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【導入・計画編】未経験から戦略プランナーになる

自己紹介と本noteについて

私は現在広告代理店の戦略プランナーとして活動しています。
まだまだ職歴としては浅いですが少しずつクライアントからの信頼を獲得できてきています。

ただ、転職前は調査会社におり全くプランナーとして、また企画職としての経験はありませんでした。戦略を書いたことも無ければ、レポートすら書いたことがありませんでした。

そんな私が2年弱で上げた成果が下記です。

・経験者しかいないチームにて入社以来目標予算を連続達成(継続中)
・在職1年未満でプロジェクトリードし、専門性の高い産業の案件を担当し従来の取り組みの半分の人員で無事納品を完遂
・大型案件のプロジェクトリードを実施し、クライアント経営層の満足度の高い案件デリバリーを実行

なぜ未経験の私が戦略プランナーとして成果を出せているのでしょうか?

単純化していうと、試行錯誤しながらインプットの量と質を追求し、打席ににひたすら立ち行動量を担保したからです。

このnoteでは、私が試行錯誤しながら学んだ「ストラテジックプランニング職」という仕事について解説するとともに、「ストラテジックプランニングスキル」「人材として売れるための考え方と行動」の体系化を目指します

本noteの構成

このnoteは通勤中などにサクッと読んでもらうためなるべく情報を簡潔にまとめています。そのため1つのnoteあたりの文字量を少なくし、トピックごとに分ける予定です。具体的には以下の3部構成の予定です。

導入・計画編
私の執筆理由と課題意識、
ストラテジックプランニング職の概要とスキルセット、参考書籍について簡単に解説します

考え方編
当然ながらスキルセットを知ったとしても
すぐに活躍できることはできません
私が試行錯誤しながら身につけた早期に立ち上がるための
「考え方」をお伝えします

③行動編
考え方を知っても行動が伴わなければ状況は変化しません
私の実体験や周りにいる「売れっ子ストプラ」との会話の内容、観察の経験をもとに「仕事で成果が出せるストプラの行動」を形式知化してお伝えします

【読んでいただく前に】本noteを書いた理由

誰に読んでもらいたいか?

このnoteは「マーケティングコンサルに転職したい、マーケティングの戦略プランニングができるようになりたい!」という人に捧げるものです。

これを誰に一番届けたいかと言われれば、
「転職活動中~入社後半年までの過去の自分」です。

コンサルブームと相反して少ない戦略プランナー=ストラテジックプランニング職の情報

転職活動時、コンサル転職を考えていたのでWebや本を通して情報収集をし、コンサルタントという仕事についての解像度は比較的高く働くイメージもついていました。

しかし、ストラテジックプランニング職への転職を検討するにあたっても同じように情報収集をしましたが、うまくいきません

今、読者の方が検索されても「調査を行いデータを分析し、戦略を立案する仕事です」くらいのふわっとした情報しか出て来ないでしょう。

おかげで大した対策もできず、内々定を頂いたあとも、入社後も不安がずっとありました。何が「ストラテジックプランニングなのか?」すらもわからないまま、「ストラテジックプランナー」「戦略担当」を名乗らないといけないことに対するモヤモヤがずっとありました。

このnoteの目的

前述のように私は「ストラテジックプランニングは何であり、何でないのか?」をわからず、転職できてしまった人です。

このnoteはそんな不安でいっぱいだった自分と同じような人が世の中に存在するのでは?という仮説の元、その不安を解消しストプラ、または広くマーケティング・コミュニケーション戦略担当として活躍する素地を作ってもらうためのものです。

戦略プランナー=ストラテジックプランナーとはどんな仕事か?

何をするか?

一言でいうと
「クライアントの与件を咀嚼し目標・目的を定め、生活者を理解し、目的達成のための戦略・戦術を描く仕事」
です。

言い換えれば、戦争における「参謀役」です。
※あくまで私の理解です

これだけだとなんのこっちゃなので、以下でもう少し具体的なプロジェクトにおとしてお話します。

どんなプロジェクトを担当するのか?プロジェクト内の役割は?

広告代理店のストプラはプロジェクトベースの仕事になります。
ただ、1ケース、多くても2ケース制のコンサルティングファーム所属戦略コンサルタントとは異なり、4~5件など複数プロジェクトが並行するのが普通です。

そのため、必然的に1件あたりの関与度は戦略コンサルタントより遥かに低いです。

ではどのような案件にアサインされるのでしょうか?

