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黒猫と金貸し 01

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2019年8月の記事一覧

case01-14 :要求

case01-14 :要求

「上川さんさ、提案があるんだよ」
「・・・はい」

タバコが吸えないから苛立っていたというわけではない。

「お互いこの状況で話してても平行線だろう?俺が身分証出せと言ってもだせないし、それに代わる案もあんたは出せそうもないし」

実際この状況で既に1時間以上は経過し、その間何かを俺が話すたびに上川の顔色は紅く青くと忙しく繰り返していた。狩尾は下を俯いた状態で沈黙を保っている。寝てるのかと途中疑っ

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case01-15 :食事

case01-15 :食事

確かに今日は何も食べていなかった。

しかし俺はそもそも基本的に1日1食、もしくは3日2食程度の食事量というエコ生活なのだ。あまり空腹も感じてもいなかったが、お言葉に甘えて<俺の金で奢られる>という不思議な話が始まった。

「西船橋やけに詳しいな」

狩尾は都内でも西側だ。西船橋という駅を使うことはあまり考えられなく不思議に思い、言いかけたところで口をつぐむ。上川に呼び出されたことがあるのかもし

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