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組織における地層

私が考える組織のイメージをピラミッド図にしてみました。
今回このイメージを言語化してみたいと思います。

2023.7.12 組織のイメージ図

地層として考えてみる

地層をイメージしたのは、上位層の考え方が、下位層に染み込んでいって影響を与えていることを表現しました。
また、

・土台がしっかりとしていないと、上の層を積上げられないこと。
・「しっかりと」とは、内省による概念の言語化を意味すること。
・積上げて、大きい山を作っていくためには、高い目的・理念を掲げて、山の頂点をを引き上げていく必要があること。
・層に分かれている境目において、対話による接続が必要であること。

についてもイメージしています。

各層について言語化をしてみます。

共通する価値観・当たり前の基準

2人以上の人が集まり集団となった時、そこに共通する価値観や当たり前の基準が発生します。

・会社に定時に出社する。
・出社時、帰社時には挨拶する。
・机のまわりは整理整頓する。
・決められた時間は守る。
・・・

人によって、価値観や当たり前の基準は様々ですが、これがズレることは集団で事業を行う上で、集団内に悪いストレス、生産的ではないストレスを発生させます。

また、分業構造や仕事の進め方、目標に対する約束の度合い等についても、時間とともに、組織の価値観や当たり前の基準を変化させていきます。

最下層の土台の部分について、リーダーは、言語化することを躊躇することが多い(なんでそんなことも、いちいち言わなければならないのか、常識だろ)ものですが、組織が拡大する過程において、この価値観・当たり前の基準の言語化、および、組織に参画する際に、この基準にそぐわない人間を排除していくことも求められます。

組織図・分業構造

2人以上の人間が集まり、1つの目的や目標に向かって動き出すと分業が始まります。

組織を作ったばかりの頃は、人数が少なく、近しい価値観の人間が集まるため、考え方を合わせることが容易です。
そのため、全体のタスクを随時、個々に割り振って「考える-実働する」を個別に行う、水平分業の形が採られます。

しかしながら、集団の人数が増えてくると、価値観のズレ、当たり前の感覚のズレ、能力や経験の差が大きくなって来るため、水平分業の在り方を徐々に固定化していくとともに、「考える-実働する」を分ける「垂直分業」に移行することが求められます。

役割・責任・権限

水平分業の固定化、考える人と実働する人の分離となる垂直分業が始まると、個々の決めることができることの範囲・実働の範囲を定めないと、メンバー間での認識のズレが大きくなってきます。
そのため、役割・責任・権限を明確にし、マニュアル等文書で組織内に蓄積していくことが求められるフェーズとなります。
この部分について、メンバーの経験や能力を勘案しながら設定・変更していかなければ、全体最適を図ることが出来ません。
また、下層構造を理解し、役割・責任・権限の明確化ができないと、経験上、規模感が30名程度、一人の人間が見える範囲を超える拡大が困難となると感じています。

目標管理・選択と集中

水平分業・垂直分業が進み、これに伴い、役割・責任・権限の範囲が決まってくると、時間軸を意識した組織的な調整機能の強化が必要となります。

全体目標と個々の目標の整合性が求められる段階になるため、それぞれが考え得る複数の目標の選択と限りある資源の集中を決め、組織として共有していくことが求められます。

この段階になると、時間軸を意識した、複数年での計画を年単位、四半期単位、月単位、週単位、日単位、に分解し、調整する機能が必要になり、より細かい調整を実現するためには、下層構造、特に、共通する価値観・当たり前の基準がズレることが無駄な時間を生むこととなるため、下層構造の地盤強化、すなわち、更なる言語化とこれに基づく規律の確立が求められます。

経験学習・概念化

これまでの下層構造を実行する中で、外部環境も、組織内部の環境も常に変化していきます。
環境が変化する中で、自己自身も変化させるために、自身が実行したことを他者の反応(数字を含む)をもって内省化し、言語化する機能、すなわちフィードバック機能が求められることとなります。
個人としてのフィードバック、チームとしてのフィードバック、組織としてのフィードバックと、それぞれに主語が異なるフィードバックを実施し、概念化した上で、これを踏まえた実行を繰り返していくこと。
この段階になると、組織における階層構造を踏まえた役割(経営層・ミドル層・メンバー層)を明確にし、具体と抽象を行き来する対話と内省が求めらえる段階となります。

目的・理念

概念化によって、組織を主語としたフィードバックを繰り返し、具体と抽象を行き来する中で、目的・理念の言語化が進んでいきます。

目的・理念の言語化を進めていかなければ、組織が拡大する中で、多種多様な機能を持つ個々の集団の目標設定を取りまとめ、一つの大きな力とすることが困難です。

経験の中から出てきた目的・理念で、組織全体を引き上げることが、組織の裾野を広げ、組織を拡大させることに繋がります。

ところで、最近、理念経営・パーパスという言葉を聞くことが多くなってきましたが、最下層の「共通する価値観」と組織における「目的・理念」を混同しているケースが多いように感じます。

両者がどのように異なるかを言語化すると、「共通する価値観」は組織に所属するメンバーの総意もしくは意識上の多数決で決められるもの「目的・理念」は組織として経営層が経験と内省による概念化により導き出されるものであり、総意もしくは意識上の多数決では決めることが出来ない、属人的なものとなります。
勿論、「共通する価値観」が土台にあって、経営層の「目的・理念」が成立していますが、これを混同してしまうと、山の頂上を引き上げていくことが出来ず、変化する環境の中で、主体的に変化を作り上げていくことが出来なくなります。

これらを駆動させる生存本能

これまで様々な組織が生まれ、成長と衰退を繰り返してきました。

これらを駆動させるエネルギーは何だったのかと考えると、それは、生存本能、死への恐怖、ご飯が食べられなくなることの恐れ、だったと考えます。

現代の営利組織であれば、組織が存続させ、糧を得続けるために、環境変化の中で、自らの変化が求められる。
より多くの価値提供が出来る組織に、より多くの対価が得られるため、環境変化を踏まえて、組織を拡大し、分業を強化し、その過程で生産性を強化していったのが組織としての在り方だったと考えます。

今、「恐怖」による駆動から、「好奇心」による駆動や「希望」による駆動へと、駆動エネルギーの転換を模索していくリーダーの動きがあることも個人的には興味深いところです。

まとめ

組織とはどのようなもので、どのように成長・拡大していくかを踏まえて、イメージを言語化してみました。

創業したばかりの頃は、共通する価値観=目的、で、間の地層がほぼない中、少人数で組織を立ち上げていきます。
組織が成長し、メンバーが増えるに従い、曖昧な形で、徐々に、間の地層が積み上がってきますが、高い山を作るためには、それぞれの地層を言語化し、固めていくことが求められます。
言語化のためには、知識と経験が必要となりますし、それが、新たな目的・理念を構築していき、山の高さを引き上げていきます。

このモデルは、組織の成長を主テーマとし、外部環境に対峙するための組織と事業の関係性や、組織と個人、組織の中の個人対個人の関係性といった概念が包括できていないものになっています。

今後、組織と事業、組織と個人、個人と個人が内包できるようなイメージについても検討してみます。

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