築42年、おっちゃん物件
「人馴れしてる」家が好き。来客が多い家という意味では無くて、
お風呂上がりにタオル一枚巻いて炭酸飲みたくなるような、
初めて来てもくつろげそうな、
カッコつけなくて良い、
懐の深い家。
そういう家は写真越しに見ても、暮らしている人が浮かんでくる。
例えばこの物件。
卒業しても付かず離れず一緒にいる3人女子の、期間限定の共同生活。その日々を包んでくれそうな家だと思った。
これは「物件ファン」という不動産を“たしなむ”サイトの記事で、私はライターをさせてもらっている。
他にも、おばあちゃんと孫が働く家、フリーターのひょろ〜っとした20代男子がラーメン食べに行く家、元ギャルのお姉ちゃんと暮らす家...
「人馴れ」してる家を見ると、住人が浮かんでくる。
私が祖母から継いで大家をしている物件「トダビューハイツ」は、築42年。下町に朴訥と構える様子はまるで「自分、不器用ですから...」と言い出しそうな雰囲気。
だから「おっちゃん物件」と呼んでいる。
幼い頃から見続けたトダビューハイツは私にとって身近すぎて、もはや“物件そのもの”が人に見える。
先日、知人に「僕もおじさんに見えてきて、思わずトダビューハイツ“さん”と、人のように呼んでしまう」と言われて、とても嬉しかった。
デザインの仕事をしていると「作品に込めた愛情は人に伝わる」と感じることがある。全面に押し出さなくても、細部に仕込んだこだわりや、使用者目線になって考え込んだ部分は伝わる。
物件も同じで、オーナー、建てた人、住んだ人、見た人たちの愛情は伝わり、それが物件に人肌を吹き込んでいるんじゃないかな、と思う。
中古、新築、タワマン、戸建...スペック関係なく、想いがこめられた幸せな物件が増えることは、豊かな暮らしのベースになるんじゃないかなあと、ぼんやり考えた。
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トダビューハイツ http://todaviewheights.com/
町に長く住みたくなる新築マンション「想像建築」https://souzou-kenchiku.com/
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