正直所属する代理店によると思うのですが、基本的にシステム構築以外のプロジェクトにアサインされる事が多いです。
例えば私が経験してきたものですと、下記のようなプロジェクトへのアサインが考えられます。

マーケティング・コミュニケーション:統合キャンペーンにおけるコミュニケーション戦略立案(STP策定、コミュニケーション・コンセプト策定、UX設計)
プラットフォーム構築:顧客体験設計、フロントエンド対応を考える
ブランド戦略:ブランドのあるべき姿の立案(もしくはリブランディング)とSTP策定
新規事業立ち上げ、サービスデザイン:STP策定、コンセプト設計、サービスのデリバリー概観設計、施策立案、GTM(市場参入)戦略策定

期待される役割は?

上記がプロジェクトのアサイン例なのですが、
組織に期待されている役割としては大きく2つに大別されます。
案件獲得とプロジェクトデリバリーです。

案件獲得への貢献

特に総合広告代理店のストラテジックプランナーといえばこれと言われるほど、競合プレゼンへの関与度は高く、割いている時間が一般に非常に長いです。

なぜならば、コンサルティングファームと違い広告代理店は「戦略パートは受注しメディアコミッションをもらうためのアピール」である事が多いからです。

■具体的な活動イメージ
・競合プレゼンのリード(提案書のページネーション作成、調査や市場分析の実施、戦略立案)
・ふわっと案件の前さばき(クライアントとのコミュニケーション、課題設定、アプローチ方法の検討)

プロジェクトデリバリー

最近はアクセンチュアソングを始めコンサルティングファームが領域侵犯してきたことによってコンサルティングファームと競合することが増えてきました。

特に長期的なマーケティング戦略やブランド戦略、サービスデザインなど単独のキャンペーンに終わらず長期的なコンサルティングになるものがコンサルティングファームと競合することが多く、ワークシェアを増してきています。

■具体的な活動イメージ
・調査・データ分析による現状把握・課題抽出
・コンサルティング案件における戦略立案
・計測指標設計、モニタリング設計、レポーティング

戦略プランナーの作業工程

全てが全てではないのですが、ざっくりいうと、下記のような流れです。

クライアントからのオリエン

与件整理:クライアントからの与件を理解し、自分たちなりに解釈、課題設定をします。与件整理の過程でどれだけ質の良い問いを設定できるか、鋭い仮説を設けられるかが戦略担当の腕の見せどころです。

戦況分析:4C(Community、Customer、Competitor、Company)での分析を実施し、改善点と機会点を導出

目標の設定、戦略立案:ビジネス目標が示されていない場合はSMARTのフレームに沿って目標を設定します。その後その目標を達成するために「どこでどのように稼ぐか」を考えます。いわゆるSTP策定です。

施策立案:戦略を示しただけでは収益には繋がりません。収益を産むためにマーケティングアクションを立案します(広告、キャンペーン・イベント、SEO、コンテンツマーケティング、売り場デザイン、CRMなど)

施策実行側へのディレクション:戦略との合致性、施策案のフィジビリティー確認、制作ディレクション

PDCAサイクル立案:施策を実行してもそれがうまくいくかはわかりません。「どれだけ狙い通りに顧客が動いているか?」「効率が悪い箇所はあるか?」をモニタリングする体制、基盤を考えます

(キャンペーン開始、もしくはプロダクトやサービスの上市)初速の観察、観測→改善点の抽出

(単月~3ヶ月、1年単位)モニタリング→成功点、改善点の抽出、次回以降のリプランニング

必要な5つの基礎スキル

ストラテジックプランナーと一口に言っても所属する会社や部門によって期待される役割が異なります。

ただ、求められるスキルには共通点があります。
それが次の5つの能力です。

「考える力」
クライアントが解決できない問題を解決をする仕事なので、視点を変えながら考えてまくる能力が必要です

「イタコ力」
ストプラは戦略家であるとともに、「事業者と生活者の翻訳家」でもあります。生活者のことを家族や友人と同じようなレベルで理解するイタコ力は必須のスキルセットです。

「説得する力」
クライアントにご発注をいただかない当然ながら我々はお金をいただけません。そのため、論理性を担保しつつ、心に訴えかけることが必要です。

「勝てるマーケティング戦略を描く力」
参謀は「勝たせる」ことが仕事です。データを読み解き、クライアントの資産を活かしながら「勝てる」マーケティング戦略を構築する力が本質的なストプラの価値だと個人的には思います。

「施策を考えるための力」
戦略を立てるだけのストプラもいますが、それでは片手落ちです。
戦術まで熱を込めましょう。
※こちらは配属される部署によるので今回の説明からは割愛します。

