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今月読んだ本まとめ/2020.6編

今月もたくさん買いました、たくさん積読となりました、kindleの肥やしとなっております。今月は山ほどマンガを読みました。

さて、ぼくは常に良いエッセイを求めています。良さ気な雰囲気とレビューがついていたらとりあえず買ってしまう程度には。

アマゾンから定期的に送られてくるお勧めのブックリストの中に、北岡伸一という文字列の著者の本を見つけました。

JICA(国際協力機構)の理事長です。トップです。JICA海外協力隊の一員でぼくから見ると大ボスにあたるわけですが、早い話が天上人です。決して会うことはない人です。

へぇー、本だしてるんだと思ったんですね。

ぼくはひねくれた残念な性格をしているので、理事長なんてどうせ官僚の天下りポストで、お飾りで、上がりポストでしょと思ってたんですね。

でも、レビューをさっと読んでるとやたらと良い。評価も良い。偏見で物事を見てはいけないと、どんな人なのかも知りたいと思って「世界地図を読み直す」を読んでみたんですが、めちゃくちゃ良かったです。尊敬します。ごめんなさい。

JICAのトップなので、JICAのトップとしてどう考えて、何をどう取り組んでいるのか、日本の立場はどうなのかなどの一端を垣間見ることができます。

著者が訪れた国の土地の歴史やそこに住む人々がどんな人たちなのかも簡単に紹介されており、単純に紀行エッセイとして読んでもおもしろいですし、協力隊に参加する人は必読書にして良いレベルのものじゃないかと思います。無条件で読んだ方が良いです。日本が取り組んできた国際協力を網羅的に知ることができます。

アルメニアはディアスポラ(民族の離散)で有名である。世界の中のアルメニア人は約1,200万人である。そのうち、国内にいるのは300万人弱で、ユダヤ人とともに世界でたくましく生き抜いていく民族の双璧である。(・・・中略・・・)アルメニアは、紀元301年、世界で最初にキリスト教を国教にした国である。また、アルメニア語というのが、世界にほとんど仲間のない言葉である。この宗教と言語が、アルメニアのアイデンティティの核心である。世界の中のアルメニア人は、何世紀にもわたって、アルメニアの宗教と言語を保持し、再生産し続けている。海外の日本人移民は、3世くらいになると、もう日本語は十分ではないことが多い。
新潟県にある国際大学は、学生の8割は外国人で、その多くは途上国からの若者で、若手官僚が多い。彼らは帰国して数年で局長、うまくすれば10年で大臣になる。そんな彼らが日本で英語で日本の発展を学ぶ。途上国にとって日本は発展のベスト・モデルであるから

そして、

マラウイは、青年海外協力隊がもっとも多くの犠牲を出した国でもある。12名が亡くなっている。(・・・中略・・・)12名の方はみな若く、最年長で30歳だった。

という文章を読んで泣きました。


もう1つ、世界を巡るエッセイ系で作家の黒木亮の「世界をこの目」も良かったです。というかこれもめちゃくちゃ良かったです。

ぼくはそもそもこの著者を知らなかったのですが、学歴は早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。職歴は銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、貿易金融、航空機ファイナンスなどを手がけ、作家。ロンドン在住。

若い頃にこの本を読んでいたら、もっと充実した人生を楽しめたかもしれない。総合商社、国際金融、メディア志望の学生はもちろん、現役のビジネスマンにおすすめします。

と、成毛眞さんもおススメコメントを出しており、というかぼくは元マイクロソフト日本法人社長で読書家の成毛さんが薦めているものは間違いないとぼくは思っています。

で、間違いなかったですし、ほんとにもっと若い頃、少なくともあと5年くらい早く読みたかった…と思えるほど面白かったです。

内容は、金融マンや商社マン時代の回想や小説の題材の取材の旅行先でのエッセイです。とりあえず、読んでくれよ、言いたいところだけど、それじゃあいくらなんでもアレなので....。

長年、ぼくの中でアイデンティティの所在が大きなテーマになってるんですね、なので小説とかも、ジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」だったりケンリュウの「紙の動物園」で描かれる、異文化の中で奮闘する個人とか小集団の悲哀をのぞき込むのが好きなんですね。

それで、本書の中で著者がサウジアラビアに出張した回があって、そこで、サウジの石油会社サウジアラムコに言及してるんですが、その会社、アメリカ人が立ち上げてて、今もアメリカ人が中枢にいるらしいんですね。アメリカからサウジに移り住んだ人々、いわゆる米僑という人々。著者はその章の最後にアメリカが大国たる所以のひとつだみたいなことを思い知らされたそうなんですね。

で、さっき紹介した北岡理事長の本のアルメニアに言及したところだったり、中国ではアメリカで学んだり働いたりした人が帰ってきて自国でビジネス等で活躍する人がウミガメと呼ばれているという話だったりで、ふーむと思うわけです。

日本は、日本人は、日系人は、ぼくはどうなんだろうと思うわけです。

先月紹介したスパイ小説シンパサイザーでは「どうして私たちは先祖の文化を忘れちゃいけないわけ? 私はここで生まれたんだから、私の文化はここにあるんじゃないの? 」なんて言っててたしかにそうなんだよな、と思ったり。

ぼくにとって、本書は、黒木亮さんはひとつの憧れとかロールモデルになりそうというのと、アイデンティティもそうだけれど、自分の人生の中での大義というか成し得たいことはなんだ?と本格的に考えるきっかけになりそうです。わからない、ただたまたま年齢的に、そういう時期に差し掛かっているだけなのかもしれないですが。良書です。

ちょっと真面目な話をしてしまったし、長くなってしまったので最後にまたマンガで締めたいと思います。

ハコヅメ~交番女子の逆襲~

これ、私的今年1番のマンガかもしれないです。

簡単にいうとギャグマンガなんですけど、ときどきアツいパートがあって泣けます。著者は実際に県警に10年ほど勤務していた人なので内部事情とか犯罪マメ知識も知れて大変勉強にもなります。真面目とおふざけのバランスが絶妙です。めちゃくちゃ良いです。泣きました。オッサンは哀しいけどたまにカッコよいです。最新の13巻まで一気読みしました。(イメージは暴走しない銀魂。)

ぼくもこういう絶妙な表現がしたいなあと心から思いました。

なんか、警察官は仲間意識というか結束が強い的な表現が良くされているんですが、これ協力隊にも当てはまるよなぁとちょっと思いました。

訓練はただの語学合宿なのでぜんぜんアレなんですが、半年でも1年でも2年でも派遣国にいた、たった1人で活動したという共通する体験は、背後にいろいろ苦労が想像できてしまうから、共感しやすいのかもしれないです。

いや、どうだろう、そういう強い結びつきにただ憧れているだけかもしれないです。




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