詩/緑
少し温かくなった風が
柔らかく当たって
鼻腔を撫でる
思いと身体を解しながら
周りを揺蕩っている
苔も木々も
一心に宙へ伸びて
にぎやかに春を迎える
水たまりの底に
緑色の光が射して
時の色を描き
影が石のうえ
洒落た模様を刻み
虫は動き回りながら
絵に色を重ねる
白椿も霞むほど
たくさんの緑が溢れて
それぞれの命の理想を競い
濃密な意思が
この場を満たす
天も地も
表情をもつ様に
性質を開いてやまない
すこし大きな顔で
正面に何気なく現れて
対する者を満たして
微笑みを誘なう
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