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化学療法誘発性末梢神経障害に対する化学療法中の運動の効果

こんにちは、こんばんは。
東海BiNI研究会 作業療法士 平松です。

本日から新年度が始まりますね♪
今年から療法士になられる皆様、そして歓迎する側の療法士の皆様、どちらも新鮮な気持ちになる時期ですね‼

私自身も、新しい環境での勤務・医療事務+αとしての勤務が始まる予定です。今年度も皆様と一緒に成長したい思いますので、よろしくお願い致します。

☟今回の論文要約はこちら☟

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【題名】化学療法誘発性末梢神経障害に対する化学療法中の運動の効果:多施設無作為化比較試験
【目的】
すべての癌患者の半分以上はタキサン・プラチナ、それともビンカアルカロイドを基にした化学療法を受け、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を体験し、手と足のしびれ、ひりひりした痛み、痛み、冷感と運動機能障害が含まれている。CIPNは用量制限毒性、死亡率を増加させる可能性がある。CIPNを治療するFDA(アメリカ食品医薬品)で認可された薬剤はなく、運動などの行動的介入が期待されているが、研究は不十分である。疲労に対する運動の、我々の全国規模の第三相無作為化比較試験は、(1)CIPNの症状に対する運動効果(2)CIPNの症状を予測する因子と(3)CIPNの症状に対する運動に対する中等度効果の因子を、調査する。

【方法】
タキサン・プラチナ、それともビンカアルカロイドを基にした化学療法を受けている癌患者ら(N=355名、56±11歳、女性93%、乳がん79%)は、化学療法と化学療法に加えて癌患者のための運動(EXCAP)にランダム化された。EXCAPは標準化された、個々に合わせた、中程度-強度な、自宅での6週間のウォーキングと抵抗運動を組み合わせたプログラムである。患者はCIPNの症状である手足のしびれ・ひりひりした痛み・熱感/冷感(0-10スケール)を介入前後に報告した。我々はCIPNの症状と関連する可能性のある因子としてベースラインの末梢神経障害、性別、年齢、BMI、癌病期、癌の種類と運動の有効性について検討した。

【結果】
運動は、CIPNの症状である手足熱感/冷感(-0.46単位、P=0.045)、しびれとひりひりした痛み(-0.42単位、P=0.061)がコントロール群と比較して減少させた。運動は高齢者(P=0.086)、男性(P=0.028)、乳がん患者(P=0.076)の多くの患者のCIPNの症状をより減少させた。
【結論】
運動は、タキサン、プラチナそれともビンカアルカロイドに基づく化学療法を受けている患者のCIPNの症状を減少させる様だ。臨床家はこれらの患者に運動を処方することを検討するべきである。
【個人的解釈】
EXCAPは6週間の介入のうち、ウォーキング(心拍数予備力:60-85%、毎日、歩く歩数を毎週5-20%増加)+抵抗運動(バンド運動)を行う癌患者のための運動とされている。今回は化学療法誘発性末梢神経障害に対する運動療法の効果であるが、中枢疾患由来やその他から起因する末梢神経障害のしびれや痛みに対しても、下行性疼痛抑制機構や運動課題の達成による報酬系の関与、運動に伴う末梢神経の伸張性・圧迫ストレスの改善などから影響を与える可能性があると考える。そのため、徒手介入のみでなく、適切な運動療法の提供は重要である。

*個人的解釈の部分はあくまで主観ですので、ご理解頂けたらと思います。また各自、原著論文等もご確認頂けると幸いです。



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