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山形 赤倉温泉いづみ荘③<終>【有難し、旨い米と宿の人】

<前回はこちら>

 「この米、どこの物ですか?」

 山の宿でおいしいご飯に出会うと、ついつい御主人や女将さんにこの質問をしてしまいます。人間、嫌でも生きていれば腹が減ります。私はパンを食べないので、主食のコメは重宝します。

 どうせ買うものなので、できるだけ安く、そして旨いものを。
突き詰めると馴染みの湯治宿で買うか、その取引先を訪ね米屋で買います。車移動であれば5キロを持ち帰ることくらいは造作ありません。ちなみに水も天然水を20ℓのポリタンクに積んで帰ります。

 いづみ荘の米も一粒一粒がしっかりしている印象で、雑味のない上物でした。出処が気になりました。

館主 「これは山形95号という米で、地元では『もがみ誉れ』という品名で取引されています」「山形でブランド米を作るのに選考会をやって、決勝戦に残った二つのうちの一つです」
私  「初めて聞きました。つや姫や雪若丸は関東でも随分見るようになりました。どこかで手に入りますか」
館主 「佐々木商店さんで売っています。最上駅の近く、役所の向かいにあります」
私  「そうですか、帰りに寄ってみます」

朝食 十分です
米はガス釜で炊いているそうです
2食付6千円台(入湯税別)ですから

 チェックアウトの後、最上駅北にある佐々木商店に向かいます。プレハブ小屋のような建物が見えてきました。中に入ると女将さんらしき方が奥のデスクに座っており、声を掛けました。

私  「いづみ荘さんから聞きまして、もがみ誉れ売っていますか?」
女将 「10分待っていただければ精米しますよ。おいしいでしょう、このお米。この辺でしか作っていなくて、スーパーには出回らないの」
私  「そんなに高くないですね」
女将 「ネットでも注文できるけど、配送料とかが掛かるから」

 近年全国各地で作られいるブランド米。消費量の減少と価格下落の抑制が背景としてあるそうです。
 以前新潟の湯治宿の女将から伺った話です。県内で作られる米の中でも本当に良い物は九牛の一毛。有名ブランドの表掲に胡坐をかき、粗製濫造したものを混合して市場に流通させる業者は少なからずいるようです。

 全国に出回る「はえぬき」「つや姫」「雪若丸」と並んで店頭販売されていたもがみ誉れ。米にも少なからずブランド料が掛かると思慮、最も安いこの品を購入しました。

 米の全国平均価格は2,100~2,200円(5㎏)だそうです。それよりも数百円安く仕入れることができました。ちなみにネットで購入すると配送料もかかるので随分値段が違います。

最上駅北にある佐々木商店

 今まで知らなかった最上町、何度も立ち寄るだけだった赤倉温泉は、清冽な空気と豊富な源泉があり、旨い米が育つ良い場所でした。廃れてしまっている感は否めませんが、どうも私は賑わっている温泉街よりこのような街が好きなようです。
 そして湯治仲間が教えてくれた小さな宿は、素朴で温かい経営者がいる素敵な空間でしたーーー

 
 と・・・ まあ そういう わけだったのさ

Y 「良かった。気に入っていただいて」
私 「頼りになります。温泉旅館は羊頭狗肉が罷り通っているから、口コミなんてあてになりゃしません」
Y 「高いから良い宿とは限りませんよね」
私 「風呂も米も良かったですが、やっぱり御主人の雰囲気もね」
Y 「堪りませぬ」
私 「女将自慢の宿はたくさんあるけど、穏やかな御主人の宿…」

私 「勝風館さん(栃木・板室温泉)と勘七湯さん(宮城・東鳴子温泉)もいいですよね。あの優しい感じが」
Y 「あと光陽館さん(神奈川・湯河原温泉)」
私 「あー、あそこね。フェイクなんですよね。鉄筋の5階建で、バブル感あるから、左団扇の感じの人が出てくるかと思いきや」
Y 「めちゃくちゃ優しいです。女将さんのさりげない気遣いも嬉しいです」

私 「またどこかで」
Y 「それじゃ、お大事に」

 ーとある湯治宿にてー  おしまい

【赤倉温泉 いづみ荘】
1泊2食6,930円(+入湯税) お手軽プラン2食付 アメニティ類別料金

赤倉温泉街① ほとんどシャッターが閉まっています
赤倉温泉街② 右側の商店はやっている日もありました
赤倉温泉街③ 旅館併設の食堂
いづみ荘 帳場
館主のお母様が書いたそうです
いづみ荘さん お世話になりました
いいお湯でした
料理少なめのプランです
今回寄りませんでしたが近くの名店
阿部支店の味噌ラーメン

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