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R.E.T.R.O.=/Q #7

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常盤色の眼光を放つジョン・アルバトロスの手には木刀のような剣が握られていた。

彼が床に遺されたバスタードソードを拾った際、剣身が一瞬で錆びて砕け落ち、中から木の刀身が出現したのだ。

「フン、貴様から始末してくれよう」

なんらかの異変を察知した神無月がジョンの頭蓋を粉砕すべく殴りかかった。

すとっ

超音速にして大質量の拳はしかし、嘘のような軽い音だけを残して木の刀身に阻まれた。ジョンの腕が自動的に動いたかのようにも見えた。それほどまでに速い。眼球が異常発光する彼の表情は読み取れない。意識があるかどうかすらも定かではない。神無月はゆっくりと拳を引いた。

「何だそれは……」

神無月が見咎めたのは、ジョンの手元で急成長し続ける《エヴァーグリーン》。刀身から急速に伸びる枝々は自らの幹に絡みつき、融合し、また枝を伸ばし、融合し、一つの巨大な木剣へと姿を変えつつあった。みるみるうちにそれは、身の丈の数倍程もある、先の広がった大鉈のような、異様な形状へと変化を遂げた。

フォン!

ジョンはそれを扇を翻すような動作で、軽々と横薙ぎに払った。

ギャリィン!

凄まじい音が辺りに響き渡る。神無月は胴で受けながら、初めて苦悶と驚きの表情を浮かべた。

「小癪な……」

ジョンは更に剣を左右に打ち振る。

ギャリンギャリンギャリン!

「ヌゥッ……!」

ギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリン

神無月は両腕をクロスさせて防御、全身が白熱発光して膨れ上がり、ボールじみたガード形態をとる!
しかしジョンの剣を打ち振る動作は加速!

ギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリンギャリン

いまやジョンの腕から先、《剣》は残像を描き、さながら一枚の板の様になっていた。

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ……ギュウィィィィィィィィィィィィン

「ガハァッ!」

ガードが解けた。
神無月は吐血しながら、上半身と下半身が胴体から真っ二つになった状態で空中に出現した。目は血走り、歯を食いしばっている。

「オノレ……!!」

切断面はスーツと同じ神々しい白色。まるでバターをスライスしたかのようなその表面からは、沸騰するお湯のごとく数字のノイズが激しく発生しては消えている。
ジョンが《剣》を手元に引き戻すと、それは瞬時にして巨大なドリル状へと姿を変えた。ジョンはそれを迷わず天井に向けて突いた。

胴体を接合して逃走せんとしていた評議員コンスタンティン神無月の四方から、壁面を《跳躍》した剣先が無数のドリルとなって降り注いだ。

ズギュ!ズギュズギュズギュズギュズギュズギュズギュズギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュ

「グゥアアアアアアアアア……!!!」


十重二十重に身体を貫かれ、廊下の中空で雲丹のような串刺し状態となった評議員コンスタンティン神無月は、断末魔の絶叫を轟かせながら、光の粒子となって爆散した。

ジョンが剣を戻すと、それは元の木刀の形状へと戻っていた。すでに常盤色の眼光は消え去っている。

ジョンはその場で膝をつき、倒れ伏した。


【永久平和評議会】評議員 コンスタンティン神無月 - 消滅
【レトロ】戦闘員:騎士(ナイト) エドゥアルト・ホワィ・ワーラーナーバークー - 消滅
【レトロ】戦闘員:暗殺者(アサシン) オレンジ・毘沙門 - 生存
【街の住人】適合者 ジョン・アルバトロス - 生存


【#8へ続く】


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