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ゴーヤちゃんぷるー

初めての沖縄で惚れてしまった。

飲み屋でとなりあわせた近所に住んでいるというヒゲじいさんが、見たことのない炒め物を食べている。鮮やかな緑、黄、赤が混ざり合って、なんとも旨そうに湯気をたてているのだ。


ゴーヤちゃんぷるーとの邂逅である。


ヒゲじいさんに料理の名前を教えてもらい、さっそく僕も注文。
島らっきょうの塩水漬けと唐芙蓉も肴に、泡盛の古酒で一杯ひっかける。
いや~うまいのうまくないのって、ヒゲじいさんと肩を抱き合う仲となった三十路旅であった。コレは自宅でも味わいたいと、さっそく店のおやじに本場沖縄秘伝の調理法を伝授してもらい、沖縄から帰るなり自宅で家族へふるまったものだ。
ちゃんぷるーとは、ごちゃまぜという意味だと教わった。ゴーヤの苦みが肉汁と混ざり、そのうまみを卵と豆腐が吸って、、、嗚呼よだれがでてくる。


日本は差別が激しい国だ、と聞くと驚くだろうか。
書店にいけば、中国、韓国へのヘイト本が平然と店頭を飾っている。それ自体恥ずかしい事だが、読むと「有色人種の中では日本人が優位なのだ」というセコイ意識がみてとれる。世界の評価は「穏やかな独裁国家」で「人種差別、男女差別意識が根強い」国。


そういえば、日本人が単一民族だと言ってはばからない政治家が、国政で幅を利かせる情けない状況が日本の現在地だ。日本中を感動させたあのラグビー日本代表の報道にも、「日本人じゃないのに日本の為に頑張ってくれた」風なスタンスで美談とする扱いが多かったように思う。しかし、歴史をひも解けば、日本列島には少なくとも7回にわたって大陸の南北から様々な民族が流入しているという。日本は太古の昔から多民族国家なのだ。
了見の狭いケチなことを言ってないで、いろんな人種、民族、ジェンダーが「ちゃんぷるー」に認め合えば、きっともっといい味の世界が生まれるにちがいない。


先日、娘が夕飯に初めてゴーヤちゃんぷるーを供してくれた。
とてもうまくて、
「沖縄秘伝のオレの技を教えてないのに、すごいな。」
と褒めたところ、娘はあきれた様子で肩をすくめた。
「え?だって、まぜるだけじゃん。」


Z世代の娘にとって、そんなことは当たり前のようだ。

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