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-8℃の公演先

長野県は塩尻市に来ています。

名古屋が誇る大手老舗児童劇団、劇団うりんこさんにて客演している「かえるのそらとぶけんきゅうじょ」と言う演劇作品。塩尻のおやこ劇場さんにて上演します。

−8℃

長野県塩尻市は、現在−8℃。
この時期の公演は寒さとの戦いです。
普段は小学校の芸術鑑賞会として、学校の体育館で上演する事が多いのですが、そうなるともう大変。
皆さん思い出してみて下さい。小学校の体育館には暖房も冷房も無いのです。あってもせいぜい大型のガスストーブのみ。
夏は暑く冬は寒い。日本の季節をありのまま否が応でも感じる事ができます。生身の体に全力で季節が体当たりしてくるのです。
そんな環境で仕事をしています。

しかし、1月から3月にかけては、学校での公演は数校しか無く、ほとんどがおやこ劇場などの鑑賞団体さんでの公演です。
なので、上演場所も空調設備の整った劇場や公民館が多く、寒さに震えながら芝居をする事もありません。
にしても寒いは寒いです。なんせ−8℃の世界なので、手先は冷え、筋肉は固まり、戦意も喪失します。服もとんでも無い数を着込み、万一包丁で刺されても皮膚まで到達しないレベルの分厚さで仕事をしています。物凄く動き辛いのですが、それでも防寒する方が先決です。
それくらい辛い思いをして芝居をしているのです。

がしかしですよ。

こう言っちゃなんですが、東京や大阪などの主要都市とは違い、なかなか生の舞台芸術に触れる事が難しい地域の方が、遥かに多いと言うのが現実です。塩尻も例外ではありません。
自分がやっている仕事は、そんな地域の方々にも満遍なく、芝居、さらに言うと文化的娯楽を届ける事です。

呼んで下さった鑑賞団体さんや、観に来てくれる地元の方々の、まるで町に大きな祭りが来たのかと思うほどのウキウキ振り。芝居を楽しみに、心待ちにしてくれているあの感じ。
これにまんまとやられる訳ですよ。

仕事した分だけわかり易く直に反応が返ってくる。人は人によって生かされているのだ言う当たり前の事を、全身全霊で体感出来ている気がします。

俳優として幸せを感じる事の一つです。
昔から、乞食(差別用語ですがあえて使います)と役者は3日やったらやめられないと良く言いますが、それが言われる要因の一つである事は、紛れもない事実なのかも。


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