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28歳、地元に「町に長く住みたくなる」賃貸を建てます

こんにちは、デザイナー大家の戸田江美です。

実は去年から、生まれ育った下町の荒川区に、新しい賃貸マンションを建てる計画をしています。(2022年完成予定)


コンセプトは、
「町に長く住みたくなる」
賃貸マンション。

ただ業者さんに任せるんじゃなくて、
信頼できる地域の人と、
自分の手でじっくり建てる


サイトはこちら👆


最近どんどん計画が具体的になり、同時にお金の面も具体的になり...ドッキドキしてます...なんせこんな大金を個人で動かすのは初めて...!

というわけで今日は工程や物件のコンセプト、現状をまとめてみました。


経緯

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物件を建てる場所は、東京都荒川区町屋の路地裏。
15坪ほどの小さな土地。祖母が借地としてお貸ししていましたが、住人さんが退去し、更地になって手元に戻ってきました。これが2018年のこと。



何故やるのか①私だから伝え作れる町の良さがある

この土地をどうするか。知り合いの不動産屋さんたちは
・売る
・ハウスメーカー、不動産屋などに依頼して貸す
の二択を提案してくれました。

仲介業である不動産屋さんだからこそのご助言ですし、納得しながらも、いまいちピンと来ませんでした。


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私は、24歳の時に祖母から賃貸マンション「トダビューハイツ」の大家を継ぎました。隣人、大家、ご近所さんたち同士の「顔の見える暮らし」を作ろうと活動しています。

詳しくは↓

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トダビューハイツには、直接運営してるからこその関係性があります。祖父母の代から長年育んできたからこそのものです。

築年数の経ったトダビューハイツは、古いからこそスペックとしては厳しい点もあります。
しかし「レトロで可愛い」「大家の顔が見える環境が良い」「のんびりした町が良い」と言ってくれる住人さんたち。中には建った当初から40年以上住んでくださってる方もいて、通年ほぼ満室です。
本当にありがたい限りです。

・手間をかけて直接運営することで得られる価値
・物件スペックとしては厳しくても環境を好いてくれる人はいる

この2点を大家業をしている中で学んだからこそ、空き地を人にお任せするのはあまりピンと来ませんでした。



何故やるのか②荒川区の風景を繋ぎたい

このような個人的経験に加え、荒川区の風景が変わってきていたことも気になっていました。

IMG_0825-980x1220のコピー

私が生まれ育った荒川区には、ならではの風景がたくさんあります。のんびり走る路面電車、くねくねした路地、昭和築の民家、軒先に並べられた植木鉢、個性ある商店街。この風景に惹かれて住んでいるという人を、私は何人も知っています。

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しかし、駐車場や画一的なマンション、チェーン店が増えて、この町ならではの風景が消えているのも事実。

それぞれの事情もメリットも分かりますが、「私がおばあちゃんになった時、私が好きな荒川区の個性は消えていないか?」と不安になりました。

実際、荒川区は「25~34歳の若者の転出入が多く、定住しない」とデータが出ています。無個性な町に愛着を持つ人は少なく、長い目で見るとエリアの価値も下がってしまいます。

このような町の事情を見ているうちに「荒川区の良さを次世代に繋げる新築」を自分で作ってみたくなりました。



いきなり建てない実験

じゃあ自分で物件を建てよう。
そう決めたは良いけど、どんな物件が良いかはパッと思い浮かびません。

そこで土地を1年間イベント広場として暫定利用することにしました。

・区外の人に荒川区の良さを知ってもらう
・未来の住人さんを見つける
・近隣の皆さんと関係性を作る

この3点を一年かけてやってみて、その間に物件のコンセプトを決めようという実験です。

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想像を膨らませて建てるから、「想像建築」とプロジェクト名を決めました。

この決意を固めたのが2019年春のこと。
固めるまでに「屋台やってみようかな」と保健所に相談に行ってNGを出されたり😂裏で色々動いてました。そのことはこちらにまとめています↓



まずは空き地をイベントしやすいように整備し、同時に近隣の方へのご挨拶にも伺いました。緊張した...。

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空き地活用したい、と声をかけたところ、荒川区で活動されている方々とトダビューハイツの住人さんが貴重な時間を割いてお手伝いしてくださることになりました!この人工芝張りも一緒にやっています。


そしてマルシェ、トークイベント、街歩きなどなどを開催しました。

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区内外からたくさんの方が参加してくださり、毎イベントごとに感動しました。リアルに泣いてました。
苦労もありましたが、それ以上に荒川区と建てる物件への考えが深まりました。



