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イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。

とうとうこのシリーズを書き始めることになったかと思うと、感慨一入です。

ー 日本及びイギリスの作業療法に興味のある方、ぜひお付き合いくださると嬉しいです。私が以前検索に検索を重ねていた頃にはイギリスで作業療法士として働いている人の情報にたどり着けなかったということもあって、これが誰かのお役に立てたり仲間を見つけられたら本当に嬉しいです。そう言及したばかりのちょっと前の記事にコメントして下さった方がいて、それはもう目が星になりました。イギリスでご活躍の日本人の作業療法士さんは必ずいらっしゃるはずです。是非ご一報ください。ー

2021年9月27日、遂に私の再就職初日がやってきた。

と、本業の話に入る前にまずはここまでの道のりを思い出して書こうと思うが、もうそれがすでに長かった。

私が渡英を機に、日本で10年選手の作業療法士の仕事をやめたのが2008年の8月。それから幼い3人の娘たちと充実した日々を送るうちにあれよあれよとまた10年が経過。普通の生活をしていたら特に英語も上達しないし周りの友達もほぼ働いていなかったので、特に再就職の焦りもなかった。しかし徐々に子供が大きくなるに連れ、やっぱり何か役に立つことがしたくなった。

大きく変わったのはやはり2020年。コロナ渦で大規模なロックダウンが実行されたイギリス。買い物などが制限されてかなりの緊張感が走った一方で、私にとっては子供の習い事の送り迎えなどの雑用がなくなり、またほそぼそ続いていた極小自営業(Home Therapeutic Exerciseと日本語レッスン) もできなくなり、それは思いがけない充電期間となった。ありがたいことに経済的には安定していたので、その時間を使って前半はホームスクーリングをしながらクリスチャンとしての自叙伝を書いていた(いずれまたここに公開したい)。そしてそれが終わってから就職活動に「本気で」取り掛かったのである。

まずは履歴書(CV)の作成。これは前にボランティアセンターで書き方を少し習っていたがやっぱり最後はネイティブ英語の力を借りて修正した。そして履歴書にちょっと迫をつけようと、SENと呼ばれる特別支援が必要な児童のための教員アシスタントの資格も取った。結局役には立たなかったのだけれども。そうしてジョブサイトの求人情報を上下上下とスクロールしてはCVを相手先に送る日々がはじまったのである。実はゼロから本気の就職活動はこれが人生で初めてだった。

私はイギリスで作業療法士に戻るほどの経験も言語力もないしそんな人を雇ってこの国のOTレベルを下げたくない、という全くの日本人的信念を掲げ、最初に探したのは保育士助手、介護士、特別支援教員助手、または理学療法助手だった。
しかし10年のブランクがあるしかも英国で就職経験のない40代のノンネイティブイングリッシュスピーカーにそうそう上手く希望の条件の働き口が転がって来るはずもない。手応えはゼロ。さらに職種の幅を広げて検索する日々。葬式屋の求人まで見た。かと思えば一方で、半年の間にシニア作業療法士のポジションへのお誘いが6,7件も来た。しかしこれはまずイギリスで作業療法士として登録してあることが条件とされていて、履歴書に『登録してない』って書いてあるやん、と一瞬毒つきながらも私はそのメールに一件一件丁寧にお断りの返事をした。
半年間で面接まで通ったのはナーサリーの保育士募集の一件だけだった。これはインターネットのサイトを通してビデオを送るというコロナ渦ならではの面接方法だったがあっさり不合格。人生で初めて就職試験に落ちた経験だった。ここからズブズブと典型的就活人の心理状態に陥っていった。

そんなある日の一件の電話。あるエージェンシー(派遣会社)から委託作業療法アシスタントとして登録しないかという依頼だった。CV見てオッケー、面接も不要。私は何度も「ほんとにアシスタントでええの?」と確認したが良いとのことだった。これまでの私にとっては電話英語は一番避けたい事柄だったし、そのエージェントが使うビジネス英語も正直よくわからなかったが、あれやこれや断る理由もなく結局私は作業療法の世界に引き戻されていったのである。

学院時代に教員が言った呪いの言葉をまた思い出した。
「結局資格に縛られるのよ」
そこからもまた海を渡っての書類手続きやトレーニングや血液検査をこれまた10年選手の主婦感覚と戦いながらやり抜く中、しばし励みだったのは顔も知らない担当のエージェントの声(ハリー、男)が素敵だったことだった。

そうしていよいよエージェントから、ある就職先から依頼が来たことを知らされたのです。つづく…

*

さて、ここまでも決してスマートではない私の経験談ですが、

もし私のケースのようにイギリス/海外で再就職を狙っているお母さんたちに一つアドバイスができるとすれば、是非、子育てが落ち着いたころに自分の好きな方面のボランティアなどを積極的に初めておくと良い、ということです。
この国はボランティアでも立派に経験としてカウントしてくれる。私は週2日のボランティアをしながらFunctional Skills QualificationというGCSEレベル(中学卒業)に相応するコースもとった(政府が無料で提供)。そのあと個人でお年寄りの訪問をしたり日本語を週一で教えたりした。どれも履歴書に書ける。見返してみると、全く空欄だったのは結局5年間だけだった。それでも書類担当のエージェント(女)から「この期間、本当に何もないの?」と2,3 回聞かれた。マジ、その5年間どっぷり子供を育てられたことはラッキーだったし十分誇りに思っているんですけど、と結構悔しい思いもした。子育てが将来履歴書に書ける立派な経歴となることを願う。

つづきます。
読んでくださってありがとう。


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