基礎スキル①考える力

考える力を私なりに分解すると下記のようになります。

考える力=
考える視座×考える質×考える回数×考えたものの試行回数×(振り返って学んだ回数/失敗数)

これらのうち試行回数と失敗数は外的要因も多く、コントロールが難しいので、それ以外の変数を増やすことをおすすめします。

そのうちインプットで向上させることができるのは
「視座」
「質」

の2つです。

例えば下記のような書籍がおすすめです。

論点思考
仮説思考
戦略「脳」を鍛える
ロジカルシンキング

基礎スキル②イタコ力

イタコ力は下記のように分解できます。

イタコ力=言語化力×文脈推測力×コミュニケーションした人間の数×価値観についてコミュニケーションした人の割合

正直かなり無理がある分解ですがラフにやると上記のような感じかと思います。

共感力のある/なしは育った環境に依存するので「共感力」という変数は排除しました。

「コミュニケーションした人間の数」は一方通行でも価値観についてのコミュニケーションが行われていれば、その人の思考体系をある程度インストールできます。

「イタコ力」はインプットでの向上は難しく場数がものをいう世界ですが、「言語化力」「文脈推測力」に限れば、例えば下記のような書籍がおすすめです。

女子大生、オナホを売る
心理マーケティングの基本
ヒトが持つ8つの本能に刺さる 進化論マーケティング

基礎スキル③説得する力

説得する力は

構成力(資料の台割やストーリーラインを構築する)
資料作成
プレゼン

の3つに分解できます。

これらについての本は沢山ありますが、以下が個人的におすすめです。
資料作成は原則を学ぶだけだと吸収できないので、経産省のBCGなど戦略コンサルのアウトプットを真似しまくりましょう。上達のスピードが段違いになります。

構成力
外資系コンサルのビジネス文書作成術―ロジカルシンキングと文章術によるWord文書の作り方
図解すごいメモ

資料作成
この1冊で伝わる資料を作る! PowerPoint 暗黙のルール: 「わからない」「終わらない」「恥ずかしい」を完全解消!

プレゼン
外資系コンサルのプレゼンテーション術―課題解決のための考え方&伝え方

基礎スキル④勝てるマーケティング戦略を描く力

これは言わずもがなでしょう。
詳説すると長くなってしまうので、ここでは下記の5つのテーマで参考書籍のみ紹介します。

  • 課題解決のためのリサーチ
    いくつもあるのですが、4Cの調査・分析と調査会社へのディレクションさえできればOKなので、1冊のみご紹介します。

  • マーケティング全般
    グロービスは網羅性が高いですが実践的かと言われると教科書的です。
    森岡本は基礎的ですが本質です。

  • ブランディング理論 
    伝統的理論と革新的理論の両方をカバーする2冊です。

  • 戦略立案
    私が常に考えるときにともにある書籍を4冊ご紹介します。
    特にマーケティング企画技術は私が知っている限り広告代理店のストラテジックプランニングにおける唯一の体系的な本であり、ポーターと戦略プロフェッショナルは戦略立案の要件を説くこれ以上ない名著です。

  • (発展)顧客体験設計・デジタルマーケティング
    やや応用的な内容ですが、デジタル時代においては必須で頭に入れておく必要があります。

参考にすべき書籍は沢山あるのですが、個人的にこれまでの戦略立案の経験から絶対に外せないものだけをピックしています。

課題解決のためのリサーチ
電通現役戦略プランナーの ヒットをつくる「調べ方」の教科書

マーケティング全般
[改訂4版]グロービスMBAマーケティング
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

ブランディング理論
ブランディングの教科書: ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる
ブランディングの科学 誰も知らないマーケテイングの法則11

戦略立案
〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略
決定版 戦略プロフェッショナル 戦略独創経営を拓く (角川書店単行本)
マーケティング企画技術―マーケティング・マインド養成講座
The Art of Marketing マーケティングの技法

顧客体験設計・デジタルマーケティング

UXデザインの教科書
マーケティングの新しい基本 顧客とつながる時代の4P×エンゲージメント
ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法

最後に

ここまであまり解説されることがない戦略プランナー=「ストラテジックプランニング職」についてとスキルセット、参考書籍についてご紹介しました。

戦略立案という抽象度が高いテーマなのでなかなかイメージしづらいかもしれませんが、少しでも読者の方の解像度が上がっていれば幸いです。

次回はマインドセットや視点を解説する「考え方編」です。
それではまた次回。

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