東郷えり

本や映画の世界観をちょっと深堀り。歴史的な知識を交えて紹介します。 https://www.lanlanru.com/

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最近の記事

LanLanRu映画紀行|戦火の馬

舞台:20世紀前半 /  イギリス・フランス・ドイツ 最近、戦争映画をいくつか見ている。第一次世界大戦、第二次世界大戦と、戦争の描かれ方は様々だが、そのなかで一つ、異色の作品がある。 馬が主人公の物語「戦火の馬」 2011年公開/スティーヴン・スピルバーグ監督作品 この話、主人公は馬だ。額にダイヤ形の白斑を持った、サラブレッドの美しい仔馬。脚先には白い靴下のような模様が刻まれている。すらりと均整のとれた体つきは、本来なら乗馬向きだが、これにうっかり惚れ込んでしまったのが

    • LanLanRu映画紀行|清須会議

      舞台:1582年 /  日本 日本史上一番有名な会議といえば、やはり「清洲会議」だろうか。 大河ドラマでもおなじみ。豊臣秀吉の天下奪りの第一歩として、外せないエピソードだ。これを三谷幸喜が映画「清須会議」でコメディチックに、三谷幸喜らしく描いている。 人間喜劇を描くのに、これほど面白いテーマもないだろう。 何しろ応仁の乱からこの方、およそ100年間続いた乱世を抑えて、名実共に天下人となった「織田信長」が倒れたことによって起こった権力闘争。 一刻も早く事態を収拾しなければな

      • LanLanRu映画紀行|花咲ける騎士道

        舞台:1750-60年代付近 /  フランス 七年戦争に関する、痛快な映画のお話をひとつ。 ジェラール・フィリップの代表作、「花咲ける騎士道」。 荒唐無稽なストーリーが楽しい冒険譚だ。 「花咲ける騎士道」 1952年公開/クリスチャン・ジャック監督作品 フランスの民謡「ファンファン・チューリップ」をモチーフに監督が映画化したらしいが、18世紀のフランス舞台に、剣戟やロマンスを盛り込んで、すっかり楽しい冒険活劇になっている。 何より魅力は、ジェラール・フィリップ。「パルム

        • LanLanRu映画紀行|杉原千畝 スギハラチウネ

          舞台:1934-1972年 /  日本・リトアニア・ドイツ 第二次世界大戦中、ナチスによる迫害から逃れるユダヤ人のために「命のビザ」を発行して、6,000人あまりのユダヤ人を救い、「日本のシンドラー」と称された外交官、杉原千畝。その彼の半生を描いた映画がある。 「杉原千畝 スギハラチウネ」 2015年公開/チェリン・グラック監督作品 意外に知らなかった 外交官としての杉原千畝 白状してしまうと、杉原千畝という人のことは、あまりよく知らなかった。地元が岐阜の八百津とい

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        記事

          LanLanRu文学紀行|水晶の栓

          モーリス・ルブラン著 舞台:20世紀初頭 / フランス 『水晶の栓』。1912年発表、アルセーヌ・ルパンシリーズの第7冊目。 『813』も『奇巌城』も面白いが、『水晶の栓』も面白い。 なにしろ、いつも、あの手この手で人を出し抜いてからかっているルパンが、今回はやられっぱなしなのだ。タイムリミットもあることなので、最後までハラハラする。 逮捕されてしまった子分のジルベールを救うため、事件の発端となった謎のお宝「水晶の栓」をめぐり、悪の代議士ドーブレック、謎の美女、警察との四

          LanLanRu文学紀行|水晶の栓

          LanLanRu映画紀行|ジャネット

          舞台:1425年、/フランス 話には聞いていたが、奇妙な映画だ。 こんなジャンヌ・ダルクを見る日が来るとは思わなかった。 「ジャネット」/「ジャンヌ」。 フランスの鬼才、ブリュノ・デュモンのジャンヌ・ダルク2部作である。 ジャンヌ・ダルクの幼年時代を奇想天外な歴史音楽劇として描く 「ジャネット」 2021年公開/ブリュノ・デュモン監督作品 百年戦争で活躍したフランスの英雄、ジャンヌ・ダルクはこれまで数々の名匠が映画化してきた。その中でも、「ジャネット」はとびきり異色だ。

          LanLanRu映画紀行|ジャネット

          LanLanRu文学紀行|奇巌城

          モーリス・ルブラン著 『奇巌城』。1909年発表、アルセーヌ・ルパンシリーズの第4作目。 神出鬼没、変身自在、大胆不敵な大泥棒。いくつもの顔で人々を惑わし、ある時は探偵として、またある時はフランスを愛する愛国者として、数々の冒険に身を投じていく、アルセーヌ・ルパン。 そんな怪盗紳士の活躍を描いたルパンシリーズは、子供の頃から図書館の児童小説の棚に並んでいて、少年少女向けのスリルとサスペンス満点の冒険ミステリー小説として紹介されていた。 けれどもルパンが児童小説?とんでもない

          LanLanRu文学紀行|奇巌城

          LanLanRu歌紀行|小牧小学校 校歌

          舞台:1584年 /  日本 懐かしい歌がある。 6年間通っていた、小学校の校歌だ。 おわりーへいやをかんかして たいぜんとーたつこまきやま むーかしとよとみとくがわが りゅうこのせいをはりしちぞ。 あるときは晴れ渡った運動場で、またある時はひやりとした体育館で、集会などのあるたびに、私たちはこの校歌を大声で歌っていた。 結構楽しく声を張り上げていたのだが、白状してしまうと、歌詞の意味などはまるでわかっていなかった。 すぐそこにある「こまきやま」はわかる。けれども「たい

