた。例えば『夢みる機械』(1974年)という短編は平沢進氏の同名タイトルの楽曲のインスパイア元になった作品だし、『影の街』(1985年)という短編を読んだときの衝撃が庵野秀明氏のなかで『エヴァンゲリオン』の原案へと昇華されたという話もある。今の著名なクリエイターの多くは、多かれ少なかれ諸星大二郎作品の影響を受けていると思うので(それくらい独特だ)、まったく諸星大二郎作品に触れたことのない人でも、現在活躍している新しい世代のクリエイターの作品から知らず知らずのうちに諸星大二郎ニウム(モロホシダイジロニウム)を摂取している可能性は多分にあるとゆっていいだろう。そのミーミー伝承は二次、三次、四次くらいの域にまで達しているのではなかろうか。

つまり私がいいたいのは、「諸星大二郎作品は偉大なので履修すべき!」などという蚕主義者が言うことなどは一切気にせずともモロホシダイジロニウムはすでにそこらじゅうに伝導しているし、そもそも諸星大二郎作品本体はいつ読んでも超絶面白く、全く新しい衝撃を与えてくれるので、読みたいときに読めばよいので、先生ぶったお説教になど耳を貸すひつようは全くないとゆうことだ。ただし、気を抜くと絶版になって読むのが困難になるエピソードもあるから気をつけろ。


マッドメン以外の好きな作品リスト

古事記の話はこれくらいにして、比較的入手しやすい本を中心に好きな作品をリストアップしたい。

【栞と紙魚子】

これは私が初めて触れた諸星作品だ。渋くておどろおどろしい作風になりがちな氏が、全力でファンシーな方向に舵を切ったと思われるシリーズ。なんと女子高生2人組が出て事件を解決する!
その第1話のタイトルを見てみましょう。『生首事件』。エッ?
第2話のタイトルは・・・『自殺館』。エッ?

実際かわいい感じのエピソード満載であり、クトゥルフ神話のパロディとかもある。エッ?

おそろしいことに、この作品は実写化したことがあるらしい・・・詳しいことはわからない・・・。


【暗黒神話】【孔子暗黒伝】

この2冊は2つでセットのようなところがあるが別々に読んでも問題ない。非常にヤバみのある作品だ。宇宙・・・。


【私家版鳥類図鑑】【私家版魚類図鑑】

これ!こういうの!!こういうのだよ!!!心の中にこういう風景ってあるでしょ!!!!!みたいな興奮があり、私はつぎつぎにページをめくった。


【妖怪ハンター】

これも短編シリーズの総称だ。エピソードのアトモスフィアごとに纏めた文庫版があるので、以下にリンクを貼った順序で読むと楽しいのではなかろうか。考古学者、稗田礼二郎が暴く暗黒の日本史・・・!!!


奇談

ちなみに妖怪ハンター『地の巻』に収録されている『生命の木』というエピソードは映画化したことがある。そう、『奇談』である。

この映画は結構思い出深いので触れておきたい。

当時、私は「あの『生命の木』が映画化する!」という情報をキャッチしてから、かなり観に行きたいと思っていた。そこで上映映画館を調べたところ、聞いたこともないような場末の映画館1箇所のみが検索結果に表れた。私はかなりの大都会に住んでいたのだが、地元民ですら「そんな映画館あったの?」というような謎のアンダーグラウンドめいた立地だった。私は他の映画と同じくらいの感覚で、上映から1ヶ月くらい開けて観にゆこうとしたところ、すでに上映は終了していた・・・。エッ、1ヶ月しか経ってないよ?! そうゆうことだった・・・。
その後、その映画館は廃村になった・・・(かどうかは知らない。)

内容が内容だけに、なんかの団体から怒られたりするのを恐れてゲリラ的な上映となったのだろうか・・・。思えばタイトルもなんかぼかすような感じにはなっている。

結局私は映画館で見損ねてしまったので、DVDで観ることになった。ちなみに内容は個人的には非常に良いものだった。阿部寛はガタイが良いものの、稗田礼二郎感をよく醸し出していたと思う。また、個人的な感想だが、昭和の時代設定に合わせた藤澤恵麻の格好がマッドメンの波子を思わせるルックスに見えたのはポイントが高かった。


未来へ

他にも個人的に大好きな作品、それこそ、読み終えた瞬間ひっくり返ってじたばたしてしまうくらい面白いと思う作品はまだまだ沢山ある(というかほぼ全部好き)なのだが、きりがないので終わります。

結構いろんなテイストの短編があるので、刺さるポイントも人それぞれなのではないだろうか。

あとこの人は現役作家なので、当然ながら完全な新作が出る可能性もある。備えよう。



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