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足元に宝はある

『宝は、すぐ足元にある』

これは尊敬しているデザイナーのひとり、梅原真さんの言葉。梅原さんは、売上に悩む一次産業のデザインを手がけ、数々のヒット商品を送り出している。
例えば土佐の『藁焼き鰹たたき』。梅原さんは『漁師が釣って漁師が焼いた』とコピーをつけ、パッケージをリデザイン。これが8年で20億を売り上げる人気商品となったそう。

人気番組『ブラタモリ』もこれに通ずるものがあると思う。ただの道も、タモリさんと専門家たちが解説してくれることで、違う風景が浮かび上がってくる。

両者とも、地域の見せ方を変えることで魅力を引き出している。無理に仕立てられたような演出ではなく、自然体の魅力


このような大御所の事例と並べるのは恐縮だけど、私の仕事で『足元の宝』探しが実を結んだことがある。

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他の街に住んだ時、地元のちょっと変わった特徴に気が付いた。地元は、鼻歌を歌っている人が多かった。あと、「今日は餅つきするから店休みます」とか「鈴虫増えすぎちゃったので、欲しい人は籠持ってきてください」とか思わず二度見しちゃう張り紙が多かった。

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私の地元は、東京の下町・荒川区。よく「都内唯一、都電が残る街」と紹介される。一車両の小さな路面電車がコトコト走り、賑やかな商店街や銭湯があり、路地では野良猫がゴロゴロしてる。そういう、ザ・下町な風景を、メディアではよく切り取られる。

そんな地元を離れた時、私が恋しくなったのは、突然聞こえてくる鼻歌や思わず吹き出す看板たちが生きるのんびりとした街の空気だった。

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地元に戻り、家庭の事情もあって家業の“大家”の仕事を祖母から継いだ。仕事上、住人さんにはこの街での暮らしを楽しんでもらいたいし、さらには街に住む人をもっと呼びたい
だから、住人さんや住人候補さんたちと街歩きするようになった。

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すると
「戸田さんが案内してくれたのがキッカケで、荒川区に惹かれて、引っ越してきました」
と言う方が現れた。

住人さんは
「コンシェルジュのように場所や人を紹介してくれたから愛着が湧いて、“仕事して寝に帰るだけの街”ではなくなった」
と言ってくれた。

SNSで
「戸田さんの投稿を見ていたら、荒川区に行ったことがないのに、親しみを持ってしまっています」
とコメントをいただいたこともある。

違う街に引っ越した時に恋しいと思った風景を、一緒に愛で、笑ってくれる人が増えた。

足元に目を向けると、変哲も無い景色が発見の山になる。遠出が憚られる昨今、より一層足元の宝探しに勤しむのも良いなあ、と思っている今日この頃。


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住人さんが書いてくれた嬉しいnote


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