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仕事もおしゃれも子育ても、自分らしく選べる女性技術者を目指して

長朶 このみ|Konomi Nagata
2021年4月東北電力入社。宮城発電技術センター土木課へ配属。宮城県内21カ所の水力発電所の保守・運転管理を担当している。
学生時代は土木を専攻。インドア派でありながらアメリカンフットボール部のマネージャーとしてチームに貢献した。
趣味は、お笑いライブに行って思いっきり笑うこと。特に「空気階段」がお気に入り。


100年前の先人が造り上げた土木設備を守り続ける

―どんな仕事をされているのですか。
水力発電所の保守・運転管理の仕事をしています。
宮城県内には、東北電力が管理する水力発電所が21カ所あります。北は栗原市から南は白石市まで、その全てを宮城発電技術センターで管理しています。事務所内のモニターでダムや取水口の様子を確認でき、遠隔操作で水量調整のための門扉の開閉もできます。普段、現場に出るのは週に3日ほどでしょうか。

―どんなところにやりがいを感じていますか。
インフラに関する仕事がしたかったんです。
東日本大震災でインフラのありがたさを肌で実感しました。学生時代に土木を専攻したのも、そういった経験があったからかもしれませんね。
水力発電所は、川から水を引き入れて電気を生み出しています。100年を超える発電所も結構多いのですが、深い山の中から何kmにもおよぶトンネルで水を運ぶ発電所もあります。電気を生み出すために、先人の方々は良く造ったなと感服することも。現代に受け継がれた土木設備をしっかりとメンテナンスして、発電所を安定して動かしていきたいですね。

水力発電所には100年を超える土木設備も。土木技術者としてメンテナンスに心を砕く

一緒に働く協力会社の皆さんの安全のために

―仕事をする上で、どのようなことを大切にしていますか。
なにより一緒に働く協力会社の皆さんの安全ですね。
設備のメンテナンスでは、協力会社に工事をお願いするものもあります。毎朝、作業が始まる前に現場の責任者の方から電話が掛かってきますので、まずは声の調子を確認しています。暗いトーンで「おはようございます」と言われたときには「どうかしましたか?」などの声がけを徹底しています。

―天気予報の確認も欠かせないですね。
天気予報をすごく見るようになりました。特に冬は、北と南では、風や雪の状況が違うことも。現場で懸命に作業にあたっている仲間を想うと、やっぱり弱音は吐けない。仲間の作業環境を少しでも改善できるような工夫を重ねていきたいと思っています。

―これまでの仕事で嬉しかったことを教えてください。
最近結婚したのですが、名字が変わった時、協力会社の方々からもすごく喜んでいただきまして。
これまでの4年間、コミュニケーションを大切にして関係を築いてきた結果なのかなと嬉しかったですね。

些細なことでも相談してもらえるように、日々のコミュニケーションを大切にしている

―あ、きれいなネイルですね!
ありがとうございます。メイクもネイルも、自分が前向きに仕事をするためなんです。土木は現場の仕事も多くて、おしゃれするイメージはなかなかないかもしれませんが、おしゃれをすると自分のテンションがあがるので。
もちろん安全確保は最優先です。作業や操作をするときは手袋。長い髪の毛も束ねただけだと機械に挟まれるリスクがあるので、現場に行くときには、三つ編み&お団子にしています。

安全確保を最優先に、メイクやネイルでテンションを上げて、日々の仕事への原動力に

多くの失敗も、経験が自分に自信をくれた

―結構失敗もしましたか。
ありすぎて、すぐに出てこない(笑)

今でこそ「私は水力です」と言えていますが、やっぱり初めは専門的な言葉がわからない。特に入社したばかりのころは、そもそも何を書いたらいいのかもわからなくて。メモもできず、失敗だらけでした。
でも、このままでは何も変わらないと思って、分からない言葉も言われたまま、ひたすら書きまくりました。わからない言葉は、後で調べればいいんですから。

2年目になると、いろいろな仕事を任せてもらえるようになりました。ですが、自分が思い描く理想像はあるものの、実力が伴わなくて心に余裕がないこともありました。そんな時、書類の確認漏れという大きな失敗をしてしまいました。

―その時、上司は。
それが…課長は「起きてしまったことは仕方がない」と、私が落ち込んでいる間に再発防止策を講じてくれました。思うところはあったのでしょうが、部下には一切出さない。いつも背中で教えてくれる、とても尊敬している上司です。

―どうやって失敗を乗り越えてきたのですか。
できることが増えてくると自信につながって、自信が生まれると(落ち込んでいたことも)忘れていきましたね。先輩から勧められて、さまざまな資格を取得したことも自信になりました。
後輩には、自分が失敗したことや分からなかったことを全部まとめて、マニュアルにして渡しています。

尊敬する上司と

仕事もおしゃれも子育ても、自分らしく選べる女性技術者を目指して

―仕事を楽しんでいる様子が伝わってきます。
宮城発電技術センターで女性社員は私だけですが、正直困ることはあまりなくて…。きっと私が気にしないように、周りの皆さんが気を遣ってくれているのかと。おかげさまで、のびのびと仕事ができています!

職場の雰囲気もすごく良いですね。土木課と水力電気課の2課で構成されていますが、仕事の連携も良くとれています。また、水力部門全体では、『水力だより』という日々の出来事を投稿する習慣もあって、宮城県だけではなく水力部門全体としての一体感もありますね。

和気あいあいとした雰囲気の宮城発電技術センター土木課

―東北電力はどんなところですか。
大きい会社だからこそ、近くに女性がいなくとも、仕事を通じて他部門の女性社員とのつながりもできます。
また、勤務地を限定したり時短勤務が選べたり、働き方を色々と選択できる制度が整っているので、ライフステージの変化に応じて上手に活用していきたいと思っています。

でも、いいところばかりじゃなくて、DXへの対応が少し遅いように感じます。若手社員同士で「人が少なくなるのに、業務が増えるのは絶対だめ。DXの力で効率化していきたいね」と話しています。
最近、水力部ではドローンの活用に力を入れているんですよ。設備は山の中が多く、水路のトンネルも長くて、巡視点検が大変なんです。それをドローンを使って効率化できないかと取り組んでいます。人間の目や経験には敵わない部分はあるでしょうが、デジタル技術やAIをうまく組み合わせながら、少ない人数でも技術力を上げていきたいと思っています。

―将来はどんな仕事をしてみたいですか。
土木建築部門は水力、火力、原子力、そして送配電と活躍できるフィールドが広いので、別のフィールドでも働いてみたいです。
特に、後に続く女性技術者に「こういう選択もできるんだ!」と思ってもらえるような働き方をしていきたいと思っています。
何か特別な理想があるわけではなくて、仕事やおしゃれ、そして子育てと、自由に選択できるような女性技術者の姿を切り拓いていきたいですね。

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