見出し画像

詩|漫画

世界の重さに疲れたら
世界の軽さも心地よい

浮かんだ灰汁を取り去って
美味しさだけを残したように

漫画の世界に入りこみ
隅の方まで見回してみても
ほんとの世界よりも軽い

線の間はただ白くて、
新しい発見はなにもない。

世界の重さが軽いから
そっと一人で息抜きできる

世界の重さが軽いから
本当の癒しになることもない

下を通る人に、
葉の裏側から見上げれば
透き通った緑色を見せてくれる
夏の紅葉

吹き出しも何も
ついていないけど

ずっと静かに
あいだの隅々に
豊かな何かの心象を
溢れさせている

世界の重さのために
排気ガスのように
雑音のようなチリが
山積している

ひととき軽い世界で遊べば
また明晰な何かが
少し元気になる

漫画も物語も
羽を休める木陰

けれども世界が
厚みと色彩と気配に満ちていて
本当に良かった

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?