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しあわせな祈り

どんよりした灰色の日々が続く冬。
貴重な晴れ間に、娘と久しぶりのお散歩に出かけた。
抱っこ紐の中で嬉しそうにキョロキョロする娘。
彼女にとって、外の世界はいつも新鮮で驚きに満ちているのだろう。
赤ちゃんがたくさんのものに出会い、吸収していくこの尊い時間を、一番近くで見つめることができる幸せをしみじみと感じる。
母は娘にできるだけたくさんの美しいものを見せてあげたいと思う。
娘のキラキラした瞳が、いつまでも輝きを失わないように。

私たちの家が建つ場所は、昔カブトムシの住む森だったらしい。
だから今も、少し歩けば森の空気に触れることができる。
雨上がりの湿った森は、緑と土の匂いがする。
あちこちで鳥たちがさかんにおしゃべりしている。
歩くほどに身体の中が冬の澄んだ空気で満たされていく。
なんて気持ちがいいんだろう。

集落の神社に着くと、神様はいつものように静かに穏やかに迎えてくれた。
手を合わせて、出産予定日を迎えた親友の安産を祈る。

産休に入る前、職場の一回り以上年上の女性から、安産祈願の絵馬をいただいた。
業務上の接点はほとんどなく、お茶を淹れる時に少し雑談する程度だったけど、笑顔から優しさが滲み出ているような、柔らかな人だった。
東京暮らしの娘さんに会いに行った折に、水天宮で購入してくださったのだとか。
驚いたけど、とてもとても嬉しかった。

誰かが自分の幸せを願ってくれること。
誰かの幸せのために祈ること。
どちらもとても幸せなことだと思う。

ずっとずっと赤ちゃんを待ち望んでいた友人。
私が今感じている幸せを、友人にもたくさん感じてほしい。
大切な友人が、無事元気なかわいい赤ちゃんに会えますように。

***

祈りが通じたようで、お詣りの翌日、無事女の子を出産したとの連絡があった。
友人も私も、自分の誕生月に出産して、同学年の女の子。
なんだか不思議な縁を感じている。
友人の赤ちゃんが健やかに育ちますように。

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