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Netflix映画『悪女』

 台湾制作の映画を見たのは初めてかも知れない。

 主人公は結婚を間近に控えたテレビキャスターの女性。お母さんは早くに亡くしていて、主人公の祖母の介護をしながら生活している父親は、娘の結婚を期に自分も結婚したい人がいると打ち明ける。
 そんな時、父の結婚相手となる女性が過去に交際した複数の男性を殺害した容疑で逮捕される。娘である主人公は何とか父親の結婚を阻止しようとするが、父は彼女に惚れ込んでおり聞く耳を持たない。
 そして、その女は既に籍を入れたと言う。

 タイトルは悪女であり、文字通りとらえれば女は怖いというテーマの作品と思いがちだ。この物語の中でも、男を良くするも悪くするも女の接し方次第と主人公に諭す「悪女」。色恋仕掛けで男を騙しお金をむしり取った上に最後は息の根を止める「悪女」ではあるが、しかしその逆に、女を悪くするも良くするも男次第とも言える気がした。

 優しくされたら騙されやすいのは男も女も関係ない。人間であれば誰しも心の拠り所となる他者を求める。特に心が揺れている時は弱い。たとえ婚約者や配偶者がいても、隙をつくように心を奪われることはありえる。
 騙されたと気付くのが幸せか、気付かないのが幸せか。
 大抵の場合、気付かないでいる方がましなのかも知れない。

 人が持つ「悪」の部分は、普段は外から見えない奥底に眠っていて、ある拍子に浮き上がってくる。何が切っ掛けとなるかは誰にも分からない。いくら注意していても起こしたら最後、囚われてしまうのが「悪」でもある。

 英題はLost in Perfection。アリバイが崩れるというような印象と同時に完璧なものは何もないという含意が感じられる。
 ダブル主演のうちキャスター役のシャオ・ユーウェイの美貌に酩酊した私には、もう一人の主演リン・メイシュウが憎たらしくしか見えなくなってしまった。エンドロールが始まる頃までは。

おわり


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