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僕と公式LINEの700秒戦争

 人間は暇になるとロクなことをしない。

 今の私がまさにそうである。特にやることもないのでスマホをポチポチといじっていたところ、LINEのおすすめアカウントにムーミンが現れた。これは暇をつぶせそうだ、と直感した私は、早速ムーミンにLINEを送ってみたのだ。以下やりとりの一部始終を晒す。ちなみにムーミンのプロフィール画面はこれだ。

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 どうやら最新情報をお届けしてくれるらしい。期待に胸が膨らむところである。

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 「ムーミン谷に住んでみたい。そう思った瞬間から、あなたはもうムーミン谷の住人なのです」と言ったわりには、ひどく冷たい対応である。私は彼との対話を諦めた。どうやらこのままでは、最新情報をお届けされるだけだと思った。

 その次は日本郵便の公式キャラクター「ぽすくま」に喋りかけてみた。アニメキャラは公式情報を届けることに必死なので、現実のぬいぐるみを相手にしようと思った。しょせん2次元の存在など、我々の世界には生きていないのだ。「ぽすくま」のプロフィール画面は以下の通り。

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 なるほど、この熊はLINEで郵便局を営業しているのか。よく意味がわからなかったが、とりあえず話しかけてみることにした。会話のフックは同じ生物の「熊」をキーワードにしてみた。

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 なんだか要領を得ない熊である。私は対話を拒む者とコミュニケーションを図る気はない。次にいくことにした。これまでアニメキャラ、イメージキャラときたので、次は確実に、物理的に中に人が入っているキャラを選ぶことにした。ガチャピンだ。プロフィール画面は以下。

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 こちらこそ。そう言いたくなった。子供の頃から知っているキャラクターなので私はいささか緊張していた。軽く挨拶を済ませ、本題に入る。私もせっかく大人になったので、彼の収入を知りたかった。国民的キャラクターとは、一体どれほど給料をもらっているのだろう、と。

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 しかしガチャピンはお礼を述べるばかりで、てんで話にならなかった。はあ、こいつもか…。私はため息をついた。やっぱり「キャラクター」ではダメだ。きちんとした大人と話がしたい。そう考える私の元に、ひとつのアカウントがおすすめ表示された。ポッキーだ。製造元は江崎グリコ。言わずと知れた大企業である。きっとLINEにも「中の人」がいるんだろう。私はやや安堵して、ポッキーに連絡してみることにした。プロフィール画面は以下。

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 なかなかシャレたごアイサツである。これは期待できるぞ…。心がおどった。勢いよく話しかけてみる。 

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 しかしポッキーもまた、謝るばかりで会話にはならなかった。はあ、公式アカウントなどこんなものか…。やはりこれじゃダメだと思った。人だ。人と会話をしなければ、この状況は打破できない。そう考えた私は有名人アカウントとの対話を試みた。これで最後だ…頼むぞ…。そんな思いで有名人を探す。そして適任そうな人物を見つけた。国分太一氏だ。誠実で、優しそうな人物…。まさしく探していた有名人だった。憧れのスターにLINEを送れると思うと手が汗ばんだ。震える手で文字を打つ。ちなみにプロフィール画面は以下。

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 なぜか城島リーダー。非常にTOKIO愛あふれる1枚である。私は嬉しくなった。ああ、あんなことがあったけど、やっぱりTOKIOはこれからも続くんだ…。ファンとしてメッセージを送る。喉はカラカラに乾いていた。

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 しかし国分氏はなぜか名前を呼んで欲しがるばかりで、私と会話をしてくれなかった。とても残念だ。ちなみに私は本当にTOKIOファンである。5人がまたいつの日か、同じステージに立つ日を心から待っている…。

 私が公式LINEに絡み始めてから、この時点で約12分が経過していた。まだこれしか時間潰せないのか…。私は絶望した。暇な時間を潰すのは、意外と難しいのだと思った。

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