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M10-Dの弱点

この世に完璧な人間が存在しないように、完璧なカメラというものも存在しない。

カメラが完璧であるという状態は、カメラらしさを失うことであり、そうなるとそれはもうカメラでは無くなってしまう。(「ポメラ」と一文字変えるだけで、映像ではなく文章の入力機器になってしまうように。)

物体という形を維持している以上、それはモノとしてのデザインや素材や構成に、いつでも縛られている。それがアナログであるということであり、プロダクトとして私達が日々使うものなのだ。

ひとつの前提として、強みと弱点はいつでも反転しうる。

「人と話すのが苦手」は、”謙虚な姿勢”と言えば強みに聞こえるし
「人と話すのが得意」は、”出しゃばって自己主張”が強いと言えば弱みに聞こえる。

カメラにおいても同じことが言える。

Leicaが不便なカメラであることは、少し写真やカメラのことを知っている人であれば聞いたことがあると思う。しかし、その弱点を愛でる人々がこの世界には沢山いるのだ。

そうなると、弱点があるからこそ使っているという少しねじれた状態に陥る。

しかしそれは本当にねじれているのだろうか?

弱点さえも愛してはじめて、友人や恋人と長い付き合いができるものだ。弱点と捉えていたものは、次第に強みへと変わっていったりもする。

また、人の弱点は克服させるものでは決してない。自分の弱点であればまだ、是正する努力を自らいくらでも行うことができる。(それを弱点と捉えていて、克服したいという意志があれば)だけど、人の弱点を指摘してそれを「直せ」というのは間違っている。強制する権利は誰にもないし、先に述べたように、それはそもそも弱点ですらない可能性もあるからだ。

人を変えることはできない。世界を変えることもできない。
だけど、自分は変わることはできる。

M10-Dの弱点の話をするんだった。

「商品」においてデメリットが語られることはあまりないから、二年ほど使ってみて感じた弱みを2つだけ報告する。

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