コンセプトは「町に長く住みたくなる」

イベントを重ね、参加者さんの声を聞いているうちに、「町を気に入って住んでくれる人」を荒川区に増やしたいという思いが強まりました。

町の魅力を作るのは人。町を好きな人が増えたら、私がおばあちゃんになった時も、荒川区はきっと個性的な町でいられるはず。そう思ったからです。

そうして考えた物件のコンセプトは「この町に長く住みたくなる」

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"町"というのがポイントです。
つまり住人さんには物件だけでなくこの町(荒川区)に愛着を持ってもらいたい。

賃貸物件ですし、家族が増えるなど住人さんがどうしても引っ越しせざるえない状況が発生しますが、そんなときでもこの町内での引っ越しを選んでしまう。そんな気持ちになれる物件を目指したいと思いました。


このコンセプトを実現すべく、3つのキーワードを用意しました。

1.交流の場
2.ホッとする空間
3.愛着のわく部屋

完成図_屋上

《1.交流の場》
初めて町に引っ越してきた人が町に愛着を持てる状況というのは、人とのつながりができた時だと思います。
ただし、いきなり地元の人と交流を図ることはとても難しい。

なので地元の人との接点となる要素を多く用意することで、交流の機会を創出したいと考えました。

例えば「屋上のシェア畑」。そして「町に開かれたお店」。
屋上の半クローズ空間、お店というオープン空間。ひとり畑仕事に没頭しても良いし、お店の軒先で井戸端会議しても良い。そんな人との関わりしろを用意したいと思いました。

(屋上、テナント機能については計画中のため変更する可能性もあります)


《2.ホッとする空間》
荒川区にある昭和築の民家が並ぶ様子はホッとします。それは多分、日本らしい良いデザインが取り入れられているから。
木のあたたかみ、昭和型板ガラス、障子、組格子、植物など「落ち着ける」をテーマに<帰り道にこの物件が見えてきたらホッとする>ような建物にしたいと考えました。


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《3.愛着のわく部屋》
前述した私が大家をしているトダビューハイツは、DIY可能物件です。
「住人さんが愛着のわく空間=自分で選んだ好みの空間」と考え、住人さんと一緒に部屋のDIYをしています。写真は、トダビューハイツでDIYをしているところ。
この経験を新しい物件でも活かし、カスタマイズ可能物件にしようと思いました。



伴走してくれる建築家さん

この想いを一緒に叶えてくれる建築家さんを探したのが、2019年末〜2020年はじめの頃。色々な方にお問い合わせさせていただき、か〜なり悩みました。

最終的に契約をしたのは、同じ荒川区に住む一級建築士事務所KAKINOKIさん。

手がけられてきた建築が心温まるやわらかい空間であること、優しく誠実で頼れるお人柄であること、何より地域への愛情を持たれていて共に理想の場を作れそうと思えたことが決め手でした。

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2020年6月現在は、何度かmtgを重ね、物件デザインを構想している段階です。先日は模型を届けてくださって、いよいよ建つのか...!とテンション上がりました。
(※まだ構想段階なので完成図ではありません)



2022年完成予定!物件の詳細

KAKINOKIさんと色々検討中ですが、おそらく賃貸住居部分は単身向けのワンルームになると思います。2〜3部屋の募集になるかと。

ただのワンルームにはならない工夫やデザインを練っていますので、私自身すでに「住みたい...」ってなってます。


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この自粛期間で、住まい選びで重要視される価値観の変化が起こったと思います。リモートワークをしやすい環境や、周辺にテイクアウトを楽しめるお店はあるのかなどなど。その需要も物件に反映していければと考えています。


コロナの影響などもあり予定よりやや後ろ倒しにはなっていますが、2022年完成を目指して計画中です!



入居にご興味のある方はこちらをチェック!

というわけで、去年から始めた個人的ビッグプロジェクトについて、2020年6月現在のまとめでした。

まだ詳しい家賃や間取りが確定していないので難しいとは思いますが、もしご入居にご興味のある方はSNSやサイトをチェックしていただけるととても嬉しいです!

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心折れる瞬間も度々あるけど、ご協力くださる地域のみんな、イベント参加してくださる皆さん、あたたかなお言葉かけてくださる方々のおかげで、ちょっと先の楽しい未来を想像しながら進めることができています。本当にありがとうございます。

長い記事をここまで読んでくださった方、お付き合いありがとうございました!🙇‍♂️

デザイナー大家 戸田江美 🕊 Twitter
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