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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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檻を壊すには友情だけで十分 映画『告発』


 

こんな人にオススメ

  • サンフランシスコに行く予定がある人

  • 素朴で力強い人間ドラマが観たい人

  • 事実に基づく物語が好きな人

昨日オススメされた『スリング・ブレイド』を観る手段がなかったので、一緒にオススメされた『告発』を観ることにしました;; アルカトラズ刑務所が閉鎖するきっかけ(きっかけは諸説あり)になった実話をもとに作られた映画です。観光スポットとしてのアルカトラズ刑務所は昔からゲームで知っていたんですが、詳しいバックグラウンドは全く知りませんでした… 
あらすじではなくストーリーがそのままサイトに載っていたので、ネタバレが気になる方は気を付けて下さい。

この記事は映画『告発』のネタバレを含みます。ご注意下さい。

 

ストーリー

30年代後半、サンフランシスコ。若きエリート弁護士ジェームズ・スタンフィル(クリスチャン・スレイター)の初仕事は、アルカトラズ刑務所内で起きた殺人事件だった。被告は25年の刑に服役中のヘンリー・ヤング(ケヴィン・ベーコン)という若い囚人だった。ジェームズの度重なる訪問に、ヘンリーは少しずつ心を開くが、事件のことには触れたがらない。だが、彼の発するわずかな言葉の端々から、刑務所内の実態が明らかにされていく。劣悪な環境や副刑務所長グレン(ゲイリー・オールドマン)の残忍な拷問に耐えきれず、脱獄を企てたヘンリーは、仲間の裏切りによって狭く、寒く、日も差さぬ地下牢に閉じ込められる。3年後、地獄のような日々から解放された彼は、裏切った仲間を見つけると、衝動的にスプーンで相手を殺したのだった。真相にジェームズは激しい憤りを感じ、彼を救うために勝つ望みのない裁判を戦い抜く決意をする。裁判が始まり、ジェームズはヘンリーの無罪を主張し、非人道的な刑務所の歳月がヘンリーに殺人を犯させたと、逆に刑務所を告発する。それはアメリカの司法制度、ひいては合衆国政府に対する挑戦だった。法廷は騒然となり、衝撃は瞬く間に全米に広がる。2人には様々な圧力や妨害が降りかかり、周囲の人々は彼らと関わるのを恐れた。有力な弁護士である兄バイロン(ブラッド・ダリフ)も例外でなく、事務所の同僚である恋人メアリー(エンベス・デイヴィッツ)ですらジェームズの元から去っていく。一方、ヘンリーとジェームズの間には、いつしか立場を越えた不思議な友情と強い絆が生まれていた。裁判は苦戦し、いよいよ最終公判。ジェームズは最後の手段として、ヘンリー自身を証人として召還した。だが、彼は意外にも裁判に勝ちたくないと言う。あの地獄のような日々に戻るくらいなら死刑の方を望む、と。裁判はジェームズとヘンリーが勝訴するが、ヘンリーはまもなく自殺した。この裁判をきっかけに刑務所内では様々な改革が行われ、やがて63年に完全閉鎖された。

ヘンリー・ヤング(ケビン・ベーコン)

 

3年間暗闇に閉じ込められて精神も身体も傷つけられた囚人、ヘンリー・ヤングを演じているケビン・ベーコンは圧倒的な演技で、観ているこっちまで苦しくなってきました… 暗く汚い独房や看守からの虐待など、表面上見えやすいところからも過酷さは感じるものの、どんどん弱って挙動不審になっていくヘンリーの姿が一番アルカトラズの過酷さ、異常さを教えてくれました。精神を病んでいく描写だけでなく、回復してからのジェームズとのやりとりでは、危うい面も持ちつつ確実に愛着も湧くようなキャラクターを自然に表現してくれていたと思います。

隔離された環境の怖さ

 

アルカトラズ刑務所があるアルカトラズ島自体、周りが海に囲まれていて一般の人の生活圏から隔離されています。この状況が普通の人と犯罪者が違うものであるという意識を強くさせたのかなと感じました。違うものだから人として扱わず、虐待したのかな…とも思ってしまいます。副所長は全てのアメリカ国民を代表して罰を与えている旨の発言をしていましたが、観ていて違うもの=知らないものに対する拒絶反応をただ正当化しているだけのようにも観えました…
隔離されることでこちら側とあちら側ができ、本来同じはずの個人をその括りでとらえてしまうことの危険性と、独房やアルカトラズに限らずいたるところで隔離が起きてしまうかもしれない怖さを実感しました…

二人の友情

 

ヘンリーとジェームズが出会ったばかりのころは檻を上手く使ったカメラワークが凄く印象に残っています。カメラが檻の中と外を出入りして二人が住む世界の違いを強調してきたり、檻を俯瞰してジェームズが対等に話そうとしている様子を強調したり。特に少しずつ机とベッドの距離が縮まっていくシーンは印象的で、無機質な檻の中なのに「ロマンチックだな…」という感想が自然に出てきました… 演出でもう一つ気になったのは、二人が面会室でガラス越しに話をするシーンです。お互いの顔がガラスに反射して混ざり合っているように観えるこのシーンは、理解し合って友情が生まれていることを感じられると同時に、もしかしたら逆の立場だったかもしれないという想像をしてしまいます… 二人の友情を感じられると同時に、ヘンリーの複雑な感情も読み取れてしまう、感情をぐちゃぐちゃにされるシーンでした;;

最後に

囚人と弁護士の友情は、仲を深める過程も含めてシンプルですがその分破壊力抜群でした… アルカトラズを破壊するには銃や爆弾といった武器ではなく、隔離という”行動”に疑問という”反応”を示せる男たちの友情さえあれば良かったんだと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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