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実はとっても奥が深い!?ダニエル・キムの成功循環モデル。

組織開発や組織変革に興味を持つと、最初に出会うと言っても過言ではないダニエル・キムの成功循環モデル。

私が初めてこのモデルを見た時、「そうそう分かる!これ、めちゃくちゃ大事」と思ったことをよく覚えています。社内で組織開発小冊子を作成した時にも入れました。
それぐらい組織開発、組織変革の分野ではよく使われるモデルだと思います。

成功循環モデルって何?

参考:ダニエル・キム「成功循環モデル」

「成功循環モデルって聞いたことはあるけれど…」という方もいらっしゃるかもしれないので、簡単に解説!

場の質、関係の質とは、最近だと「心理的安全性」と言う言葉が使われるかもしれません。単に仲良しクラブ…ということではなく、深い信頼関係を構築するという意味で捉えられることが多いです。

深い信頼関係が構築されて関係の質が上がると、「この人(この会社)のために頑張ろう」といった前向きな思考になってくるし、色々な立場や考えを持った人たちの声が集まってくるようになります。これが思考の質ですね。
色々な人の声が集まってくることで現状把握の質も上がるし、現状把握の質が上がれば意思決定の質も上がります。

すると当然行動の質が上がります。チャレンジする、積極的に行動する…と言うこともしやすくなります。そうすれば結果の質も上がりますよね。
結果の質が上がれば、もちろんさらに関係の質は良くなり…と言う好循環のサイクルが生まれるというわけです。

左回りをやろうと思ってやっているわけではない

参考:ダニエル・キム「成功循環モデル」

成功循環モデルの話になるとセットで出てくるのが「組織が良くなるためには、右回りじゃないとダメだよね。左回りだからうまくいかないんだよ」という言葉。

経営者はじめ多くの人は「もっと組織を良くしたい」と思って、行動をしているはず。それなのに、気づいたらうまくいかないパターンを繰り返してしまっている。

例えば….

  • 従業員の残業時間が多いのが問題だ。だから20時間以上の残業は上司の許可を必須にしよう。

  • 今月は営業成績が悪かった。顧客への訪問件数が減っていることが原因じゃないか。だから来月は全員訪問件数を増やそう

こんな感じでしょうか。
どちらも「これをすればきっと良くなるはず」と思ってやっていますよね。もちろん、こういったやり方が必要な場合もあるでしょう。

でも「物事には何か原因があるはずだ。その原因さえ取り除けばうまくいくはず」と言う線形思考だけで進めていくと、どうしても「変える側」と「変えられる側」と言う分断が起こりやすくなります。

それに目に見えるところだけを無理やり変えようとしているから、どうしてもリバウンドも起こりやすくなります。

体重を減らそうと思って頑張って食事制限をしたり、運動をしたりしても、緩めた途端に元に戻ってしまう。ダイエットと同じですね。
(心当たりがあり過ぎて、胸がイタイ….)

目に見えるものだけに注力したり、「原因さえ潰せば、きっとうまくいく」と言う線形思考に偏ってしまったりしていると今の時代、なかなかうまくいかないのではないかなと思います。

その構造を作っているのは、本当に相手だけですか?

成功循環モデルを使って話をしていると、「そうそう!うちの管理職(経営陣)は、左回りをしてることに気づいてないんだよ。そこに気づいて変わらないと、組織なんて良くならない」と言われることも多いです。

だけど前回のnote記事でも取り上げたセミナーで、スピーカーの橋本から、こんな話がありました。

「当事者意識がないって相手を責めてる時って、実は自分のことも指しているんですよ。当事者意識がないのは自分以外の『誰か』であって、自分とは関係ないと。でも、当事者意識がないという出来事を自分も作っている…ということに対する自覚がないことが、実は一番問題なんですよ」

速報!〜【組織開発実践者に聴く!】組織活性化を進める上での壁とその乗り越え方#1〜開催レポート

あの人が変わらないと…と言うのも、まさに同じ!
「組織が良くならないのは、あの人が変わらないのが原因だ。だからあの人の思考や行動が変わればうまくいくはず」と言うのは、自分自身が無意識で左回りの考え方をしてしまっているということなのです。

これは私自身も大いに自覚ありです。
わかっているはずなのに、相手だけを責めていることがあります。

正直なところ、無意識なのでゼロにするのは難しいなーと思っています。
ただ、「あっ、自分は今、左回りになっている」と気づくことはできます。自分で気づくこともあるし、他者から指摘されて気づくこともあります。

ゼロにはできないけど気づくことができる。そしてまずは自分ができることをやる、と言うのはとても大切なことだと思っています。

大事なのは、今どのステージにいるのかを丁寧に見ること

成功循環モデルって、とてもわかりやすいので、ついつい「右回りが良くて左回りは悪い。自組織は左回りになってるからダメ」みたいに見てしまいがちなのですが…

大事なのは今、自分たちの組織はどんなステージにいるのかを見ること。
そして自分自身がどういう物の見方をしているのかに気づくこと。
そのためのツールとして、成功循環モデルを使うことだと考えています。

こうやって見てみると、ものすごく単純に見える成功循環モデルって、実はとても奥が深いし、使いこなせると対話の質も上がってきそうですよね。
逆に単に右回りが正しくて、左回りが悪い…という浅い解釈しかしていないと、もったいないなぁと感じます。
(初めて成功循環モデルを知った時の自分自身に、教えてあげたい!!)

ダニエル・キムの成功循環モデルをさらに踏み込んで解釈すると…

ToBeingsのメールマガジン『組織進化TIMES』にご登録いただくと、弊社の代表橋本が解説する、「ダニエル・キムの成功循環モデルの新しい解釈について」の動画の一部を特別にご視聴いただけます。

この動画は弊社が手掛ける、組織開発の実践講座で使用している動画の中でも、鍵となる動画です。
ぜひ『組織進化TIMES』にご登録いただき、組織の対話をさらに深めるべく参考にしていただけると嬉しいです。

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古賀ちぐさ【コンサルタント】
ToBeingsの組織開発コンサルタントとして、大手企業さまのプロジェクトを推進していく一方で、広報担当としても活動しています。趣味はかぎ針編み。
思いをそのまま文章に載せていくので、ロジカルに書くのは少々苦手。さらに想いが溢れて長くなりがち。ToBeingsの活動、メンバーの裏側をお伝えしていきます!