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オタク女子が一般人とカラオケに行ってうまくやる方法『トクサツガガガ』 ついつい人の目が気になって、自分がオタクだとカミングアウトできないアナタに読んでほしい!

わたくし29歳のアラサー独身男です。もうすぐ30歳なので、そうするとアラウンドサーティじゃなく、サーティです。略してサー。別に爵位を持っているわけではないですが。これくらいの歳になると、「もういい歳して!」というのが男女ともに冗談じゃなくなってきます・・・。電車のなかでカバーかけずに漫画の単行本読むのとか、もう無理無理!

『ONE PIECE』ならみんな知ってるし、なんとなく「ああ、あれ、なんか感動して泣いちゃう人もいるんでしょ?」くらいに思ってもらえそう。でも、ちょっとセクシーな女の子が表紙だったり、萌え系だったりしたら「ああゆうのが犯罪に走るのよねー」とか変な目で見られそうだし・・・。

男子高校生が表紙とかだと「あのお兄さんオッサン、きっと青春時代は男子校で過ごしたから、共学で男女がワッハウフフしてる漫画で心癒してるんだ~」とか思われそうだしな。

くっそー、それは当たってるんだぜ・・・。

カラオケとかもそう。会社で接待なんかでカラオケに行くときは、それ用に社会人1年目で覚えておいた「相手の年代別カラオケで盛り上がる曲」で耐え忍ぶのですが、仲間うちでカラオケに行くときに自分の好きな曲が歌えないのは、ちと寂しい。でも一緒に行く人がオタクじゃない場合(しかも自分がオタクだと知られていない場合)、「いかにアニソンを自然に紛れ込ませるか」っていうのがミッションインポッシブル。

ドラゴンボールならまだしも、自分と同世代ならなんとかスラムダンクか・・・?

非常に悩ましいよなぁ~と思っていたところで(前置きが長くなりました)、読んでいてやたらウケたのがこちらの漫画『トクサツガガガ』。

主人公は26歳のOLで、趣味はなんと「特撮ヒーロー」。

そう、仮面をかぶったヒーローが悪の怪人と戦う、あれです。

小さい頃から「女の子のくせにこんなもの!」と戦隊モノから距離を取るよう言われてきた仲村叶(なかむらかの)は、働き出してからというものその反動で、DVD、フィギュア、ロボット、おもちゃの武器、カード・・・と手あたり次第にコレクションするようになってしまいます。あー、自分も小さいとき、親から漫画読むなって規制されてたから分かるわ~!と私もついつい主人公に感情移入。

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主人公は特オタの仲村さん。『トクサツガガガ』(丹羽庭/小学館)1巻より引用

で、この仲村さんは普通にOLしてしまってるので、周りの人に自分の趣味を明かしていないんですね。仕事もできるうえ、手作りのお弁当で倹約して、周囲からは「イイ女」認定されちゃってるんですが、それもこれも節約して自分の趣味につぎ込むため(笑)だからカラオケに連れていかれちゃうと「わしゃ、特ソン(特撮ソング)が歌いたいんじゃ~!!!」うっぷんがたまりまくり。

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「サカナクションは怪人だと思っていた」www『トクサツガガガ』(丹羽庭/小学館)1巻より引用

でも、職場では仲村さん憧れる男子がいるくらいルックスは良い女性を周りが放っておくわけがありません。 

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仲村さんの頭のなかでは、カラオケ怪人が「バラしてしまえば楽になるぞ」と追いつめてくる・・・!!!!『トクサツガガガ』(丹羽庭/小学館)1巻より引用

そしてとうとう・・・仲村さんは特ソンをインプットしてしまうのです!

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仲村さんが実行した作戦はこちらw『トクサツガガガ』 (丹羽庭/小学館)1巻より引用 

・小さいころに観ていて、たまたま歌だけおぼえているフリ
・テンションはおさえ目に
・英語や早口の部分はむずしくて歌えない感じでにごす
・シャウトとセリフは歌わない
・TVで流れない部分は知らないフリ

バレないようにそこまでやるんかい!って感じですが、

自分の好きなモノを悪く言われたり嫌われたりするのって、ものすごく怖いことなんだよ・・・好きなら好きなほど、簡単には言えないよ・・・

と悩む仲村さん。

自分の好きなように歌いたい(他の曲も歌えない)、でも自分の趣味もばれたくない・・他人の目についおびえてしまう仲村さんの気持ち、ヒジョーに良くわかるなぁ。。。でも、やっぱり歌い足りなかった仲村さんは、結局一人でカラオケに行くのでしたw

さて、この『トクサツガガガ』ですが、主人公の趣味は特撮ヒーローながら、特撮ヒーロー好きじゃなくても完全に楽しめる作品になっています。

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『トクサツガガガ』(丹羽庭/ビッグコミックス)1巻より引用

誰にも言えない秘密、でも誰かと共有したい!そんなときはこんな風にキーホルダーで会話したりとか、あるあるあ・・・ねーよ、いやあるわw でもとうとう会社で秘密を知る人が現れて・・・?物語も徐々にヒートアップ。

人に言えない秘密の趣味があるアナタは絶対読んだ方がいいですよ。

WRITTEN by 苅田 明史
※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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