「揺らぐリーダーシップ」って何?それって必要?
こんにちは。広報の古賀です。
前々回のnote記事の中で「揺らぐリーダーシップ」という言葉を書きましたが、「それってどういうこと?」とご質問をいただきましたので、今日は「揺らぐリーダーシップ」について書きたいと思います
前々回のnote記事はこちら
リーダーは揺らいだ方がいいってホント?
そもそも「揺らぐリーダーシップ」とはどういうことでしょう?
例えば、「自分も答えはわからないんだよね」と言ってみる。「この部分、相談に乗ってくれないかな」と助けを求めてみる。
一般的にはマイナスだと思われがちな弱さや不安を、リーダー自身ががその場に出してみる。
それが「揺らぐリーダーシップ」です。
「えっ、そんなことしたらダメなリーダーだと思われるのでは?」
「リーダーが弱音を吐くなんておかしい」
そう思う方もいるかもしれません。
実際、「24時間戦えますか!」が世の中を席巻していた時代は、リーダーとはグイグイ引っ張っていくもの、「私、失敗しないんで」と言えるようなリーダーが求められていたと思います。
ものを作れば売れた時代とも言われていたし、過去の経験からこうすれば失敗しない…という成功の道筋が見えていたことも、弱音を吐かない皆を引っ張るリーダーが求められていた理由かもしれません。
でも今はどうでしょう?
VUCAの時代と言われ、1年前に当たり前だったことが当たり前でなくなることも日常茶飯事。
価値観も大きく変わり、「これをやったら成功する」などという成功法則は見えなくなっています。
そういった中で「これが絶対に正しい」「自分についてくれば大丈夫」と言うことの方が、むしろ組織を停滞させてしまような気がします。
揺らがないリーダーの元では、部下も組織も揺らげない
もしもリーダーが全く揺らがず、一切の弱音を吐かなかったとしたら….
それを頼もしいと思う一方で、「この人の前では弱音を吐いちゃいけないな」と思ってしまうかもしれません。
「できない理由を探すな。できる理由を考えなさい」
「弱音を吐くぐらいなら、一件でも多くお客様のところに行ってきなさい」
少しでも弱音を言ったら、こんな風に怒られそうで(苦笑)
もちろん、不平不満や愚痴だけが蔓延している組織は、良い組織ではありません。
でもポジティブで前向きな意見だけが聞こえる組織が、本当に良い組織なのでしょうか?
もしかしたらポジティブな言葉の裏側で、何か大きな悩みを抱えているかもしれません。あるいは、すぐに対応しなければいけないネガティブな事象が見え隠れしているかもしれません。
でも揺らげないから、場に出せない。
「場に出せない=何もない」ではありません。あるけれど言えない。あるけれど言わない。
そうして隠されたものは、いつか火を吹く可能性を秘めています
火が噴き出してから「もっと早く言ってくれていたら…」と思っても後の祭り。
ネガティブだと思われる感情や出来事を出して揺らげることも、組織を強くする、チームの関係性をよくすることに、とても大切なことだと思います。
意図的にやってみるのは難しいけれど….
とは言うものの、今まで「弱音は吐いてはならぬ」と思って仕事をしてきたリーダーが、いきなり「揺らぐリーダーシップをやってください」と言われても戸惑いますよね。
私自身も弱音を吐くのが苦手だし、これまでの上司も「リーダーは弱音を吐いてはならぬ」と思っている人が多かったです。
今までやってきたことがないこと、自分ではダメだと思っていたこと(あるいは、そういう文化の中で育ってきた)をやってみるのは、誰しも怖いし勇気がいることです。
だから「弱音を吐かなければ」「揺らがなければ」と気負う必要はありませんし、いきなり重たい話をする必要もありません。
例えばいつもひとりで方針を決めているのなら、「ひとりだと考えが偏りそうだから、一緒に考えてほしい」とお願いしてみる。
例えば会議でお互いに相手の出方を伺っているような時に、「この話題、難しいよね。自分も頭が真っ白だよ」と、ひと言口に出してみる。
ほんの少しだけ『強くて弱音を吐かないリーダー』の仮面を外してみる。
もしいきなり部下の前では難しい…と思うのであれば、利害関係のない第三者に話してみることから始めてもいいかもしれません。
まずはちょっとでもいいからやってみることが大切だと思います。
「ごめん。力を貸してほしい」からの大逆転
『揺らぐリーダーシップ』で、私には忘れられない一つの思い出があります。
私が20代の終わりから30代半ばまで働いていた会社のことです。
私が入社したのは設立して3年目?4年目?の頃。
とても画期的なサービスを開発したのだけれど、まだそれを欲しがるユーザーが少なすぎて全然売上があがらなったのです。
合宿をやって対話してみたり、売れそうなサービスを作ってみたりしたけれど結果は芳しくない。
そういう時ってギスギスして会社の雰囲気も悪くなるし、上の人たちが頑張れば頑張るほど現場は白けるし、まさに成功循環モデルの左回りをしているような状態。
退職者も多かったし、誰も大っぴらには口にしないけれど、「そろそろ、この会社ダメじゃない?」というのを薄々感じ始めた頃。
社長が、当時、中心になって働いていたメンバーに対して、「ごめん。もう1回だけ力を貸してほしい」と言ったのです。
それは社長の心からの言葉でした。
社長の立場で社員に頭を下げて「ごめん」って言うのは、とても勇気が必要だったと思います。
こちらも社長に対して色々と思うこともありましたし(笑)
でもその一言を聞いた時、皆で「よし、やろう」と決めたことを、今でもとてもよく覚えています。
その後、その会社はどうなったか?
赤字で潰れるかもしれなかった会社だったのに、1年でV字回復。
翌年の決算後、社長から手渡しでもらったインセンティブは、決して大きな金額ではなかったけれど、私が働いてきた中で一番思い出深いインセンティブとなりました。
お金は使っちゃったけど、社長の直筆で「古賀ちゃん、ありがとう。これで美味しいものでも食べてね」と書かれた封筒は、今もどこかにあるはずです(捨てた記憶はないので、しまってあるはず…)
たったひと言。
あの時の社長の揺らぎがなかったら、あの時の会社はそのまま終わっていたのでは?と今でも思います。
揺らぐのは怖いです。
でも揺らぐからこそ、始まることもあると思っています。
ぜひ「揺らぐリーダーシップ」できるところから初めてみてください。
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