ジャンプを卒業した大人が漫画『ワールドトリガー』を読むべきたった3つの理由
※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)
【レビュアー/小林琢磨】
はじめましての人もそうでない人もこんにちは!
ナンバーナインの小林です。
僕は渋谷にある漫画サロン「トリガー」(2018年12月31日を持って閉店)にも関わっています。この場所は、日本初のコンシェルジュが常駐するレコメンドカフェです。読みたい漫画を読むのではなく、知らない漫画に出会える場所として、運命の一冊を紹介するためにできたお店です。
そして運命を選択する漫画と言えば、そう『週刊少年ジャンプ』の『ワールドトリガー』になりますよね!
今回は「遅効性SF」と言うキャッチコピーに相応しい、後からじわじわハマるジャンプの次世代看板漫画についてご紹介したいと思います。
大人がハマるSF漫画。
『ワールドトリガー』は『週刊少年ジャンプ』の漫画ですが、個人的にはこの漫画は少年ではなく青年、いやむしろジャンプを卒業してしまった大人の貴方にこそ読んでもらいたい作品となっています。
なぜなら・・・
1・台詞が哲学的すぎる
自分が『そうするべきだ』と思ったことから一度でも逃げたら、きっと本当に戦わなくちゃいけない時にも逃げるようになる。自分がそういう人間だって知ってるんだ。
→これ、主人公の一人である15歳の少年(三雲修)の台詞です。大人かっ!
やばいときは逃げないとそのうち死ぬぞ。逃げるのも戦いのうちだ。
→これまた主人公の一人である15歳の少年(空閑遊真)の台詞です。大人かっ!!
自分の弱さをよく自覚していて、それゆえの発想と相手を読む頭がある。知恵と工夫を使う戦い方は、俺は嫌いじゃない。
→もうね、大人かっ!!!
『ワールドトリガー』は単純な勧善懲悪的なヒーロー漫画ではなく、登場人物一人ひとりが己の正義や信念を持って行動する、重厚な人間ドラマの漫画なんです。
2・世界観が緻密すぎる
同作者の葦原大介先生による前作『賢い犬リリエンタール』の時からそうなんですが、物語の世界観が本当にしっかりしているんですね。
SFなのにSFっぽくない。それでいてしっかりとしたSFとなっている。
な、何を言っているか分からねぇと思うが(ry
日常と非日常の融合が非常に上手いんですよね。
非日常パートの説明がしっかりしているからこそ、物語が嘘っぽくない、本格的で重厚なSF漫画になっています。
3・なんだかんだ言って「努力」「友情」「勝利」のジャンプの王道を受け継いでいる
なんだかんだ言ってね。そう、なんだかんだいって昔のジャンプを思い出してくださいよ!
やっぱりジャンプと言えば「努力」「友情」「勝利」の三本柱じゃないですか!?
僕らみんなそれで育ってきたわけじゃないですか!?
『ワールドトリガー』がジャンプの次世代看板漫画な理由はそこにあると思うんですよ。つまり王道の継承者。
ジャンプを読んで育ってきた僕らが、そのジャンプの正統継承者にハマらない理由はないですよね。
俺のサイドエフェクトがそう言ってる。
騙されたと思って、一度3巻まで読んでみてください。
きっと貴方も『ワールドトリガー』に夢中になるはずです。
WRITTEN by 小林 琢磨
※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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