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キャンパスライフと食事と先週の続き/イギリス留学week9

先週末、イギリス留学中にここだけは行っておきたいと思っていた、イーストサセックスのセブンシスターズに行ってきた。ハリーポッターの映画のロケ地だったり、いろんなドラマにも登場する白い崖。ブライトンというかサセックス大学からは近い。

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大学院留学は時間がないと言えばないのだけど(特にぼくのような英語力いまいちでリーディングに時間がかかる人間にとっては)、自室や図書館にこもってばかりなのもしんどくなるので、ちょくちょく街にでたり、時間をみつけては気の合う友人連中と外食したり、出かけたりしている。

というわけで、今週はキャンパスライフやイギリスの外食事情の一端をお見せできればと思う。

そして最後に先週の続き、ぼくがイギリス社会について感じた仮説をつらつら書いてみたい。

キャンパスライフ

他の大学の事情は知らないけれど、サセックス大学は多国籍でほんとに留学生が多いし、ぼくの所属のIDSは生徒もリサーチャーも含めてイギリス人は少なかったりする。

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ぼくの前職のボス的な人がサセックス大学出身なのだけど、彼女がいうには上記の通り「75%の生徒が各大陸出身の留学生でその環境がすごく刺激的だった」と言ってる。

具体的には、メキシコ人コミュニティが死者の日にイベントを開催したり、

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(この人口密度のおかげか、この翌週けっこうな体調不良者をだした。インフルに例のやつに、風邪に…)

インド人コミュニティがディワリというヒンドゥー教のイベントを開催したり、日本人コミュニティが寿司会を開催したりしてる。

多国籍な環境っていろんな人がいるなぁってだけでなくて、こういういろんな文化をエンジョイできるのは良い。

その他、ハイキングクラブみたいなのがあって国立公園を散策したり、スカッシュしたり、サッカーしたり、わりとキャンパスライフを楽しんでいる。

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食事/ 外食

イギリスは食事がひどいというが、それはあながち間違いではない。が、いろんな調味料が手に入るし、肉も野菜も基本は日本より安い気がするので気に入らなければ自分で料理すればいいだけの話。ぼくは別に不味くなければ食べられる(マイナス評価にはならない。おいしければ幸福度が増す)ので特に不満はない。

それに各国のレストランがブライトンには軒を連ねているので食が苦痛ということにはならないと思う。それに、外食は日本よりも安いように思う。基本的にお酒を飲まなければ15~20ポンド(3,000円以内)でお腹いっぱいになる。

・トルコ料理屋

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・韓国料理屋

サンギョプサルもあったけれどプデチゲにした。

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・寿司屋(ラテン日本食)

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(シェフは日本で寿司修行したベネズエラ人で、ブライトンでラテンアメリカの食文化と寿司を融合させた創作寿司を提供している。ブライトンの寿司って、サーモンとマグロだけなんだけど、そのアボカド鉄火巻きにプランテンが載ってたりする。これがなかなか良いマリアージュ。)

朝ごはんクラブなんてのもある。イングリッシュブレックファストはもちろん、いろんな朝ごはんメニューを提供してる。ぼくが頼んだはフレンチトーストだったのだけど、思ったより甘ったるかった。

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そのほか、イギリスはお茶の文化だと言われていたけれど、コーヒーも飲む。というかカフェも多い。

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みんなイギリスの食事をバカにしがちだけれど、そこまでひどいものではないと思う。インド料理屋も、メキシコ料理屋もイタリアンもフレンチもギリシャ料理屋もだいたい思いつくものは食べられる。日本食屋だって4~5店舗くらいある。ブライトンだけで。

スタバだってあるし、ハンバーガー屋もだいたいある。先進国だから日本と変わらない生活ができると思う。基本は。


・イギリスは階級社会だから?

