夢の冷蔵庫
僕は夢のような冷蔵庫を手に入れた。
永久に鮮度を保存できる冷蔵庫だ。
といっても僕がその冷蔵庫に入れるものと言えば、散歩中に見かけた素敵な杏や百合くらいのものだ。
そう、僕は美しいものをいつまでもそのまま保存しておきたいんだ。
*
そんなある日のことだ。
どうも冷蔵庫の調子がおかしいんだ。冷気が止まっているらしい。
これは一大事だ。
「ピンポーン」
この緊急事態に誰だろうと思って玄関を開けると警官が立っていたんだ。
「近所の方から苦情がありまして。ちょっとお宅を拝見させていただいてもよろしいですか」
「は、はぁ、構いませんが」
その警官は顔をしかめていたが、急に大声を張り上げた。
「し、死体!? げ、現行犯で逮捕します!」
一体何を言いだすんだ。
僕の部屋に死体なんかあるはずが無いじゃないか。今はそれどころじゃないんだぞ。
僕は台所にあった包丁で警官を刺し殺すと、急いで電話を掛けた。
「助けてください!冷蔵庫が壊れてしまったみたいなんです!」
あとがき
#ショートショートnote杯 の作品で410字ちょうどです。
夢は夢のまま、いつまでも覚めぬようにー
前作:
次作:
Special Thanks!
ショートショートnote杯の公式記事の画像で目に付いた「夢の」と「冷蔵庫」を組み合わせて自由お題のショートショートとさせていただきました。
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