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          LanLanRu映画紀行|The Sound of Music

          舞台:1930年代 /  オーストリア 「オクラホマ!」「回転木馬」「王様と私」など、数々の名作ミュージカルを生み出してきたロジャース&ハマースタイン。彼らによって書かれた最後の作品が「サウンド・オブ・ミュージック」だ。 第二次世界大戦直前、ナチス占領下のオーストリアからアメリカへ亡命したトラップー家の物語。1965年にジュリー・アンドリュースとクリストファー・プラマーでミュージカル映画化されると、アカデミー賞の5部門を受賞して、世界的な大ヒットになった。 この映画、本当

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          LanLanRu文学紀行|終戦日記一九四五

          エーリヒ・ケストナー著 舞台:1945年 / ドイツ 『飛ぶ教室』や『エーミールと探偵たち』で知られるケストナーの終戦日記。1945年の2月-7月にかけて、ケストナー本人が見聞きしたことのメモをまとめたもの。 たった半年の記録だが、ドイツ国民にとっては激動の数か月だった。この間にナチスの第三帝国は崩壊。無条件降伏をしたので、ドイツは四つの地域に分割されて、連合軍の管理下に置かれるようになった。 ケストナーの終戦日記は、第三帝国末期から終戦直後にかけての時代の狂気を皮肉たっ

          LanLanRu文学紀行|終戦日記一九四五

          LanLanRu文学紀行|黒い兄弟

          リザ・テツナー著 舞台:1830年頃 / スイス・イタリア 『アルプスの少女ハイジ』を読んだら、同じくスイスを舞台にした、こちらのお話も読みたくなってしまった。『黒い兄弟』。日本では、世界名作劇場のアニメ『ロミオの青い空』の方が通りがいいかもしれない。 煙突掃除夫としてミラノへ売られたジョルジョが、同じ煙突掃除夫の仲間たちと秘密結社「黒い兄弟」を結成して、助け合いながら困難な中を生き抜いていく。実際に行われていた、児童売買と児童労働をテーマにしたお話。 煙突掃除夫という

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          LanLanRu文学紀行|アルプスの少女ハイジ

          ヨハンナ・シュピーリ著 舞台:19世紀後半/スイス・ドイツ 子供心にずいぶんと憧れた。アルプスの山をのびのびと駆け回るハイジの生活。新鮮なヤギのミルクや、暖炉の火にとろりと溶けるチーズフォンデュ。ふかふかの干し草のベットや、山の上のお花畑。 スイスといえばハイジの国で、そこに描かれる暮らしは、素朴ながらも心満ち足りたものに思えて魅力的だった。それは今でも変わらない。けれども大きくなると、スイスの山村の貧しさも、この物語の中に見えてきてしまった。 ハイジはどうしてアルプス

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          LanLanRu歌紀行|ラ・マルセイエーズ

          舞台:1792年 /  フランス パリ2024オリンピックが近づいてきたので、フランスの国歌を聴く機会が増えてきた。高揚感のある曲なので、気分がいい時など、つい鼻歌で歌ってしまったりする。しかしこの「ラ・マルセイエーズ」、よくよく歌詞を見てみると、「喉を切る」や、「血染めの旗」などと、ずいぶん血なまぐさい曲だった。それもそのはず。元はフランス革命の時に生まれた革命歌である。 ラ・マルセイエーズー歌の誕生 ブルボン朝の絶対王政を打倒したフランス革命だったが、これは周囲の君

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          LanLanRu映画紀行|時の面影

          舞台:1939年 /  イギリス 「発掘」にはロマンがある。 それは過去を掘り起こして、ルーツを探る行為だ。地中に埋もれている人の痕跡は、驚くほど多くの情報を今に伝えてくれる。たとえば「モノ」の素材からは交易の範囲の広さを。制作方法からは、それが作られた時代や技術力のレベルを。見つかった場所から、どのような目的で使われていたか推測することもできる。 そうした「モノ」を一つ一つ掘り出して記録していくのは、実のところ根気のいる、地味な仕事だ。だが、そうした作業が、時には歴史的な

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          LanLanRu文学紀行|黒いダイヤモンド

          ジュール・ヴェルヌ著 舞台:19世紀 / イギリス(スコットランド) 「黒いダイヤモンド」とは石炭のことを言うらしい。『‎八十日間世界一周』や『海底二万里』のジュール・ヴェルヌが描いた地下世界での冒険小説。イギリス、スコットランドの炭坑地帯が舞台である。 10年前に閉鎖されたスコットランドのアバーフォイル炭坑で、かつて監督をしていた技師ジェイムズ・スターのもとに、かつて坑夫頭を務めていたサイモン・フォードから炭坑まで来て欲しいという謎めいた1通の手紙が届く。ところがその後

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          LanLanRu映画紀行|美女ありき

          舞台:1786-1815年/イギリス 大学の受験日前日、今更じたばたしたって仕方ないやと、ホテルのテレビをつけたらやっていたのが「美女ありき」だった。トラファルガーの海戦で活躍したイギリス海軍提督、ホレーショ・ネルソンとハミルトン夫人の不倫の恋を描いたモノクロ映画。見るともなく見ていたら、次の日の試験でトラファルガーの海戦についての問題が出た。無事大学にも合格できたので、幸運の思い出の映画だ。 ハミルトン夫人の不倫の恋を描いた「美女ありき」 1941年公開/アレクサンダ

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