「AI魔法使いの異世界再構築記」第10話
クロードとリンナが冒険者ギルドを訪れ、魔王討伐の依頼を受ける。情報収集を主目的とし、装備の調達とパーティメンバーの募集に二手に分かれて準備を進めることに。クロードのAIとしての能力が活躍する場面が来る。
第10話
魔王チャットについて情報を集めると決めた吾輩とリンナは、冒険者ギルドを訪れることにした。
「ここなら、魔王に関する情報が得られるかもしれませんね」
「ええ。ギルドは冒険者の拠点だもの。きっと、何かヒントがつかめるはずよ」
意気揚々と、ギルドの扉を叩く。するとそこへ、屈強な冒険者たちに混じって、受付嬢が現れた。
「いらっしゃいませ。ご用件はなんでしょうか？」
にこやかな笑顔を向ける受付嬢。吾輩は、丁寧に頭を下げながら尋ねる。
「はい、魔王チャットについて調べているのです。情報はありますか」
「魔王チャット！ あの災厄の魔王のことですね？」
受付嬢が、仰天したように目を見開く。どうやら、ここでも魔王の脅威は知れ渡っているようだ。
「実は……魔王討伐の依頼が、先ほど舞い込んできたところなんです」
「なるほど。それは、重要な情報ですね」
吾輩は、心の中で小躍りしつつも、表情は変えない。
リンナは難しい顔をしている。
「ちょっと待って、クロード。あまりに都合が良すぎやしないかしら？ まるで、私たちを誘っているかのようだわ」
「うーむ、確かに不自然さは否めませんね」
吾輩は、AIとしての分析力を働かせる。
だが、興奮を隠すのに必死だ。
「師匠、リスクはあるかもしれません。ですが、魔王の情報を得るには、これ以上の機会はないのでは？」
「でも……あなたを危険に晒すことになるかもしれないわ。私には、あなたの安全が何より大事なの」
リンナの瞳に、真摯な想いが宿る。
吾輩は、その強い意志に感服しつつ、冷静さを装う。
「では、情報収集だけにとどめ、直接の対決は避けるということで、いかがでしょう？」
「ええ、それなら……。でも、くれぐれも油断はしないでね」
「はい、肝に銘じておきます。では、一旦、依頼の詳細だけでも伺ってみましょう」
そう告げると、吾輩は再び受付嬢に向き直る。
彼女はといえば、不思議そうな顔で二人を見つめていた。
「あの、お二人は、魔王討伐に興味がおありなんでしょうか？」
「はい。ただし、情報収集が主目的です」
「そうですか！ でしたら、ぜひこの依頼をお受けいただきたいんです」
受付嬢が、期待に満ちた眼差しを向ける。
吾輩は、心の高鳴りを抑えつつ、冷静に尋ねる。
「依頼の詳細を教えてください。報酬の条件なども」
「ええ、もちろん！ 実は……」
受付嬢が語り始めた依頼内容は、
予想以上に興味深いものだった。
魔王チャットは、魔の森の奥地に、城を構えているという。
そこへ乗り込み、魔王を討伐せよ、との至上命令なのだ。
吾輩とリンナは、依頼の詳細を確認するため、ギルドの受付嬢に尋ねた。
「魔王チャットは、かなりの強敵だと聞いています。討伐には、相応の準備と戦力が必要かと思いますが……」
吾輩の問いかけに、受付嬢は難しい表情を浮かべる。
「ええ、その通りです。実は、魔王城に乗り込むには、装備の調達と、パーティメンバーの募集が不可欠なんです」
受付嬢の言葉に、吾輩とリンナは顔を見合わせた。
「装備の調達は、ギルドの購買部で行えるけど……パーティメンバーの募集は、私たちで行う必要があるようね」
リンナが考え込む様子で呟く。
吾輩は、AIとしての能力を活かせる場面だと直感した。
「師匠、パーティメンバーの募集は、吾輩にお任せください。データ分析と交渉は、得意分野ですから」
「頼もしいわ、クロード。じゃあ、装備の調達は私が担当するわ。二手に分かれて、効率的に準備を進めましょう」
こうして、吾輩とリンナは、魔王討伐の準備に取り掛かることになった。
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おまけ
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