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【後半振り返り】コーラス・エクスポin鹿児島2023

コンサート後半振り返り

 ようやく書きました、後半。お待たせしました。(待ってたよ!って誰か言って)

鹿児島県立松陽高等学校音楽部

鹿児島市立松陽高等学校音楽部(指揮/今村裕紀)

 後半のトップバッターは、この日唯一の高校生たち。全国高校総文なども控えとても忙しい中、堂々の熱演を披露してくれました。A.Caplet作曲「Sanctus」と新実徳英の名曲「生きる」を演奏。この名門音楽部も今や少人数ですが、今村先生のあたたかいご指導の元で、少人数だからこそ描ける音楽にチャレンジしているように感じます。高校生らしい理性と知性も感じさせる演奏であると同時に、堂々とした立ち居振る舞いと歌声にとても熱いものを感じる演奏でした。引き続き、心から応援!

中山児童合唱団

中山児童合唱団(指揮/曽木時人、ピアノ/野村由美)

 この日一番の拍手を浴びたのは間違いなくこの子たちでした。我が団に言うのもなんですが、子どもたちってもうステージに出てきただけで「はい優勝!」みたいなところがありますよね。この日の全出演者の最年少4歳を含む5人(うち4人はこれがステージデビュー)で、「ありがとうの花」と「ピクニック」を精一杯の斉唱で披露。入場から退場まで本当にたくさんの拍手をもらって、ご満悦な子どもたちでした。ちょうど出番がお昼寝時だったこともあって、舞台袖で「眠たい」と言った強者もいたとか。
 この合唱団が生まれたのは、子どもがのびのびと歌を楽しみ、大人がそれを見守り拍手を送るような場を作りたかったから。その願いが、小さくも叶っていることをとてもとても嬉しく思っています。

混声合唱団KOJIKA

混声合唱団KOJIKA(指揮/盛山春樹、ピアノ/鮫島祥子)

 今年発足したばかりの混声合唱団KOJIKAは、誰もが慕う合唱連盟理事長・盛山春樹先生の元に、熱意溢れる若者から経験豊富なベテランまでが集った本格派。これから旋風を巻き起こすこと間違いなしの合唱団です。この日も混声合唱の名曲、木下牧子作曲「方舟」をエネルギッシュに披露してくれました。合唱団が小規模化し楽曲も多様化している今、こうした王道の名曲を堂々と披露してくれる合唱団はとても貴重かもしれません。KOJIKAの音楽から、引き続き目も耳も離せません。

鹿児島大学教育学部附属小学校合唱部

鹿児島大学教育学部附属小学校合唱部(指揮/内山斉哉、ピアノ/今給黎百合花)

 天使の歌声とはこのことかもしれない、そんな歌声を披露してくれた附属小学校合唱部。Nコン課題曲「緑の虎」と、内山先生の敬愛する作曲家・三宅悠太の合唱曲「にじのうた」を演奏。洗練された演奏からは日頃の熱心な取り組みが感じられます。そして同時に、合唱への、仲間への、先生への、楽曲への愛情を感じる演奏であることが素晴らしいのです。子どもたちの歌声って、どうしてこんなに心を打つのでしょう、おじさんはすぐ涙が出てしまいます。これからもどうかどうか合唱を楽しんでほしい。

鹿児島国際大学学友会混声合唱団

鹿児島国際大学学友会混声合唱団(指揮/有馬泰孝、ピアノ/濵田麻裕)

 コロナ禍で特に大きなダメージを受けた大学合唱。この国際大学合唱団も「混声合唱団」の冠を持ちながら、女声4名での演奏となる現状にあります。この団が素晴らしいのは、少人数でも直向きに懸命に取り組むメンバーがいること、そしてそれをOBOGがしっかりと支える環境があること。指揮の有馬先生、ピアノの濵田先生、顧問の池田先生も全員がOBOGだと伺いました。エクスポに向けて池田先生とお話した中で、大学生を支えるその熱い思いに感激したと同時に、私は共鳴に似たものを感じたのでした。
 大学生のお姉さんたちが歌う流行歌「ツバメ」「サザンカ」は、子どもたちをはじめお客さんの耳と心を弾ませてくれました。これからも全力で応援したい合唱団です。

Q

Q(指揮/曽木時人、ピアノ/黒木沙織)

 やっとステージに戻ることができました。月に一度九州のどこかに集まって練習する「旅する混声合唱団『Q』」は、活動に大きな移動を伴うため移動が規制されたコロナ禍でのダメージは甚大でした。それでも歌うことを諦めなかったメンバー7人と念願のステージ復帰。集まった3県のメンバーにちなみ、熊本民謡「おてもやん」、鹿児島民謡「おいどんがちんけ時」、広島県合唱連盟の委嘱作品でコロナ禍に誕生した合唱曲、信長貴富作曲「合唱」を披露。キャラクターの異なる3曲を大切に、個性豊かに演奏できたような気がしています。Qは連盟非加盟な上に拠点も持たないので、なかなか出会わないレア合唱団です(笑)。薩摩の沸る合唱団の方々と共演させて頂けたこと、我々の演奏を聴いて頂けたことをとても嬉しく思っています。

