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3つの私の顔|キャリア開発体験談#4

私自身のキャリア開発体験談を三部構成全8話でお届けします。
本稿は ニ部 第4話です。
第3話はこちら
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第4話 私は何者か?

承認欲求


第3話で高められた自己肯定感は、私の毎日に彩を与えてくれた。
仕事では相変わらず新しい業務の提案を続けていた。不採用も多かったがそこで腐ることはせず、会社の視点に立って企画の反省をする余裕が生まれた。経営層や上司への説明も、余裕をもって進めることが出来ていた。
この「余裕」こそ、自己肯定感向上の賜物だと感じた。

これと同時に、承認欲求という本能が騒ぎ出した。私個人の短所であるが、厄介なものである。
直接的に金銭や名声を求めているつもりはないが、上席から一目置かれたいとか会社内で優秀な地位に就きたいといった気持ちが強い。
工作教室で「先生」と呼ばれることに心地よさを感じている。認められることで自分を満たせるからだ。

こういった承認欲求は一般的には「悪」とされる。「捨てたほうがいい感情」などの代表格であると思う。それについて、私自身も異論はない。
一方、感情を捨てようとすることで自分らしさを放棄している感覚もあって、自分の中で矛盾があった。アクセルを踏みながら、ブレーキも踏んでいる状態に似ている。

キャリアバランスシートと出会ったことで、その矛盾にも開放された。アクセルとブレーキを交互に踏めばよいのだ(何を当たり前な・・という結論だが)。

承認欲求は、キャリアバランスシートでいうところの「流動資産」と一致する。この流動資産を増やす方法は、固定資産を活用することにある。私の場合は固定資産が多かったが、固定資産が少なければ他人資本からヒントを得ることになる。そして、そもそも他人資本に巡り合うには、自己資本を広げる必要がある。

結論として、騒ぎ出した承認欲求を抑え込もうとせず自己資本を広げる原動力に生かすと良いと気づけた。さらに、気づいただけでなく具体的に実践もできた。

肩の力を抜くほど上手くいく


参加しているプロボノのプロジェクトは順調に進んでいた。
12月に予定されていた中間報告会も、発表資料をどうするかという課題はあったものの、発表内容はそれなりにできていた。
ここで、私なりに発表資料を先回りして作って、メンバーにお披露目した。振り返ればこれも「承認欲求」が引き起こしたお節介であった。ただ、いつもの「この資料をベースに完成させましょう」という気持ちが薄れて、「この資料の使えそうな部分だけ流用してください」という謙虚な姿勢になれた。
結果的に中間発表で使われた資料には、私の提案は1~20%相当を反映してもらえた。それでも十分に満足できた、荒々しい感情も湧かなかった。

自己資本を広げることに繋がったは不明確だった。でも、キャリアバランスシートから、流動資産=承認欲求を満たすには自己資本まで遡った行動につなげることだと理解できたことで、遠回りをする必要があるから、慌てずに穏やかさや謙虚さを意識できるようになった。

自己肯定感が与えてくれた「余裕」と、「承認欲求」をある程度コントロールできるようになってから、肩の力がだいぶ抜けるようになった。
そして、自分には何ができるかを開き直って考えることで自分自身にプレッシャーをかけることも大きく減った。
結果へのこだわりも、気にならなくなった。
他者への意見の主張(押しつけ)も、幾分かは減った。

そうしたことで、驚くほど会社での仕事や趣味が捗った。
(もちろん良い意味で)上司の指導もスルーできたし、職場メンバーの愚痴や不満も聞くだけにして悩むことを回避できた。ついつい完璧を求めすぎた趣味にも、いい加減さを見出してから楽しみを再び感じることが出来てきた。
(他の新しい趣味にも手を出してしまった悪影響もあるが・・)

ニュートラルな自分ってこうなんだ、という再会を喜んだ。

陰で支えてくれた私の私


第3話から心の内側の変化を記してきたが、自分再発見の話もこの項で終わりにしたいと思う。

ニュートラルな自分になったところで、自分って何者だろう?という原点にたどり着けた。
それは、キャリアバランスシートの自己資本でふと書いた、
「好きな漢字は『創』」
というポリシー
だった。

仕事にしろ、工作教室にしろ、趣味にしろ、すべての原点は「創る」ことへの好奇心だった。

学生時代から周辺の友人や流行に影響を受け、社会人になってより周囲への気遣いや社会的立場を考えるようになると、自分の原点はドンドン忘れていってしまう。あるいは、周囲の人たちによる「評判・評価」のせいで、より自分の原点から遠ざかってしまう可能性もある。

それは、疲れるだけだ

キャリア開発において自己棚卸は、そうした社会的に抹殺されかけた自分の原点と再会できる機会を与えてくれる。
そして私は、その原点をキャリアパーツの中心に置くことに決めた。

陰でずっと支えてくれた私の私が、いよいよ中心になる時が来た。

第5話へ続く


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