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経常収支の前年差、貿易収支のみがプラス寄与~2023年6月の国際収支統計

 本日(8/8)、6月の国際収支統計が発表されてました。日経は上期(1~6月)の動向をまとめていますが、私のnoteでは引き続き、毎月の動きに注目していきます。
 6月の経常黒字は季節調整値でみると2.3兆円。直近のピークである2021年5月(2.4兆円)まであともう一息のところまで拡大してきました。第一次所得収支の黒字に加えて、貿易収支の赤字が160億円まで縮小したことが寄与しています(原数値でみると貿易収支は3287億円の黒字)。
 一方、原数値の前年同月差をみると1.0兆円のプラス。5月の1.1兆円から少し減りましたが、プラス寄与が貿易収支のみであったことが注目されます。


第1次所得収支の前年差がマイナスに

 6月の第1次所得収支の前年同月差は0.2兆円のマイナス。マイナスは2023年3月以来ですが、その前は2021年3月(マイナス0.1兆円)以来と結構珍しいです。
 内訳を確認すると、直接投資収益の前年同月差が3799億円のマイナス。配当金・配当済み支店収益のマイナスが主因です(再投資収益は実績が反映されるまで時間がかかり、2021年4月以降は同額が計上されています)。海外経済の減速の影響が出ているのでしょうか?

サービス収支は旅行収支の黒字を「その他サービス」が打ち消す

 6月のサービス収支の前年同月差は0.1兆円のマイナス。マイナス幅は5月と横ばいです。旅行サービス収支の前年同月差が0.3兆円と前月から拡大しているものの、その他サービス収支の赤字に打ち消されている形です。

貿易収支の黒字は弱い輸入のため

 6月の貿易収支の前年同月差は1.4兆円のプラス。輸出が前年同月に比べて429億円しか増えていないのに、輸入が1兆3905億円減少したためです。下記のnoteに書かせていただいているように、日本の輸入が弱いことが背景にあるため、手放しで喜べる状況ではありませんね。

#日経COMEMO #NIKKEI


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