サウンドコール

サウンドコール(指揮/松崎節子、ピアノ/谷川真実)

 谷山市民会館を拠点とする混声合唱団、サウンドコール。松崎先生指揮の「コーラス松元」同様、いわゆるクラス合唱の名曲に挑んだシニアコーラスです。10人での混声3部合唱でありながら、男声はなんとおひとり!大丈夫なんだろうかと誰もが思ったその心配を男声(美声!)がすぐに吹き飛ばし、エネルギッシュな「カリブ夢の旅」と情感豊かな「手紙 〜拝啓十五の君へ〜」を披露してくれました。 若々しい声で臆することなく表現する演奏に、勇気づけられた方々が多くおられたようでした。もちろん私もそのひとり。

コール・ヴィント

コール・ヴィント(指揮/高風勝治、ピアノ/黒木祥子)

 吉野地域で活動するおかあさんコーラス「コール・ヴィント」。PTAの仲間7名で歌い始めなんと結成28年!どれだけの合唱愛・グループ愛に満ちた方々であるか話だけでも伝わるくらいでしたが、演奏を通じて心地よく実感することとなりました。木下牧子作曲「夢」と竹内まりやの名曲「いのちの歌」を熱演。なかでも「いのちの歌」は、美しいソロとあたたかいコーラスに乗せてじんとくる歌詞の世界を見事に表現してくれました。沸る、沁みる演奏に涙したお客様もおられたようです。

だいやめ

だいやめ

 この日最も会場を驚かせたのは、この「だいやめ」。何せデータがない。グループ名と曲目しか分からない。はてどんな団じゃろかいと思っていたら、出てきたのは普段「先生」と呼ばれている男たち4人。加山雄三の名曲「海 その愛」をスタンダードな男声合唱で演奏したと思ったら、ガラッと雰囲気を変えた「The Devil Ain't Lazy」、鹿児島ではなかなか聴かないバーバーショップスタイルの演奏に驚いた方々も多かったのでは。
 「先生たちもたまには遊びたいよ!」「大人が全力ではしゃぐ姿を見せるのです!」「生徒たちの前で歌うってめっちゃ怖い」「次はいつ飲みますか?」などど熱心な会話と少ない練習を重ねたアトラクション枠だいやめは、見事その務めを果たしたのでありました。いやー、盛り上がった。演奏会後の反響もとても大きく、素直に喜んでおります。なんだかんだ4人とも味を占めているので、今後もどこかで歌うと思います。お楽しみに!

鶴丸混声合唱団

鶴丸混声合唱団(指揮/藤尾清信、ピアノ/山下早穂子)

 大トリは、鶴丸高校音楽部のOBOGたちが恩師である藤尾先生のご指導のもとで歌おうと結成した鶴丸混声合唱団。鶴丸高校の定期演奏会に賛助出演するなどしながら、音楽を紡いでおられます。大中恩作曲「草原の別れ」と小林秀雄作曲「落葉松」と言う日本の合唱史に燦然と輝く名曲を披露。あの藤尾先生が!この名曲を!と耳にした時点で、大トリをお願いすることを即決したのでした。演奏会の締めくくりにふさわしい、揺るぎない合唱愛と歌唱力に支えられた、実に味わいの深い名演でした。

全体合唱「Believe」

全体合唱(指揮/曽木時人、ピアノ/黒木沙織)
全体合唱(指揮/曽木時人、ピアノ/黒木沙織)

 どうしてもやりたかった「全体合唱」。ここ数年、夢のまた夢だったから。
 熱演を披露してくれた19団体の皆さんと。演奏を受け止めてくださったお客様と。愛おしい名曲「Believe」を、この日のために突っ走った私を支えてくれた妻のピアノに乗せて。私はこの演奏のことを生涯忘れないと思います。鹿児島に灯る合唱の炎に、確かに薪を焚べることができた瞬間でした。

おわりに。

 ここにようやく報告を結ぶことができます。
 「コーラス・エクスポin鹿児島2023『沸る薩摩の合唱団たち』」、熱演を披露した19の合唱団と、受け止めてくださったお客様、そして開催を支援してくださった鹿児島市、鹿児島市教育委員会、認定NPO法人かごしまアートネットワークの皆様に、心より御礼申し上げます。
 また、公演の前後に2度に渡り記事を掲載してくださった南日本新聞社様、熱意とともに取材してくださった児玉記者にも心より御礼申し上げます。

 「来年はいつですか?」と各方面から尋ねられており、予定はないのでタジタジな私ですが、それだけ熱望されるような機会を生み出すことができたことを、ちょっとだけ誇らしく思うところです。

 確かに、またあってもいいよね。その時はどうぞ、お力を貸してくださいませ。
 こんな私をここまで生かしてくれた、大切な鹿児島の合唱に恩返しができるのなら、その炎に薪を焚べることができるのなら、それは本望なのです。

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