ご当地の美味いモノ ー 三重テラス
還暦に手が届く歳になって筋トレにハマった、アラ還トレーニーの自分は、旅が好きだ。国内も、国外も、いろんな所に行って、ご当地の美味いモノを食す、という旅が好きなのだ。武漢由来の流行り病で、なかなか旅行に行くことができないのだが、東京には、日本各地のアンテナショップが多数ひしめいている。先日、日本橋にある三重県のアンテナショップに隣接するレストラン『三重テラス』で、三重の食材と日本酒を組み合わせたペアリングディナーを楽しんで来たので、今日のnoteにはこのコトを書いてみたい。
『三重テラス』は、日本橋室町の、浮世小路千疋屋ビルYUITO ANNEXの一階にある。マンダリンオリエンタル東京の向かい側にあるそのビルは、福徳神社への参道を挟んで本館と並んでいる。日本橋三越やCOREDO室町から近く、一大商業地区に位置していて、とてもアクセスのよい立地だ。
食したのは、「伊勢の国 極み」という、三重の地酒5種とのペアリングが楽しめるコースだ。食材と酒は 和 だが、調理は イタリアン という組み合わせにワクワクなのだ。
一品目は、牡蠣のコンフィ。ゴボウのクリームと、カラッと揚げたゴボウチップと共に提供された。合わせるのは、伊勢角屋麦酒のクラフトビール。
二品目は、石鯛のカルパッチョ。蕪と柑橘の実をさいの目にカットしたものが皿に敷き詰められていて、混ぜて食べると食感と酸味が、口の中で楽しい一品だ。合わせるのは四日市の宮崎本店が作る「宮の雪 山廃純米」だ。旨味の余韻の長いこの酒の蔵は、「キンミヤ」で有名な蔵でもある。
三品目は、真鱈の白子、サトイモを裏ごしたねっとりとしたクリームソースで頂く。白子の身への加熱が絶妙で、身がしっかりしていて、中はトロトロ、という仕上がり。トッピングされているのは、春菊。たぶん、電気フライヤーでパリッと仕上げたのだろう、とても軽い。合わせるのは、四日市の石川酒造が作る「ふきい 純米」。すっきりとした飲み口だが、タンパクになりすぎず、優しい乳酸が特徴的だ。
四品目は、伊勢海老・帆立・真鯛のグリル。ビスクソースと黒トリュフで頂く。魚介類への火入れは、先ほどの白子と同様に、完璧だ。シェフの腕が冴える逸品だ。ただし、黒トリュフは香りが弱く、アクセントにはやや足りない感じだ。合わせたのは、桑名市の細川酒造が作る「上げ馬 純米吟醸」。華やかな薫りの経つ、ザ・吟醸、流行りのスタイルだ。
五品目に、手打ちのパスタが登場する。三重県で収穫された小麦で、当日打たれるパスタは、弾力に富んでいる。シラス・小松菜と共に、カラスミに仕立てられたマグロがソースになっており、独特の薫香と甘じょっぱさが楽しい一品だ。
いよいよ、コースのメイン。松坂牛のグリル、菊芋のソースとバルサミコでアクセントをつけた意欲作。低温調理した松坂牛は、中まで温かいが、口に入れるとサシの脂が解けて、香ばしく焼いた外身の香りと共に胃袋に落ちていく。合わせたのは、伊賀の大田酒造が作る「半蔵 純米大吟醸」。しっかりとしたストラクチャがあり、華やかで余韻も長く、松坂牛の濃い脂に負けない、どっしりとした旨味がある。
三重の紅茶とレモングラスのシャーベットで口直しをする。アールグレイのような香りが鼻を抜け、最後に酸味が口に残る、という爽やかなプレ・ドルチェだ。
そして、抹茶のティラミス、ゴマ煎餅と共に頂く。そしてコーヒー。
2時間にわたる三重県からのプレゼンテーションは、日本の食の豊かさと、滋味深さ、食材を活かす調理、料理を抱擁する地酒、そのすべてを楽しませてくれた。また、伊勢参りに行きたくなってしまった、アラ還トレーニーなのだ。
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