先週、「イギリスの人はできていない人に対して優しいな」と書いた。

スーパーの宅配サービスをよく使っていたんだけれど、2回に1回は誤配。頼んでないものが入っていたり頼んでいたものが入っていなかったりする。ぼくは日本基準のサービスに慣れているし、イギリスは先進国だから同等のサービスレベルを求めるからデフォルトの期待値は高いので「こいつらはリストにあるものをカゴに入れることすらできないのか」とイライラしていたんだけれど、イギリス人やイギリス生活の長い友人らは「あー、ほら、いまドライバー不足だからさ、大変なんだよ」って諭す。

まず最初に、disclaimerを入れておきたい。以下に書く内容は思考実験的要素を多分に含んでおり、さまざまな可能性を探ることで、全体像が浮かび上がればいいなと思っているし、ぼくの社会分析の練習であり、それ以上の意図も偏見も差別意識もないことを明記しておく。

イギリス社会は階級社会で、地主などの上流階級(支配層)・金融や高度専門職の中流階級と、コールセンターやレジ打ちのいわゆる低賃金サービス業の労働者階級に分かれていると言われており、年々所得格差や社会・文化的断絶が大きくなっているとも言われている。

何が言いたいかというと、イギリス人やイギリス生活の長い友人らが言う「あー、ほら、いまドライバー不足だからさ、大変なんだよ」というのは、そういう労働者階級に対して向けた言葉であって、そんな改善能力を期待してないんじゃないか、大卒あるいは大学院に進学してる人なんて確実に中流以上の人たちだから、労働者階級の人たちに対する諦めと”見下し”というと強すぎる気がするがそんなニュアンスを孕んでいる気がした。期待してないから怒りを感じないんじゃないかと。

で、日本人であるぼくが「なんでこんなこともできねぇんだ、先進国だろ」ってブチ切れたのは、日本だと、公平性が尊ばれるので、高卒だろうが大卒だろうが少なくとも表面上は身分差別はない。平等に扱ってる。「あいつは高卒だから仕方ない」みたいな考え方って少なくともぼくは出会ったことない(就活でエントリーで弾かれたりはするが)。これは戦後の焼け野原からみんなゼロからのスタートを切ったという認識から高度経済成長で「一億総中流社会」なんて概念を生んだ結果だと思っているんだけれど、つまりは、専門的なことではない限り、「誰だってこれくらいはできるでしょ」の基準が高いんじゃないかと思った。

これはどっちが良い悪いではないと思う。前者は分断を招くし、後者は「時給900円の人間にそんなサービス求めんなよ」となりやすい。

この差が、ロックダウンで外出制限の強制力を法的に付与できたか、自粛のお願いに終始した差ではないかと思う。

イギリスの場合、支配層が労働者階級に期待をしていないので、自粛のお願いだけで聞き分けができると思っていないから法で強制力を付与してコントロールしようとしたんじゃないかと思う。失敗の要因は、結構な人数を占める大卒の中流階級の人間が自分までその対象だと思ってなかった、あるいは自分はきちんとしているから外出しても(特に気をつけたり対策しなくても)大丈夫と判断してしまったことじゃないかと思う。

日本の場合は、良くも悪くも「みんなこれやばいのわかるよね?」という曖昧な政府からのメッセージで理解できてしまった、基本的に金持ちだろうが政治家だろうが平等という思想がどこかにあるから、誰がどの権限で人の行動の自由を制限するんだ!という言説に政府が勝てなかった(リスク取れなかったor 政府の力が弱い)ところに差がでてたのかなと思う。

たまに、欧米の組織はマネージャー層が優秀で現場がいまいちだけど、日本はマネージャー層がいまいちだけど現場が優秀みたいな話を聞くけれど、似たような話かなと感じた。

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ちなみに、イギリスの労働者階級でちょっとしんどいなと思われているのが、チャヴ(chav)と呼ばれる層。スポーツウェアを着た反社会的な若者の蔑称なんだけど、彼らは大学に行く財力がなくレジ打ちとコールセンターの仕事の掛け持ちしても平均年収を大きく下回っている。

背景にはサッチャー政権以降の金融シフトで国内製造業が勢いをなくし、トニーブレア政権での労働組合の権限の縮小、廃止により労働者階級の貧困がさらに進んだと言われている。製造業の雇用が減って労働者階級の受け皿は減り続け、懐事情も厳しいから高度教育も受けられないという負の連鎖に陥っているというわけ。

その層の不満が爆発したのが、2011年のイギリス暴動であり、ブレグジットへと繋がっていったと言われている。

この本の帯にも書いてある通り、早晩日本にもやってくる流れだと思っていて、この課題をどう解決できるか、和らげることができるのかっていうのをイギリス滞在中にいろいろ見て思いを巡らせたいなと思っている。

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