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「ミラノサローネ2021」4つのキーワード

今回のnoteは、2021年9月5日~10日までミラノで開催されていた、「ミラノサローネ2021」の現地レポートから、4つのキーワードをご紹介します。

ミラノサローネは、ミラノで開催される国際家具見本市「サローネ・デル・モービレ・ミラノの通称で、1961年にインテリア製品の輸出促進のために誕生し、今年で60周年を迎えました。昨年は新型コロナウィルスの影響で中止。今年も4月の予定が延期されましたが、「スーパーサローネ」という名のもと、新しい枠組みで9月5日から10日まで開催されました。規模が縮小されて、425ブランドが出展、さらに22カ国170人の若者と39人のインディペンデント・デザイナーが参加。
来場者数は6日間で6万人超(うち30%が113カ国からの外国人)が訪れました。

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今回のスーパーサローネ(以下サローネ)ではコロナ禍における生活スタイルの変化、特に家の中で過ごす時間が増えたことが、インテリアのトレンドにも強く反映されていました。ミラノ在住のライフスタイル・リサーチャーが取材した内容を元に、4つのキーワードをご紹介します。

1 素材・製造工程における「サステナブルの追求」

今や全世界が注力しているテーマのサステナブルは、インテリア界も同様です。今年は近年続いてきた環境に関するトレンドが進化し具現化されてきました。今回のミラノサローネでは展示会のテーマとして「デザイン、共有、持続可能性」にコミットすることを当初より発表しており、そのテーマに即した積極的な展示が見られました。
リサイクル素材や天然素材から作られて廃棄後に自然に戻る素材(リサイクル)、廃材の再利用などによって作られた製品(リユース)は多く、特にアーカイブにある過去の名作の復刻版をリサイクル素材を使って再制作する傾向が見られました。また原料のトレーサビリティや、製造プロセスにおいて環境に配慮したエネルギーの使用や汚染対策を行う企業も増えてきています。
さらに、デザインウィークの期間中には、市民へのサステナビリティへの関心を喚起するため、リサイクル素材を使ったアート作品のアワードやサステナブルをテーマにしたイベントも開かれました。

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2 デザイン&カラーに求めるマインドフルネス

コロナ禍で家で過ごす時間が長くなったことにより、インテリアに心の安らぎにつながるマインドフルネスの要素が求められる傾向が見られました。色は生成りやペールトーンなど飽きのこない優しい色が多く、素材はすでに近年、木やレザー、大理石などが人気の傾向はありましたが、天然素材のトレンドは引き続き見られる傾向になっています。そしてこれらの素材をミックスしてデザインされたアイテムも依然として多く見られました。
同時にどのブランドも多様性とパーソナライズ対応をアピールしており、一つの製品に対しての素材選びの可能性を充実させているため、何か一つの素材が流行するのではなく、あくまで選ぶ人に最適化される商品が増えていく傾向になりそうです。
フォルムは全体的に丸めで、角の部分も滑らかなディテール処理がされているようなものが目立ち、奇をてらったデザインよりは、ミニマルで使い勝手のよいデザインが求められているようです。

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3 リモートワーク&ステイホーム対応

コロナ禍においてのリモートワーク、およびステイホームの流れにより、家族全員が家にいる機会が増えたため、パーテーションやその代わりになるライブラリーなど既存のスペースを分断できるようなアイテムや、モジュラーソファなど空間をリスタイリングするためのアイテムが注目されています。また自宅で仕事をするためのオフィス兼用インテリア(事務机、スタンドライト、快適な座り心地の椅子など)が多く登場。デザインだけでなく、機能性や快適さを持ち合わせた家具が重視される傾向が見られました。

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コロナ禍において生活スタイルが変わったことにより、キッチンやバスルームにも新しいトレンドが生まれています。リモートワークの定着により、ダイニングスペースをワークスペースにするべく、ドアで隠せるようなキッチンや、ダイニングテーブルとの一体型のキッチンがトレンドになりそうです。一方、バスルームにはより贅沢を求め、パーソナライズ化、ハイテク機能付き製品やウェルネス系アイテムを強化する傾向を感じました。

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4 「ラグジュアリー&アウトドアライン」の登場

コロナ前からインテリアとアウトドアの境界線が緩やかになった空間作りのトレンドはあり、いくつかのインテリアメーカーがアウトドアラインをデビューさせてきましたが、コロナ禍によるリモートワークの定着によってこのトレンドはさらに加速しています。
イタリアでは郊外の庭付きの家に引っ越したり、もともと持っている別荘の生活をメインに都市との二重生活をする人が増えました。また都市生活者もテラスで過ごす時間が増えたことで、アウトドア用家具への注目度はますます高くなっていると言えます。
アウトドアラインを出しているほとんどのメーカーは、インドアの家具のデザインそのままに、素材を防水、風化防止などの効果のあるものに変えることでアウトドアコレクションを展開しているため、ラグジュアリーな雰囲気はそのまま保たれているのが特徴と言えます。

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今回のサローネは、ヨーロッパ以外の地域からの渡航客がまだ少ないせいか、トレードフェアよりもブランドイメージをアピールする場であり、1年半のブランクを経たインテリア業界の再出発を象徴するセレモニー的要素が強い展示会という印象でした。今回無事開催したという実績をもとに、2022年4月にすでに開催が決定されている次回の「ミラノサローネ」は、本来のトレードフェアらしい形に戻り、多くの新作が発表されると思われます。

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