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ブローカーと連絡が取れない…どうなるアルマジロハント!?

午後6時過ぎ、仮眠明けにスマホを見ると「ダメだ、中止かもしれない。どういうわけかブローカーと連絡が取れない」とメッセージが入っていた。

なんでこうもうまく物事が進まないんだ、仕事じゃないんだぞと苛立ちを隠せないでいた。

セントビンセントに派遣されてからずっと狙っていた、アルマジロを食すということを2週間前に達成以来、次の狙いはアルマジロのハンティング。可能であれば生け捕り。ぼくはその機会を逃すつもりはなかった。

― 良いよ、俺が連れていってやるよ。

アルマジロの肉を分けてもらったペギー(台湾人ボランティア)の同僚があっさり答えたの2週間前、肉を分けてもらった数日後だった。

その週の週末、さっそくハントに向かうことに。

アルマジロは夜行性で、日中は穴の中に入って寝ているらしく集合時間は夜の8時。

当日になって詳報が届き、通常ハンティングは夜通し行われること、ペギーの同僚はハンターではないこと、しかしハンターの知り合いがいるから仲介ができるから村まで連れていってくれることなど、ハンティングの概要がわかった。

冗長にアルマジロについて語っていたペギーの同僚A氏はハンターではなかったのか。単なるブローカーだったとは。

とにかく、準備は万端。アルマジロはアリクイのようにシロアリなどを食べるらしいから噛みはしないんじゃないかと思ったけれど、もしものときのために軍手を、そしてジャングルの中、ブッシュを分け入って進むのだろうから長そでと長ズボンで。頭には登山用のライトを装備。完璧。

そしてまずはハンターの里に車を走らせた。

ハンターの里らしきところに到着後、車から降りたA氏はバースタンドにたむろする男どものもとへ駆け寄りなにやら話始めた。

事前に話を通してくれていたはずなんだが…と思いつつ様子を見ていると、車で待機しているぼくらの元へ戻ってきて「彼らは今夜は山へ行かないらしい。次の人を当たろう」と車をバーから3軒ほどとなりの民家の前に停めて民家の中に入っていった。

(夜通しハンティングをするっていうのは、ひょっとしてハンター探しから始まるからオールナイトなのか?この時間もハンティングなのか?もうハンティングが始まっているのか?家に帰るまでが遠足です的な話なのか?)

という疑問を感じつつ、何軒か周りすべて空振り。

― ダメだ、今日はみんな疲れて山へは行かないらしい。さっき仕事が終わって帰ってきたばかりなんだそうだ。

陽気なA氏はそう言い、「来週は絶対大丈夫、約束だ!」とその日は帰ることになった。消化不良。山へも入れないなんて想像もしてなかった。

ここでA氏がどんな人物か簡単に説明しておこう。A氏は政府付きのドライバーで台湾大使館付きのドライバーでもある。いわば、信頼できるタイプの人間だ。

そして翌週、つまりは今日。

話はこのバースのあたまに戻る

さあ、SunsetからSunrise Ah Ah Ah このまま感じな Sound 感じ合う Surround 夜が明けるまで

なんてメロウなメロディーに揺れているときに、何度電話してもでない、連絡がつかない、どうする?という連絡が入った。

実は2日前にブローカーA氏とは会っていて、今週末は楽しみだな、100% Sure 大丈夫だ、任せろ、という話をしていた。

その言葉を信じたい。きっとケータイなしで外出したんだろうと、先週落ちあった場所にとりあえず向かうことにした。

やはり、というべきか合流ポイントにA氏はいない。その合流ポイント近辺はA氏の居住区でもあり、なんとかして連絡が取れないかと近くで飲んでいる人たちにA氏を知らないか、なんとかして連絡を取りたいんだけど…という話をしてみることにした。

政府でドライバーをやってるAってやつで…という説明をすると、「あぁ、知ってるよ。○○に住んでるよ」と反応が良い。A氏とよくつるんでいる人はいないか、いればその人に連絡してA氏がどこにいるのか確認してほしいとお願いをする。

たむろしていた人たちは直接は知らないらしいけれど、A氏を知ってそうな人たちに次々に連絡してくれ、アジア人が探してるんだと伝えてくれた。

知り合いの友達の知り合いの…とつなげていくと、わずか5分後、なんとA氏につながった。電話にもでた。6次の隔たりというやつだ。

どうやら今起きたらしい。昨日遅くまで仕事だったんだ blah blah blahと言っていたが要するに完全に酔っていた。使い物にならない。

じゃあ、このバーにたむろしてる人たちの中にハンターの友だちのもいるんじゃないかと思ったんだけど、ハンターたちはケータイを持たないらしい。なんだそれ。

かといってブローカーなしてハンターの里に行くのもリスクが高い。そもそも里までの道も覚えていない。

諦めるしかない。またしても。

ここまで来て、2週連続で、山に入ることすら叶わなかった。ハンティングへの道は険しい。

初回はハンターを探すことから始まったのに、まさか2回目はブローカーを探すところから始まるとは思わなかった。

なぜハンティングから遠ざかるんだ。自然の摂理に反してる。

― これがセントビンセント。彼らの ” 日常 ” なのよ。100%の解釈だって違うんだから

バーでビールを飲んで落ち込んでいるとき、想像以上に落ち込んでいるぼくを見てペギーは笑ったけれど、1回目のスカしは許せるけど、仕事じゃないプライベートの2回目のスカしはへこむ。

ちなみに、

これが、アルマジロの甲羅というか背の部分。これでオトナの雄のサイズらしい。もっと大きいんだと思っていたけれど、子猫くらいの大きさ。このサイズの動物を夜に探すのはなかなか難儀なことかもしれない。

俄然、興味がでてくる。

いったい、いつになったら山に入れるんだ。

最近べつの人に聞いた話だと、今はシーズンじゃないんだそうだが…。

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