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石はすべて答えのかたちをしている

私はアーティストとしてこれまで、鉱物をモチーフとしたアッサンブラージュ(立体的コラージュ)という手法で潜在意識へアクセスし、それにより自然崇拝や祖霊への畏敬という文化への理解と教化を深めていくことに徹した活動をしてきました。
今回アートコンプレックスセンター東京における二回目の島津さゆり個展では、この活動における一つの思索を試みます。

古来より、鉱物はあらゆる文化圏において様々な宗教・信仰・祭儀的意味を持ち、それが転じて支配者層の富や権威の象徴的な存在でありました。
そうした世俗の価値観に常に晒されつつも、鉱物は人の世の理を超越した真理、自然そのものの一部、科学の具現としても同時に存在しています。

鉱物の持つ美しさはあらゆる文化圏で人を魅了し、詩人の心を揺さぶり、時として争いの火種となり、人心を狂わせるものでありつつも、その厳然たる化学組成や結晶の規則性は人の子には及ばないところにある揺るぎない科学の象徴でもあり、産業を発展させてきました。
この感情と理性の乖離した一見アンビバレンツな存在こそが鉱物の魅力であり、この逆ベクトルの事象にも思われる空想と現実、欲望と真理をせわしなくいったりきたりするばねのような動きこそが、幾千年と続く人間の、文化の本質です。
今展で私は、人の心の中にある感情的信仰的な形而上の答えとしての鉱物、現実の科学的事象の現れである形而下の答えとしての鉱物、という二つの観点から見た鉱物をあらゆる側面で夢の中の景色として表すことにより、この動きの行きつくところを思索しています。

昨今、テクノロジーの急激な進化より、人は現実の距離だけに飽き足らず、仮想空間でのつながりを手に入れ、人間関係とは時間と距離を超越した存在となりつつあります。
この転換期において、あえて古来より人が抱えてきた空想と現実の双方の答えを行ったり来たりするこの動きを見つめなおすことで、来るべき未来の社会への移行を人間らしく迎える必要があると考え、この思索の過程をここに発表するものとします。

石はすべて、答えのかたちをしている。
それはきっとあらゆる場面であらゆる人が発見できる、人間社会の拠り所ともなる真実なのです。

2023年5月21日 島津さゆり


島津さゆり(時計荘)個展

「石はすべて答えのかたちをしている」


昨年に続きアートコンプレックスセンターにおける二回目の個展となる本展では、美術作家「島津さゆり」としての活動や新作群を展示するだけではなく、自身のカジュアルラインとしての雑貨ブランド「時計荘」作品販売ゾーンも併設し、2部屋構成にてその活動のすべてを遍くご紹介いたします。

■会期
2023年5月23日(火)~5月28日(日)
11:00-19:00 ※月曜休館、最終日17:00まで

■会場
The Artcomplex Center of Tokyo (ACT)
〒160-0015 東京都新宿区大京町12-9,2F ACT1,2
TEL 03-3341-3253
E-mail info@gallerycomplex.com

■入場料 無料 /  撮影可

オンラインショップ https://actgallery.theshop.jp/
※オンラインショップは会期開始初日17時より販売開始いたします。


美術作家・島津さゆり
1977年東京生まれ 千葉県在住
自然崇拝と夢というシュルレアリスム的要素をテーマに、
鉱物をモチーフとしたアート作品を発表する「島津さゆり」としての活動のほか、
生活の中で鉱物を気軽に楽しみ自然に親しむための雑貨ブランド、
「時計荘」としても都内書店・ギャラリーにて鉱物イベントや企画展を主催

頂いたサポートはすべて、確実に作品制作に充てさせていただきます。 (作品展示のご高覧、ご声援だけでも十分ですのでご無理なく!)