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文献管理ソフトで悩んだ結果、結局Paperpileを選ぶことにした理由

学術研究、学術論文における文献管理の重要性

とある大学院の経営学研究科の社会人修士1年生となった筆者は、膨大な量の先行研究を読み込み、理解し、自身の研究に結びつける必要が出てきました。この過程で文献管理の効率化は、研究の質と速度の両方を高めるキーポイントであると考え、最適な文献管理ソフトを選定することにしました。

第1章: 文献管理ソフトを選ぶことの重要性

学術研究を行うにあたって、文献を管理する方法はいくつもあると思います。
紙媒体で文献管理する方法もあると思いますが、「文献がたまっていくとまとまりがなくなる」、「文献を探すのに時間がかかる自宅以外で作業をしたい時に文献を持っていけない」などのデメリットしか私には感じませんでした。
もちろん文献管理ツールを使って管理する方法もあります。
EndNote、Zoteroをはじめとして、先生におすすめされたMendeley、大学から無料で支給されたRefworksもありましたが、どれも一長一短で筆者にとっては使い心地が良いと感じてはいませんでした。結局、先生におすすめされたMendeleyで決めようと思った時に、筆者の前に現れたのがPaperpileでした。

特に文献管理ソフトを探していたわけではなく、単純にChatGPTでどうやったら、先行研究の論文を効率的に探すことができるかを調べていた時に、Paperpileのプラグインに出会ったのがはじまりです。

第2章: 文献管理ソフトのPaperpile、Mendeley、RefWorksを比較

おすすめされた文献管理ソフト2つと現れたPaperpileをそれぞれ眺めてみることにしました。

Paperpileのメリットとデメリット

メリット:

  1. Googleとの統合: Googleドキュメントやスライドとのシームレスな連携が可能。

  2. 直感的なユーザーインターフェース: シンプルで使いやすいデザインが特徴。

  3. クラウドベースのアクセス: どこからでもアクセスでき、オンラインでの文献の共有が容易。

  4. ウェブページやプレゼンテーションのファイルも保存可能

  5. APA方式、Chicago式などのスタイルを指定してcitation(引用)が可能。つまりマニュアルで文献情報を書かなくて済みます。

デメリット

  1. Googleエコシステムへの依存度が高い: Googleを使用していないユーザーにとっては不便な場合がある。

  2. 一度紐づけたGoogleアカウントから他のGoogleアカウントへの変更は基本的に不可である。

  3. ファイル形式のサポートが限定的: 一部のファイル形式に対応していないことがある。
    ※ここはMS Wordに対応するプラグインができました。
    https://paperpile.com/word-plugin/

  4. オフラインでの使用に難があり:パソコンに関しては完全にオンライン利用に限られる。ただしiPhoneとiPadは文献を事前にPaperpileアプリでダウンロードしていれば、オフラインでも閲覧可能です。

  5. 基本的に有料: ただしアカデミックであれば月額は2.99$になります。


Mendeleyのメリットとデメリット

メリット:

  1. 研究コミュニティ機能: 研究者が使っていることが多いので、研究者間のネットワークを構築したり、情報共有が可能。

  2. 幅広いファイル形式のサポート: 様々なファイル形式に対応し、柔軟性が高い。

デメリット:

  1. 操作が複雑に感じられることがある: 初心者にとってはやや使いにくい面があります。

  2. 文献の取り込み方法がPC: 文献を取り込むにあたっては基本的にPCで行わなければならない。

  3. モバイルでの使い勝手が悪い: iPhoneやiPadのようなモバイルではPapershipのような別のアプリを使わなくてはならない。またこのPapershipのアプリ自体も更新がされる状況が見えない。

  4. 無料版の機能制限: 一部の高度な機能はプレミアムプランでのみ利用可能。

  5. Google documentは使えない

RefWorksのメリットとデメリット

メリット:

  1. 伝統的な文献管理ツールとしての確立: 長年にわたる実績があり、多くの大学で採用されている。

  2. 多様な引用スタイルをサポート: 幅広い引用スタイルに対応。

デメリット:

