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随意運動と姿勢制御、脳卒中でどちらが障害されやすい?

relief 作業療法士 平松です。

今回の記事では…

随意運動:皮質脊髄路
姿勢制御:皮質網様体脊髄路

脳卒中による損傷でどちらが障害を受けやすいのか?
お伝えしていきたいと思います。



1.皮質脊髄路(外側皮質脊髄路)について

投射:主に1次運動野→延髄で交叉(錐体交叉)→対側の脊髄側索を下行→脊髄前角へ投射
役割:主に対側の四肢遠位筋の随意運動を制御

皮質脊髄路(外側皮質脊髄路)は随意運動、意識的な運動を制御し、手指や下肢などの遠位筋の出力に大きく関与しています。

2.皮質網様体脊髄路について

投射:補足運動野/運動前野→網様体投射→脳幹網様体→同側・両側の脊髄前角へ投射
役割:主に姿勢安定化に関わり、反射活動、姿勢筋緊張の調整に関与

皮質網様体脊髄路は無意識的な運動制御に関与し、四肢近位筋や体幹の姿勢筋緊張の調整に大きく関与しています。
そのため、歩行や姿勢制御に密接に関わり、先行的かつ随伴的に姿勢を保ってくれています。

3.脳卒中では皮質脊髄路、皮質網様体脊髄路どちらが損傷しやすいの?

では、今回の本題に入っていきます。
脳卒中では…

随意運動:皮質脊髄路
姿勢制御:皮質網様体脊髄路

どちらが損傷を受けやすいのか?

こちらの論文を基にお伝えしていきます。

対象:被殻出血を伴う脳卒中片麻痺患者
内容:皮質脊髄路と皮質網様体脊髄路の損傷割合を調査
結果:皮質網様体脊髄路損傷の発生率  87.8%
      皮質脊髄路損傷の発生率             71.9%
   両方の下行路損傷の発生率          64.9%

と報告されています。

脳卒中片麻痺患者においては…
皮質網様体脊髄路の損傷が多い傾向であり、姿勢制御や歩行に問題を生じる場合が多い
と考えられます。

脳卒中後後遺症=随意運動

とイメージされる方が多いかと思いますが、実は姿勢制御や歩行などの無意識的な運動に問題を生じていることが多いということになります。

つまり、私たち療法士が意識的な運動に着目していては、脳卒中患者さんの回復に十分に貢献できない可能性がある。
ということになります。


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