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なぜ組織内で対話が必要なのか?

対話型組織開発であったり、1on1であったり、コーチングであったり、組織の中で対話を行うことがあります。
組織の中での対話は、どうあるべきなのか、最近、そんなことを考えているので、これについて言語化してみたいと思います。

結論、下記5つの種類の対話を行うべきではないかと考えました。

①共通の価値観・当たり前の基準を揃えるための対話
②個人の役割と組織の目的・目標を紐づける・意味付けるための対話
③個人のゴールに対する進捗をフィードバックする対話
④個人の暗黙知を形式知化するための対話
⑤そもそもの分業構造(事業の在り方)を見直すための対話

以下で、その内容を見ていきます。


何のために対話をするのか考えてみる

以前、組織を多層構造にイメージ化してみたため、今回はこれをベースに「何のために対話をするのか?」考えてみます。


上記リンク先記事より

10名以下の組織の場合の対話

組織が10名以下の時には、最上層の「目的・理念」と最下層の「共通する価値観・当たり前の基準」が近い場所にあり、

「実現したい未来のために、やるべきことをやる」

という自走できるメンバーが集まっていることが多いです。

なぜなら、まだまだ未成熟な組織に参画することは、参加メンバーにとっては大きなリスクを伴うため、『自らこの組織に入ることを選択し、参画する』、すなわち、『自ら考え、動くことが出来ているからこそ、この組織にいる』という状態になっています。

この段階における組織内の対話は、目標に対する合目的的な対話
「この仕事は誰がいつまでにやるのか」
「仕事を進める上で、弊害になっていることはないか」
といった実務的な対話が主となっています。

すわなち、初期において曖昧な分業構造を補うための対話です。

30名を目指していく過程での対話

10名を超えて人を増やしていく段階になるということは、サービスの勝ち筋が見え、拡大局面に入っていくことを意味します。

この段階で参画するメンバーは、他社も含めた複数の選択肢からこの組織に参画することを選ぶメンバーです。
このようなメンバーは、自走できるメンバーではなく、他者が設定したゴールがあることで成果を出せるメンバーです。

自走できるメンバーが優れている、他者設定で動くメンバーが劣っている、というわけではなく、人が動く上での思考の癖の違いとなります。

思考の癖の違いについては、以下の記事を参考にして頂ければ幸いです。

この思考の癖の違いを初期メンバー、特に経営層が理解して対話が出来ない場合、組織として拡大することが難しくなります。

10名を超えてくるあたりから、分業構造が固定化し、各人の役割・責任・権限を明らかにしていかなければ、組織の動きが遅くなります。

少人数の時のように、一人一人が自らの能力を踏まえて、積極的に必要な仕事を獲りに行く流動的分業体制から、一定程度固定化された分業体制へと移行していきます。

この過程で、自らの仕事(役割)が、組織の目的や目標とどのように紐づいているのか、仕事の意味付けが必要となってきます。

少人数の時は、個々人が勝手に自身の役割と組織の目的・目標を紐づけ、自走できていた状態から、それを他者が介在してやる必要がでてくる局面へと徐々に移行していくわけです。

この段階で、役割(責任)がどのように組織の目的・目標に紐づくか、意味付けの対話が求められます。

この各人の役割と組織の目的・目標の紐づけを、組織のトップが、各従業員との1on1で実施している企業があります。

トップが優秀であれば、30名程度の組織であれば、トップ対メンバーの対話で組織運営することが可能ですが、30名を超えていくと、トップ1人では、物理的にこの対話形式で組織を維持することが難しくなります。

100名弱の組織における対話の在り方

30名を超えて100名を目指す過程において、他者が設定したゴールの中で成果を出す人材が大半となっていきます。

そうなると、管理者を立て、ルールで行動範囲を明確にした上で、分業構造を踏まえたゴール設計をし、メンバーに対するフィードバックを繰り返していかなければなりません(目標管理、選択と集中のズレを補う対話)。

加えて、だんだんとお互いの顔と名前が一致しなくなる組織規模になってきますので、当たり前の感覚のズレ(最下層でのズレを補う対話)を確認し、組織のルールとしていく対話も必要です。

200名規模の組織における対話の在り方

人がスムーズかつ安定的に関係を維持することができる人数は150名程度だと言われていますが、100名を超えて200名に近づくと、多くの従業員にとって全員の顔と名前が一致しない状況となります。

人と人とのつながりの中で共有できていた情報が、徐々に共有が困難となっていくため、組織的に暗黙知を形式知に変えていく取り組みを行うことが求めれます。

また、これまでの組織で必要とされてきた対話も同時並行で必要となるため、

①共通の価値観・当たり前の基準を揃えるための対話
②個人の役割と組織の目的・目標を紐づける・意味付けるための対話
③個人のゴールに対する進捗をフィードバックする対話
④個人の暗黙知を形式知化するための対話
⑤そもそもの分業構造(事業の在り方)を見直すための対話

このような5つの種類の対話が組織の中で行われることが求められます。

200名規模の組織の場合、社長-本部長-部長-課長-メンバー、といった5階層程度の組織となるのが一般的です。

どの部分の対話を重視するかを階層毎に想定すると、例えば下記のようなイメージとなります。

①については、全社横断的
②については、部長-課長-メンバー層
③については、各階層間
④については、部長-課長-メンバー層
⑤については、社長-本部長層

それぞれの対話はお互いに連関している。

対話は個人と組織を結び付けていくものだと考えます。

営利組織としての継続を考えた場合、「③個人のゴールに対する進捗をフィードバックする対話」が重視される傾向にあります。

一方で、

「①共通の価値観・当たり前の基準を揃えるための対話」は外部人材を交えて行うことも検討しないと、特定の価値観の強制が、世の中とズレ、社会問題となる可能性を秘めます。

「②個人の役割と組織の目的・目標を紐づける・意味付けるための対話」を軽視すると、個人の成長(将来のキャリア)と組織の成長を紐づける意味付けが出来ないことで、離職の原因となる可能性があります。

「④個人の暗黙知を形式知化するための対話」「⑤そもそもの分業構造(事業の在り方)を見直すための対話」は、成長する組織において、変化に対応する上で、必要なものです。加えて、これらの対話は組織の目的・目標にたどり着くために、具体と抽象を行き来する対話となるため、業務とは切り離された対話の時間を作ることが求められます。

このように組織内の対話を言語化し、有限の時間の中で、どのように実務時間と対話時間を組み合わせて時間を使っていくか、考えていくことが必要となるのではないでしょうか。

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