  1. インターフェースが古い: UIが現代的なデザインに比べるとやや古い印象を受ける。

  2. モバイルからのアクセスが制限: モバイルデバイスからのアクセスが限定的。

このように、比較してみてPaperpileがGoogle ScholarやGoogleドキュメントとの連携が優れていることにとても便利さを感じました。
MendeleyやRefWorksと比較して、Google Scholarなど、Googleエコシステム内で作業する筆者にとってはより便利であると考え、Paperpileを使うことに決めました。

第3章: Paperpileの特徴

Paperpileの特徴

改めてPaperpileの特徴について説明します。

Paperpileは、直感的なインターフェースと強力な文献整理機能を持つ文献管理ツールです。Google製品との高度な統合機能を持っていて、オンラインでの文献検索から引用までスムーズに行える特徴があります。

学術研究においては、最新のジャーナル記事やケーススタディを迅速に取り込み、整理する際に大きな力を発揮するツールだと思っています。

Paperpileの便利な点

便利な点は以下の7つであると考えます。

  1. スピーディな文献追加: Chromeブラウザ拡張機能を使って、Google検索、Pubmed、Google Scholarから1クリックで文献を取り込みできます。

  2. 自動的なメタデータ抽出: PDFを追加すると、Paperpileが自動的にメタデータを抽出し、整理します。文献を取り込んだ際に自動で書誌情報を追加してくれることが多く、自分自身で書誌情報を修正する必要が少ないかもしれません。

  3. PDFにラベルやタグ付け: PDF文書にラベルやタグが付けられるのはもちろんのこと、メモを付けることが可能です。iPadでは直接文献に書き込みができたり、ハイライトを付けられます。

  4. 文献のPDFにチャプターを自動で読み込み

  5. 取得した論文はGoogle DriveのスペースにPDFとして保存されて、同期でされ、どこからでもアクセス可能

  6. 柔軟な共有オプション: 文献やフォルダをチームメンバーや研究グループと簡単に共有できます。

  7. Google documentで論文を執筆する場合、自動で引用文献リストを作成してくれます。

第4章: Paperpileの始め方と使い方

Paperpileのセットアップと基本操作

Paperpileの始め方

セットアップはとても簡単です。

  1. アカウント作成: 持っているGoogleアカウントを使用してPaperpileにログイン。 
    https://paperpile.com

  2. Start Paperpileのボタンを押せば、30日間のフリートライアルがスタートします。

先行研究の取集、整理と分析のための具体的な活用法

  1. 論文の収集: 文献をPCで検索し、paperpileに気になる文献を入れていく。Google Chromeのプラグインを入れておけば、Google Scholarから直接paperpileに文献が入れられます。

  2. 本の収集: 本をBookscanというところで自炊しているので、授業で紹介されたり、読むことをお勧めされた読んでおくべき本を入れていきます。

  3. テーマ別の整理: 研究テーマごとにフォルダをし、関連する文献を分類します。

  4. フラグ付け: 重要な論文やレビュー論文、特定の業界に関する論文をフラグをつけておきます。

  5. 閲覧、編集: iPadのpaperpileアプリで文献を読みながら書き込む。

  6. 注釈等の付加: 文献内の重要なポイントや疑問点に直接注釈を付けたり、ハイライトを入れたりして後でレビューしやすくします。

  7. Google Driveで論文等の文書管理: Paperpileで読み込んだPDFは自動的にGoogle Driveに保存されます。

  8. 引用の管理: 論文執筆時には、Paperpileを通じて簡単に参考文献リストを作成し、引用を決められたcitation styleでGoogle DocumentやMS Wordに挿入します。

最後に

Paperpileを利用して文献を管理することは、研究や時間の効率を高めるだけでなく、論文執筆のプロセスをシンプルにし、より体系的に深い分析と洞察を可能にすると考えています。

  1. 効率的な文献の収集と整理: 継続的に関連する文献を収集し、体系的に整理することが可能です。

  2. 時間管理の効率化: 組織的な文献管理を通じて、研究における時間を有効に活用できます。時間の限られている社会人大学院生にとってはとても重要なことではないでしょうか。

結果としてより質の高い修士論文を作成する道が開かれると筆者は信じています。

次回はPaperpileの使い方の詳細をまとめたいと思います。
ご拝読いただきありがとうございました。

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