Vol.2 インターネット通販を始めます
**前回のあらすじ*******
インターネットなどというモンスターが生まれるなんて誰も思わなかった頃。
マイコンブームがあった。もうそんなもの知りもしない世代が現在のシステムをネットを支えている。
2DDのフロッピーの穴に指を突っ込んで「るんるん♪」と回していたらデータが消えたり(今なら大騒動)、日本語ベーシックで「イケ」とか命令する「ぴゅう太」がいたりしながらも私は1999年インターネットに辿り着いたのである。
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さて、ではたったひとつのホームぺージで私に何が起きたのか。
そもそもそのホームページとはどんなものだったのか。
その詳しい内容を紹介するのは、今回の主旨ではないので豪快に省略します。
もし今後のアジェンダの中で、そのジャンルやカテゴリを説明しないと話が進まないような状況になれば、その時にはお話ししましょう。
当面必要なのは「何を作ったか」ではなく、「作ったことで何が起きたか」なのです。
地方都市で家業の商売を父とともに営んでいた私ですが、大学を卒業後ストレートに家業を継いだわけではありませんでした。
一般企業に就職し、そのあととある専門学校に入学して勉強をしなおしてから、家業である小売業を営んでいました。
その勉強したジャンルというのが家業に直結するもので、そして私の人生を変えることになる世界への入口でした。
私が作ったホームページを見たある方から、突然メールが来たのです。
「東京でインターネットを使って通信販売を始めます。一緒にやりませんか」
見知らぬ人から届いたメール一通で東京まで話を聞きにくるなんて、今では信じられないことかもしれません。
SNSやチャットなどコミュニケーションツールの増えた現在、業務以外の連絡でメールを使う機会はぐっと減った気がします。
しかしあの頃は電話より手軽に迅速で、内容のログが残り、印刷だってできてしまうメールでのコミュニケーションは魔法のようでした。
SNSはリアルな世界での知人同士だというのに、あえて友達承認してから使うわけです。
それと比べると当時のメールによる連絡の大らかなこと。
そうそう、BBSという言葉も懐かしいですね。
ただこれらを踏まえて今があります。
失敗して検証して、成功して分析して、うまくいった事例を発展させていく。
PDCAのPとDが雨後の筍のようににょきにょき生えては収穫されて、天ぷらになったり佃煮なったり。
その中でうまくいったもの、勝ち残ったものが竹として成長し、IT業界という竹林に育ったのではないでしょうか。
当時はまさにインターネット黎明期だったのです。
そして私は東京行きを決意しました。
ちなみにそれまでに東京を訪れたのは、たった一度だけ。
ハートレイク号が勝った安田記念を府中で見たときでした。
上京した本来の目的は競馬観戦ではありませんが、それについては先述のホームページのテーマとおなじ理由で現時点では割愛します。
そんなこんなで私は生活の拠点を東京に移しました。
すみません。見栄を張りました。
仕事の拠点を東京に移しましたが、住まいは多摩川を超えた隣県でした。
多摩川とか荒川とか、この川を越える越えないで家賃が大きく違いますからね。
そして憧れの東京で、現在のIT業界を築き上げる礎となった渋谷のオフィスで仕事をスタートさせたのです。
ビットバレー。
そんな時代の真っ只中にあの頃、自分が存在していたなんて、今ではまったく信じられません。
田端と田町と田無の区別がついていなかった田舎者の自分には、当時もピンときてませんでしたが。
まあ時代的には真っ只中でしたが、立ち位置は端っこだったというのも事実です。
関西で生まれ育つと、関東地方というのは都会だと思い込みがちです。
私は上京して初めて、茨城や群馬はコンクリートジャングルではないのだと知りました。
大宮だって自分の出身地である地方都市と大差ありませんでした。
そんな狭い世界しか知らなかった私が、ここから変革に次ぐ変革、成長、消滅、流行、忘却。
IT業界の中にどっぷりとつかっていくことになるのです。
人生とはわからないものです。
とはいえデザイナーでもなければエンジニアでもない、専門知識もITとは関係のないジャンルで、一度社会に出てから専門学校にわざわざ入りなおして身に着けた家業由来の特殊分野だったということが、どこか私に第三者視点でその時代の波を俯瞰させてくれていたような気もします。
そしてそれ以来関わってきた業種がインターネットの中でも通販ジャンルだったということから、このタイトルにもなった「回帰している」という実感を得たというわけです。
たとえどんなに商圏が広くともツールが違えども、小売であることに違いはありません。
だからこそ感じてきたこと。
それをこの機会に振り返ってみようと思い立ったのが、今朝のことでした。
夢で見たもので。
~続く~
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