トビタテ_世界へ_noteヘッダー__10_

『トビタテ!世界へ』の一部を無料公開します!【はじめに】

こんにちは。船橋力です。

1月6日(月)に公開した前回の記事で、私の著書トビタテ!世界へ』を全国約15,000校の全ての中学と高校に届けるプロジェクトの詳細と想いを紹介させていただきました(前回の記事はこちら)。

1月22日(水)より朝日新聞系列のA-portにてクラウドファンディングがスタートします。この”ちょっと無茶な”挑戦への応援よろしくお願いいたします!

※2020/01/22 追記※
ついにクラウドファンディングがスタートしました!
以下のページより、ぜひご支援のほどよろしくお願いいたします。

そして、今回から全3回で、『トビタテ!世界へ』の一部を無料公開します。まだ本書を手に取っていただいていない方や、海外在住で本書を購入することができない方などにも後半の「書評」とともにぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

●『トビタテ!世界へ』目次
はじめに

第1章 世界に飛び立ったトビタテ留学生たち
第2章 衝撃的だった世界のリーダーたちの実力
第3章 「トビタテ!留学プロジェクト」の始動
第4章 トビタテ流人材育成の仕組み
第5章 これから海外へ飛び立つ君たちへ
第6章 私の「越境体験」とトビタテに込めた思い

【第1回】の今回は、本書の「はじめに」を公開します。

------✂------

はじめに

2019年3月21日夜、急きょ、メジャーリーガー、イチロー選手の引退記者会見が開かれました。

大変話題になった会見ですが、1時間半近くに及んだ会見の最後、「孤独感はずっと感じてプレーしていたか」という記者からの質問に対してイチロー選手が発した言葉に、私は強く共感しました。

――アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になったこと。アメリカでは僕は外国人ですから。このことは、外国人になったことで人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、 今までなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは、本を読んだり、情報を取る ことができたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので。孤独を感じて苦しんだこと、多々ありました。ありましたけど、その体験は未来の自分にとって大きな支えにな るんだろうと今は思います。だから、つらいこと、しんどいことから逃げたいというのは当然のことなんですけど、でもエネルギーのある元気のある時にそれに立ち向かっていく。そ のことはすごく人として重要なことではないかと感じています。

その言葉を聞いて、私は、自分の過去を思い出しました。  

父の仕事の都合で、幼少時と高校生時代を南米で過ごし、「外国人」となった私は、現地の人から疎外されたり、言葉ができない劣等感に悩んだりしました。けれど、アウェイの環境で孤独に苦しみながらも、日本人が得意とされる「野球」や、異なった人たちの意見をまとめる「調整力」などを発揮したお陰で、学校のなかで一目置かれる存在となりました。

こうした経験は、国際的な場で人のために役立つ仕事がしたいという思いにつながり、発展途上国のインフラに携わる総合商社への就職や、その後の人材育成会社の起業にもつながりました。 また、国際会議や交流の場で、世界の第一線で活躍する人たちと関わる際にも、影響を与えてい ると思います。南米での体験がなかったら、引っ込み思案な内気な人間のままだったかもしれません。

居心地のいい場所(コンフォートゾーン)から一歩、外の世界に踏み出す「越境体験」は、つらいし、しんどいことも伴います。けれど、それまで得られなかった刺激をあびることになり、人 を成長させ、可能性を格段に広げてくれます。今までの狭い世界とは全く違う「常識」があることを知り、イチロー選手のように、自分を客観的に見つめ直すこともできるようになるでしょう。

詳しくは本文で述べますが、私は、世界経済フォーラムが選出するヤング・グローバル・リー ダーに選出され、2011年と2012年のダボス会議に参加した経験があります。そこで世界 の劇的な変化を目のあたりにし、日本と日本人のグローバル化が急務であることを実感しました。 より多くの若者を、早期に海外に留学させなければいけないし、留学を当たり前にする文化を日 本につくらなければいけない。そういう問題意識が芽生えました。

そして、高い志や情熱、好奇心、独自性をもった大学生、高校生を、企業からの寄附をもとに 無償で海外に送り出し、新たなネットワークやコミュニティをつくるという留学プロジェクトに、 現場を統括する責任者として立ち上げから関わってきました。

そのプロジェクトとは、文部科学省初の官民協働の国家プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」。2020年までに日本の大学生・高校生の留学を倍増させるという政府目標のもと、まずは、その象徴として多種多様な1万人の留学生を送り出すというプロジェクトです。

前例のないことだらけで、困難な道のりでしたが、多くの関係者、企業、教育機関等の協力を得て、2013年の立ち上げから現在(2019年8月時点)までに約117億円の寄附を集め、 それを原資に7800名以上の若者を海外に送り出す機会を与えてきました。

このプロジェクトは、国や大学による従来の留学とは一線を画しています。最大の特色は、「計画×人物」重視の選考。特に、受け入れ先を含め自分自身で留学計画を立てるところにあります。 また、単位取得を前提とした、座学中心のアカデミックな留学計画では不十分で、必ず計画にはインターンシップやボランティア、フィールドワーク、PBL(課題解決型学習)など、多様な 実践活動を留学計画に組み込む必要もあります。

そのため、従来の留学でありがちな「外国人と交流せず日本人同士で固まる」ということも、「体験して良かった」で終わることもありません。自ら選んで飛び込んだアウェイの地で、困難 なことも数多く経験することになります。孤独、挫折、人種差別、自信喪失......。それまでの人生で味わうことのなかった苦労をしながらも、それを乗り越えていく姿に、私はいつも驚かされます。

本書では、なぜこうしたプロジェクトが立ち上がったのか、なぜ私が関わることになったのか、 その背景を振り返りながら、世界の劇的な変化や日本を取り巻く環境、曖昧模糊としたこれからの社会を生き抜くために何が必要か、そのためのマインドセットについて。さらにはプロジェクトを通して学生がどう変化し、成長したかについてお伝えします。

また、プロジェクトのその他の特色や研修の中味についても誌面を割いています。例えば、

・選考にあたって、なぜ成績や語学力ではなく、情熱や好奇心、独自性で選ぶのか。
・事前研修で、自分軸や自身のアイデンティティを徹底的に洗い直させるのはなぜか。
・なぜ、対話や自己開示、コミュニティづくりを重視しているのか。

その答えから、今、国際社会が若い人たちに何を期待しているのか理解できるでしょう。

本書で紹介したことをヒントに、少しでも多くの若い人が、今いる場所とは違う世界へと飛び立つきっかけになることを願っています。

2019年10月
文部科学省 官民協働海外留学創出プロジェクト
トビタテ!留学JAPAN
プロジェクト・ディレクター 船橋 力

------✂------

SNSでもさまざまな嬉しい感想をいただいています。皆さん、ありがとうございます!

中学生や高校生、大学生、学校の先生、親御さん、ビジネスパーソンなど、幅広い層に読んでいただける内容です。もし本書を読んで良かったと思っていただいた場合は、ぜひ周囲の方にも薦めていただけますと幸いです。

本書の印税は「トビタテ!留学JAPAN」に全額寄附させていただきます。

以下のFacebookグループにて、プロジェクトの最新情報を確認いただけます。ぜひご参加いただけると嬉しいです

『トビタテ!世界へ』応援コミュニティ
https://www.facebook.com/groups/822562108141997

【第2回】の次回は、1月13日(月)に「第1章 世界に飛び立ったトビタテ留学生たち」より1人のトビタテ留学生のストーリーを無料公開いたします。お楽しみに!

※2020/01/13 追記※


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?